公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第67報
マリ:3つの緊急事態に晒されている子どもたち

【2012年5月8日 マリ・バマコ発】

© UNICEF Mali/2012/Dicko

ユニセフは、サヘル地域の中で、現在、最も厳しい状況に置かれているのは、マリ北部の子どもたちだと訴えています。この地域の子どもたちは、長引く干ばつによる食糧危機や栄養危機に直面しているだけでなく、マリの一部で勃発している武力紛争の影響で避難を余儀なくされているのです。

「マリ北部の子どもたちにとって、大惨事は、もはや“迫っている”ものではありません。今、既にそこで起きているのです。」 ユニセフ・マリ事務所のフレデリック・シザレート副代表は、次のように続けます。「あまりに多くの子どもたちが栄養不良に陥り、避難を強いられています。多くの子どもたちが学校に通っていません。そして現在、深刻な子どもの権利侵害行為が行われているという信憑性の高い報告も寄せられています」

ユニセフの調べでは、マリ北部から避難を余儀なくされたのは、これまでに30万人以上。その半数が子どもたちです。こうした人々は、現在、マリ国内の他の地域や、近隣諸国で避難生活を強いられています。また、政情不安のために、北部の紛争地域に留まっている人々に支援物資を届けることが困難な状況です。最新の報告によると、女性や女の子たちが拉致されたり、武装勢力に徴用されている子どもたちもいます。さらに、新たに埋められた地雷によって、すでに数人の子どもたちが命を落としました。

ユニセフは、人道支援団体がより良いアクセスを確保できなければ、状況はさらに急速に悪化するだろうと警鐘を鳴らしています。病気が蔓延する危険にさらされていますが、北部にある保健施設のおよそ半数は崩壊。装備品や保管してあったワクチンも破壊されました。過去1年間のマリのコレラ発症件数は約1300件。このうち約1,000件は北部で確認されたものです。はしかの発症も確認されています。

ユニセフは、パートナー団体と協力して、約3,000人の重度の栄養不良の子どもたちに治療を提供できる十分な数の、すぐに口にできる栄養治療食をマリ北部に届けた他、6万人のコミュニティに1ヵ月分の基本的な医薬品等がセットになった保健キットも提供しました。また、ビニールシート、調理用具、石けん、家庭用浄水剤といった支援物資を、1万2,000人以上の国内避難民とこうした避難民を受け入れているティンブクトゥ、キダル、ガオ、モプティの地元の人々に届けました。

ユニセフは、マリの子どもたちの状況は、総じて困難な局面が続いていると訴えます。今年、推定17万5,000人から22万人の子どもたちが、重度の急性栄養不良に陥る危険に置かれています。5歳未満児の全急性栄養不良率(Global Acute Malnutrition -GAM)は10.4パーセントに達している国の南部では、ユニセフは、できるだけ多くの子どもたちを治療できるよう、治療用食品の1か月分、2万6,000箱を配付しました。

ユニセフは、食糧危機と栄養危機の影響を受けている子どもと女性たちへの緊急支援活動に必要な資金として2,600万米ドルを、また、避難を余儀なくされている人々に対する支援活動に必要な資金として760万米ドルの支援を、国際社会に要請しています。国際社会からのさらなる支援がなければ、マリの子どもたちは苦境に立たされ続けることになるのです。