公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第74報
サヘル地域の子どもたちを襲い続ける脅威

【2012年6月11日 ダカール/ジュネーブ発】

© UNICEF/NYHQ2012-0355/Asselin
ブルキナファソの保健センターで栄養不良の娘を抱く母親。

本日(11日)、新たな緊急アピールの発表に際し、ユニセフは、サヘル地域の緊急支援活動の一環として、今年の4月までに、重度の急性栄養不良で治療を受けた5歳未満の子どもは、25万人であることを明らかにしました。

ユニセフは、この1年、少なくとも110万人の子どもたちが(栄養不良で)治療が必要になるものと見込んでおり、サヘル地域の9ヵ国に影響を与えている危機に対応するため、治療専門センターの数を5,200に増加させました。現在、サヘルは、1年で最も雨量の少ない、最も厳しい時期。今後3ヵ月間は、支援が必要な子どもたちの数が急増するものと見られています。

継続するマリでの武力紛争により、17万人が住む場所を追われ、隣接する3ヵ国に避難を余儀なくされました。このため、新たな需要の発生と共に、支援活動のアクセスに対する安全上の問題が生じています。その他にも、約16万7,000人が国内に留まって避難生活をおくっています。

ユニセフは、マリからの避難を余儀なくされ、コレラをはじめとする病気の脅威にさらされ、ここのアフリカ・サヘル地域の窮状の犠牲者である子どもと女性のために、さらなる支援が緊急に必要であると訴えています。ユニセフは、サヘル地域での支援活動を継続するための資金として、1億4,600万米ドルの資金を国際社会に求めています。

しかしながら、現在までにユニセフの緊急支援のために寄せられた資金は、9,300万米ドルに留まっています。

「今年に入って寄せられた資金が、(病気などを防ぐための)備えや命を守るための支援活動にどんなに役に立ったのかは疑いの余地がありません」ユニセフの西部・中部アフリカ地域事務所のマヌエル・フォンテーヌ部長はこう話しました。

© UNICEF/NYHQ2012-0353/Olivier Asselin
ブルキナファソにある保健センターで、身長を計測されている男の子。

「サヘル全域で、ユニセフは、子どもたちの命を守るための多様なニーズに対処しています。マリの紛争が、子どもたちをさらに危険な立場に立たせていることは間違いありません。現在までに集められ資金は、主に緊急栄養支援にあてられています。しかし、その他の重要な活動の資金まではまかなえず、非常に厳しい立場に立たされている子どもたちや保護者に対する支援活動が思うように進んでいないのです」(フォンテーヌ部長)

ユニセフは、最も差し迫ったニーズを考慮し、総合的な支援活動を目指しています。

マリ北部の子どもたちが、虐待、教育へのアクセスの欠如、武装グループへの徴用といった危険にさらされていることは、火を見るより明らかです。影響を受けているコミュニティの子どもたちは中途退学を余儀なくされており、教育支援は、栄養危機に陥っている9ヵ国全てで求められています。

予防接種キャンペーンは、病気の流行を防ぐために行われなくてはなりません。今年までに、600万人以上の子どもたちがはしかの予防接種を、900万人以上がマラリアの危険を削減する蚊帳を提供されました。雨期の前に、コレラの流行を防ぐための対策が必要です。コレラは、この危機の影響を受けている多くの地域で蔓延しているのです。

国連によると、サヘルの9ヵ国で干ばつと食糧危機の影響を受けている人の数は、約1,800万人。2011年12月、ユニセフは、100万人から150万人の子どもたちが重度の急性栄養不良で治療が必要になると警鐘を鳴らし、国際社会に1億1,950万米ドルの資金を求めました。

また、ユニセフは、マリでの武力紛争の激化を受けて、モーリタリア、ブルキナファソ、ニジェールに避難を余儀なくされている人々の緊急のニーズに対応するため、1,900万米ドルの支援を訴えました。

ユニセフは、総合的な支援活動が必要とされている現状を受けて、栄養危機、マリの緊急事態、コレラやそのほかの疾患の脅威への対応も考慮に入れた年内に必要な資金として、国際社会に対し、新たに総額2億3,800万米ドルの支援を要請しています。