公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第77報
モーリタニア:予防可能な病気から子どもたちを守る保健キャンペーン

【2012年6月28日 モーリタニア発】

© UNICEF Mauritania/2012
保健キャンペーン期間中、子どもたちにビタミンA剤を投与するユニセフ・モーリタニア事務所のルシア・エルミ代表。

モーリタニア全土の50万人以上の子どもたちが、ユニセフと世界保健機関(WHO)の支援を受けて保健省が展開した2ヵ月にわたるキャンペーンの恩恵を受けることができました。このキャンペーンで、モーリタニアの全ての5歳未満児に、はしかとポリオを含む予防接種とビタミンA剤が投与されたのです。

この予防ケアは、いまモーリタニアで70万人を苦しめているサヘル地域の栄養危機により、今年、栄養不良や病気の高い危険にさらされている同国の子どもたちが元の生活を取り戻すために必要不可欠な支援となっています。

命を守るケアの拡大

© UNICEF Mauritania/2012
モーリタニアのムブトに新たしく設置された保健センターの開設を祝う式典に参加する子どもたち。

予防接種は、保健センターで行われていますが、特に農村部にある保健施設で集中して行われています。約1,000人の保健員が、農村部の砂漠地域から、首都ヌアクショット周辺にあるぼろぼろの仮設テントまで、一軒一軒訪ねて回り、ビタミンAの経口投与と虫下し剤を提供。また、石けんを使った手洗い、出生登録、子育て習慣についての促進活動も、1,000以上のコミュニティで実施されています。

2回目のアフリカ予防接種週間の一環として行われているこのキャンペーンは、ムブトの新しい保健センターの開設に合わせて、4月28日にスタートしました。この保健センター開設の記念式典には、ユニセフ、モーリタニア政府、世界保健機関(WHO)、パートナー組織の関係者も参加。伝統的な音楽の演奏と、歌や踊りも披露され、コミュニティに改善された保健医療ケアがもたらされることを祝いました。

ファトウ・ミント・サムバさん(27歳)は、一番下の息子のアッバスちゃん(生後7ヵ月)と、母親のドラ・ミント・マサさんと一緒にこの記念式典に参加しました。

© UNICEF Mauritania/2012
モーリタニアのヌアクショットの郊外の貧困地域で、予防接種を受けたことを示す証明書を見せる姉妹。

ミント・サムバさんをはじめとする多くの女性が、子どもたちに予防接種を受けさせ、ビタミン補給剤を受け取るために保健センターを訪れていました。こうした女性たちは、予防接種についてより深く学びたいと意欲的です。また、マラリアを媒介する蚊から身を守る殺虫剤処理を施した蚊帳も提供されました。

ミント・マサさんは、はしかで5歳の姪を亡くし、それ以来、コミュニティの保健医療ケアの改善に尽力しています。「昨年、この地域ではしかが流行しました。

子どもたちに予防接種を受けさせるよう、一軒一軒家を訪ねて、地域の人々に話して回りました。8年前の姪の死を忘れられず、この活動を行いました」ミント・マサさんはこう話し、次のように付け加えました。

「私が子どもの頃にあった病気の多くは、もうこの地域にはありません。予防接種のおかげです」

コミュニティ中心への変化

予防接種のような予防的な保健ケアは、命を守る、費用対効果の高い対策です。

人口が少ないモーリタニアで、僻地のコミュニティに支援を届けるには、物流面での課題は山積みです。しかしながら、ワクチンと栄養補助剤の費用を除き、この統合型のパッケージを子どもたちに届けるための費用は、子ども1人あたりわずか40セントです。

こうしたサービスは、最近の栄養危機の中では特に重要です。栄養不良と子どもが陥りやすい疾患は、相互に作用し、子どもたちの脆弱性をさらに高めてしまう悪循環を生み出す可能性もあるのです。

保健センターの記念式典後、あるラジオ番組が、近くの避難テントから中継されていました。司会者は、コミュニティの女性たちに、予防接種に関する質問を出し、正解者は表彰されていました。この質疑応答は、笑顔と笑い声に溢れ、音楽や歌と共に放送され、積極的な変化がコミュニティにもたらされていることを示してくれました。そしてコミュニティの人々は、このセンターによりもたらされた変化を、誇りに思っています。