公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第78報
モーリタニア:
栄養不良の脅威にさらされている乳幼児のための包括的栄養プログラム

【2012年7月9日 ニューヨーク発】

© UNICEF Mauritania/2012
この栄養危機により、2012年中に、9万人ものモーリタニアの子どもたちが、重度の急性栄養不良に苦しむ可能性があると推定されています。

キッファにある保健センターでは、たくさんの子どもと女性たちが順番待ちの長い列を作っていました。ターシャ・ミント・バウベさん(22歳)も、生後11ヵ月の息子のチェイクちゃんと、3歳年上の姉のアミンテちゃんと一緒に、列に並んでいます。この子どもと女性たちは、5歳未満児を対象にした栄養状態の検査と、生後6ヵ月から2歳までの全ての子どもたちに栄養補助食を提供する包括的栄養プログラムに参加しているのです。

朝10時までに、親子の列は、何ども折れ曲がった長い列となっていました。‘ムラファス‘と呼ばれる鮮やかな服を着た女性たちは、忍耐強く順番を待っています。

モーリタニアは、サヘル地域の干ばつ危機による深刻な影響を受けています。2012年中に、9万人ものモーリタニアの子どもたちが、重度の急性栄養不良に苦しむ可能性があると推定されています。ユニセフは、世界食糧計画(WFP)やパートナーであるNGO組織と共に、栄養不良率が危険域に達しているこの地域で、保健省が実施しているこの包括的栄養プログラムを支援しています。3つの地域で、ユニセフは、栄養補助食品を提供し、このプログラムを実施する保健員の研修を行っています。

栄養不良の検査と食料の配布

© UNICEF Mauritania/2012
栄養補助食を食べるモーリタニアの女の子。

サヘル地域の栄養危機に対応する支援の一環として、モーリタニア全土で実施されている栄養支援サービスにより、すでに数千人もの栄養不良の子どもたちが治療を受けています。この補助食のプログラムには、すぐに口にできる補助食品(RUCF)による支援も含まれ、今後3ヵ月にわたり、'lean'あるいは'飢え'の時期と呼ばれる、収穫高が減り、食糧備蓄が底をつく時期がピークを迎える中で、子どもたちが栄養不良に陥る危険を防ぐために行われています。

アミンテちゃんとチェイクちゃんは、栄養不良に陥っているかどうかを調べるために、上腕を測定されました。アミンテちゃんは、中度の栄養不良と診断され、地元の保健センターで治療を受けるよう指示されました。しかし、‘正常’と診断された子どもたちでさえ、栄養不良に陥る危険が潜んでいます。栄養補助食の支援は、こうした危険を防いでくれるのです。

チェイクちゃんの一ヵ月分の栄養補助食を受け取ったミント・バウベさんは、補助食品の食べさせ方について説明を受けました。ミント・バウベさんは、栄養不良の状態を調べたり、次の一ヵ月分の補助食を受け取るために、今月末、再びアミンテちゃんとチェイクちゃんを連れて受診に来るように言われました。

プログラムを成功させるために、ユニセフは、プログラムを実施している政府の保健員の研修を実施。また、アッサバ、ホッジ・エッシャルギ、ホッジ・エッガルビの3万4,724人の子どもたちに食料補助食を提供しました。世界食糧計画(WFP)とNGO組織は、その他の3万4,400人の子どもたちにこのプログラムの実施を支援しています。

切実に求められている支援の提供

© UNICEF Mauritania/2012
ユニセフは、モーリタニア政府、世界食糧計画(WFP)、パートナー組織と共に、サヘル地域の栄養危機への対応の一環として、で子どもたちに栄養補助食を提供している。

遊牧民が暮らしている小さなボウグハドーウム村は、干ばつによる大きな影響を受け、栄養危機に見舞われています。この村に住むゼニボウ・ミント・ムスタファさんは、サルマちゃん(1歳)とマリアムちゃん(1歳11ヶ月)の二人の娘を連れて、栄養不良の検査と補助食品を受け取りにやってきました。ミント・マスタファさんは、地域の看護師から、子どもたちによい食べ物を支援するというこのプログラムのことを知りました。

サルマちゃんは、母乳と水しか与えられておらず、すでに中度の栄養不良に陥っていました。姉のマリアムちゃんは、最近、熱と下痢に苦しみ、同じく栄養不良に陥る危険にさらされています。保健省の国家栄養局のロウグヒエトウ・ディアロさんは、ゼニボウさんに、生後6ヵ月から、母乳に加えて、離乳食を与え始めるべきだと説明しました。

ユニセフの支援を受けて行われている栄養補助食の支援と子どもたちの定期的な健診、より良い食事習慣の周知によって、ゼニボウさんをはじめとする多くの人々が、こうした困難な時期に、子どもたちにより良いケアを提供することができるのです。