公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第84報
NBAで活躍するパウ・ガソル選手、チャドを訪問

【2012年8月27日 チャド発】

先日閉幕した2012年ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた男子バスケットボールのスペイン代表選手で、北米男子プロバスケットリーグ(NBA)で活躍するプロ・バスケットボーラーのパウ・ガソル選手。スペインのユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)の大使も勤めるガソル選手が、多くの子どもたちが食糧危機と栄養危機に直面するアフリカ・サヘル地域のチャドを訪問しました。

チャドでは、12万7,000人以上の子どもたちが重度の栄養不良の深刻な危機にさらされています。子どもたちは、長引く干ばつと食糧価格の高騰に端を発したこれらの危機の中、生きるために奮闘しています。この食糧・栄養危機は、セネガルとサヘル地域一帯の計9ヵ国に及び、影響を受けている人々の数は、187万人に達するものと推定されています。

世界の関心を集めるために

© UNICEF Spain/2012
栄養治療センターを訪問したガソル大使。彼が寄り添っている双子のうちの一人が、栄養不良からの完全な回復を待っている。

危機にさらされている子どもたちの状況を目の当たりにしたパウ・ガソル大使は、子どもたちの命を守るために、ユニセフがパートナー団体と共に行っている活動を視察しました。今年に入ってから、これまでにサヘル地帯全体で重度の急性栄養不良の治療を受けた5歳未満の子どもたちは、25万人近くにのぼります。

「ユニセフが、警鐘を鳴らし始めたのは昨年のこと。予防と治療の活動は直ぐに始められたそうです」「しかし、サヘル地域一帯で支援を必要としている全ての子どもたちに、こうした支援が行き届いているわけではありません。私がチャドを訪れることで、世界の人々が、栄養危機のために命の危機にさらされている何百万人もの子どもたちのことに思いを馳せてくれればと思います。栄養危機は、解決できる問題なのですから」 ガソル大使は、こう話しました。

今回の視察中、ガソル大使は、ユニセフの支援でサヘル地帯の各地に設置された給食・栄養治療センターも訪問しました。このセンターでは、子どもたちが栄養不良の治療を受け、回復に向け、献身的な看護を受けています。

また、ガソル大使は、ユニセフが支援している学校も訪問。そこでは、学校の職員やボランティアの人々が、子どもたちに、下痢性疾患や肺炎といった命にかかわる病気の拡大を防ぐために欠かせない、手洗いをはじめとする必要な保健・衛生習慣を教えていました。

「パウプロジェクト」

© UNICEF Spain/2012/Oriol Bosh
栄養不良から回復しつつある男の子を抱く母親から話を聞くガソル大使。

ガソル大使がスペインのユニセフ協会大使に任命されたのは、2003年。以降、子どもに対する“責務”を果たそうとするガソル大使の強い姿勢は、弱まることはありません。ガソル大使は、スペインのユニセフ協会が実施する様々な広報・募金キャンペーンに参加。2010年には、自身の名を冠した「パウプロジェクト」を設立。エチオピアの農村部の1万2000人の子どもたちに、学校教育や就学前教育の機会を提供するために、教室の建設や教材の配布、教員や保護者への研修の機会の提供などの支援という形でスタートしたこのプロジェクトは、スペインのテレビ局が制作したドキュメンタリー番組でも紹介されました。

昨年の「アフリカの角」地域に続き、今、サヘル地域でも広がる栄養・食糧危機。子どもの生存や発達に関わるさまざまなキャンペーンを推進する「パウプロジェクト」は、特に、これらの地域で発生してしまった人道危機が起きないように、ユニセフが世界各地で取り組んでいる栄養や保健分野での支援活動を支えています。

パウ・ガソル選手は、スペイン国内に加え、現在居点としている米国内でもユニセフ親善大使として、ユニセフの活動を応援してくださっています。