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財団法人日本ユニセフ協会




中国大地震 第12報
 子どもたちを学校へ!
四川省の10,000校以上が激しい損害、7,000校が完全に倒壊
 

【2008年6月4日 中国・北京発】

損壊した小学校に設置された臨時教室に通う子どもたち
©UNICEF/ HQ08-0568/Adam Dean
損壊した小学校に設置された臨時教室に通う子どもたち。学校の復旧は、子どもたちがごく当たり前の「日常」を取り戻すために重要なステップです。(四川省の最大被災地・同済市にて)

今回の中国大地震の最新情報によれば、四川省の学校10,000校が激しい損害を受けました。そのうち約7,000校は完全に倒壊、それ以外でも多くの学校が部分的に損害を受けています。ユニセフは、何百万人もの学校に通う子どもたちが被害を受けたと推測しています。こうした子どもたちは、現在、ほとんどが一時避難所やテントの臨時教室に通学しています。現時点で正確な数字を把握するのは、困難な状況です。

ユニセフも参加した中国当局が組織した教育調査チームが、昨日、調査結果をまとめました。今回の目的は、被災地・四川省の学校や生徒、教師の状況と緊急に必要な支援は何かを調査することでした。

ユニセフは、被災地の教育状況を調査しました
©UNICEF/ HQ08-0568/Adam Dean
ユニセフは、中国政府の合同調査チームに加わり、被災地の教育状況を調査しました。マッコーリン ユニセフ・中国事務所副代表は、最大被災地のひとつ四川省同済市の小学校を訪問。

「政府や民間企業、それにボランティアが協力して、どの被災地でも臨時教室の設置に辛抱強く取り組む姿を見て、とても胸をうたれました。必要とされている教育資材が確実に届けられているか、そして、安全な水を供給できる適切な施設があるか、適切な衛生設備(トイレ)があるかを確認することも、非常に重要です。」(ユニセフ・中国事務所デービッド・マッコーリン副代表)

現在は学齢期の子どもたちのうち、どれだけ学校に戻ることができていないか正確には把握できていませんが、正式な授業再開は、教育当局の最優先事項とされてきました。生徒の多くは、都市部の学校施設で勉強するために、遠くの地域コミュニティーから引っ越していました。生徒数の増加に対応するために、多くの学校では2交代制で授業を行っています(ただし、入試を控えて試験勉強に取り組む中学・高校の3年生は除く)。また、教育当局は夏休みを繰り上げて、新学期を8月1日からの開始とする見込みです。

今回、教育調査合同チームが緊急に必要だと評価した教育用資材は以下の通り。

  • 臨時教室のためのテントと一時避難所
  • トイレと安全な水を供給する施設
  • 書籍やコンピューター、黒板や机等教室に必要なもの、運動用具など、教育環境に必要な用具
  • 子どもが負った「心の傷」に対処できる教育専門家のトレーニング
  • 学校における緊急事態への備え、応急処置教育
都江堰市の小学校に設置された臨時教室
©UNICEF/ HQ08-0568/Adam Dean
四川省の最大被災地のひとつ、都江堰市の小学校に設置された臨時教室で、調査に訪れたユニセフ担当官と校長先生に話しかけている12歳の少年。

今後、ユニセフは継続調査を実施予定。中国政府の支援計画を進めて、四川省の教育機関の復旧を急ぎます。

「被災地の子どもたちを学校に戻すことを最優先に、中国政府が復旧活動を進めてきたことを、ユニセフとして喜ばしく思います。子どもたちがごく当たり前の「日常」を取り戻すためには、政府の活動は大きな一助となるでしょう。」
(ユニセフ中国事務所代表兼国連災害管理チーム イン・イン・ニュイ代表)

ユニセフ・中国事務所は、中国大震災後の子どもたちと女性のための緊急支援、そして、今後継続が必要な支援を行うための資金として、総額で3,000万米ドル(約31億5,000万円)の支援が必要であると試算しています。ユニセフは、すでに通常活動資金も含めて1,660万米ドル(約17億4,000万円)を受け取っていますので、今後必要な支援金額の総額1,340万米ドル(約14億1,000万円)を、国際社会に対して要請しています。

四川省の教育部事務局次長と面談するユニセフ職員
©UNICEF/ HQ08-0568/Adam Dean
四川省の教育部事務局次長と面談するユニセフ職員。ユニセフは、引き続き、当局の教育復旧支援に協力して支援活動を展開する方針です。

震災発生後24時間で、ユニセフ・中国事務所は緊急事態支援に必要な物資(特にテントや布団など)の提供を手配。ほぼ同時に、香港ユニセフ協会が、256,000米ドル(約2,700万円)の緊急資金提供が可能であるとの連絡をしました。それにより、ユニセフ・中国事務所は、5人用のテント800張りと、布団20,000枚を速やかに発注することができました。国連機関の中でももっとも迅速な緊急支援物資の手配でした。その後、一週間でユニセフの緊急プログラム基金から250万米ドル(約2億6,000万円)の拠出が決まり、これにより、当面、他の緊急支援活動の資金に当てることができました。

今後2ヶ月間で必要となる支援項目は以下の通り。
(カッコ内は不足している資金額(米ドル)と予算における不足割合)

  • 保健と栄養(400万米ドル、45.98%)
  • 教育(440万米ドル、51.16%)
  • 安全な水と衛生設備(トイレ)(130万米ドル、39.39%)
  • 避難所(不足資金なし)
  • 子どもの保護(210万米ドル、63.64%)
  • HIV/エイズ(35万米ドル、77.78%)
  • 活動の管理と評価(70万米ドル、77.78%)
  • 国際社会への啓発と情報発信(55万米ドル、73.33%)

これらの活動は、中国政府やユニセフなど支援機関の初期対応の結果得た情報に基づいて、今後、中国大震災支援プログラムが終了するまで、少なくとも30ヶ月間は継続が必要だとされる項目です。すべて、ユニセフ・中国事務所が適切に対応可能で、被災した子どもたちの継続的な支援のために必要なものです。