財団法人日本ユニセフ協会




イラクで400万人以上の子どもたちへの
ポリオワクチン投与に成功

〜ユニセフとイラク保健省により、ポリオ全国予防接種デーに
イラクの5歳未満児の98%にワクチン投与〜

【3月4日】

img2  先週、ユニセフとイラク保健省は、400万人以上のイラクの子どもたちを対象に、全国規模のポリオ予防接種キャンペーンを実施しました。キャンペーンは5日間に及び、北部のクルド人自治区3州を含む国内18州をカバーしました。

 予備調査結果によると、このキャンペーンにより、イラクの5歳未満児420万人の98%にポリオワクチンを投与することができました。これは、国内880の医療施設で働くイラク人ヘルスワーカー14,000人の貢献によって成し遂げられました。ボランティアは、地域の医療施設に予防接種を行う場所を作るため7,000のチームを作り、1軒1軒を訪問しました。ユニセフは、欧州委員会人道支援局の資金援助を受け、ここ3年間、ポリオ全国予防接種デーを支援してきました。イラクは3年間にわたり、ポリオ根絶国とされています。今回のキャンペーンは、イラクで最後の全国規模のポリオ予防接種キャンペーンとなるでしょう。2003年秋と2004年に小規模のキャンペーンが予定されていますが、これらのキャンペーンは、イラクにおけるポリオ根絶の最終段階のものとなります。

 3月6日には、ユニセフは5歳未満児50万人に、はしかの予防接種を実施する予定です。このキャンペーンは、イラクで起こるかもしれない戦争に備えたユニセフの支援活動の一環として行われるものです。ユニセフは既に通常の子どもに対するはしかの予防接種を実施し、5歳未満児の92%が予防接種を受けました。しかし、ユニセフはまだ50万人の子どもたちが予防接種できないでいると推定しており、紛争が始まる前にこうした子どもたちに予防接種を施すことを目標としています。イラク保健省が家々を1軒1軒訪問するこのキャンペーンを監督する一方、ユニセフは資金、及び、ロジスティックスの支援——はしかワクチン50万個の提供を含む——を行います。

 ユニセフが支援対象としているのは5歳未満児だけではありません。最近のデータでは、はしかにかかる6歳から12歳までの子どもたちもの数も増加しています。ユニセフは、この年齢層の子どもたち350万人を対象とする全国規模のキャンペーンを支援する予定です。このキャンペーンは、家々や学校を巡回して行われるもので、10日間で10,000人のヘルスワーカーが参加します。もっとも懸念されることは、特に緊急事態において、予防接種を受けていない6歳から12歳までの子どもたちから、予防接種を受けていない免疫力の弱い5歳未満児にはしかが感染することです。

 残念なことに、「石油と食糧の交換プログラム」(Oil for Food Programme)を通じてイラク保健省が必要なワクチンを生産するには数週間かかります。これはキャンペーンを3月末まで開始することができないことを意味します。しかし、命を救う重要な作戦にとって、これではあまりに遅すぎるかもしれないのです。