財団法人日本ユニセフ協会




〔2003年4月4日〜4月6日〕

ユニセフはイラクの子どもたちの状況を懸念する
—ユニセフ事務局長キャロル・ベラミーによる声明 —

[アンマン/ニューヨーク 2003年4月6日]
 バグダッドで現在行われている大規模な攻撃に際し、すべての紛争当事者は、一般市民の生命、特に子どもたちの生命を守る法的、及び、道徳的責務があることを思い出してください。

 バグダッドは人口500万人の都市で、その人口の半分が18歳以下です。ここ2週間半、死傷した子どもたちや精神的に大きなショックを受けた子どもたちの映像とともに、一般市民の犠牲者に関する報告が増大しています。

 ユニセフがこれまで何度も紛争下の子どもたちと働いてきた経験から言えることは、戦争には短期的な影響に加え、今後数年間にわたり続く、重大かつ人々を弱体化させる結果があることです。戦争の傷跡は容易に消え去るものではありません。身体的、及び、心的外傷、恐怖、そして愛する者を失うことは、こうした惨禍を耐え抜いた人々の生活を苦しめ続けるのです。

 例えば、ドホーク近郊のガラゴウ村で、5、6歳の少年3人が地雷で遊んでいて重傷を負いました。少年の一人は両手を吹き飛ばされ、もう一人は失明するかもしれません。この3人の子どもたちとその家族の生活は、決して今まで通りのものではないでしょう。

 どんなに戦争の手法が複雑になったとしても、戦争の最終的な結果は、数世紀にわたりそうであったように、血にまみれた、悲劇的なものです。ただし、変化したことが少なくとも一つだけあります。それは、ますます、女性と子どもが一番の犠牲者となっているということです。

 ユニセフは、特にここ数日の人口過密な都市部でのクラスター爆弾の使用という報告に懸念を示しています。この残酷かつ醜い武器がイラクの子どもたちの命を奪っていると、すでに報道されていますが、こうした爆弾の使用は止めなければなりません。

 子どもの命を犠牲にすることは、戦争のコストとして決して受け入れられるものではありません。

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ユニセフが緊急支援物資をトラックで輸送、イラク南部入り:
バスラ郊外に6台のトラックが向かう一方、バグダッドでの停電を懸念

[アンマン 2003年4月4日]
 ユニセフは、6台のトラックをバスラ郊外に送りこみました。現在のところ、これが同地域に届いた初めてのユニセフのトラック輸送による支援です。

 これらのトラックは、ユニセフが実施するこれまでで最大規模のタンカー輸送団の一部です。計11台のトラックから成る輸送団は、今日、クウェートから国境を越え、イラク国内に入りました。

 トラックのドライバーは、サフワン、ズバイル、そして南端のバスラの各都市に、ユニセフの支援物資を配る予定です。これまで非常に欠乏していた水、及び、緊急保健キットが届けられます。

 4日前、ユニセフのトラックのドライバーがズバイルから戻って来た際、地元の病院のヘルスワーカーが子どもたちに必要と言う50品目以上の医薬品のリストを持ち帰りました。今日、病院に届けられる支援物資の一部には、ユニセフの医薬品キットが含まれていますが、これより3ヶ月間、1万人分の医薬品を提供できます。

 課題は、イラクのどこにいようと、支援を必要としている子どもたちに物資を届けることです。

 トルコからイラク北部への支援物資の輸送にも成功しており、今週前半、ユニセフの基礎支援物資を積んだ2台のトラックが現地に入りました。明日には、新たに12台のトラックが現地に向かう予定です。

 イラクで水と衛生分野における中心的な機関として活動しているユニセフが、現在非常に懸念しているのは、バグダッドでの停電というニュースと、この停電がイラクにおける給水に及ぼす影響です。ユニセフは、バスラで電気がストップした際、一般市民の人道的状況が急激に悪化したのを目のあたりにしてきました。こうした懸念を念頭に、ユニセフは紛争が始まる前に、たとえバグダッドで電力が停止しても、きれいな水が利用できるよう力を入れてきました。500万人の人々が、毎日の生活用水−飲料水、洗浄水、調理用水-を給水システムに依存しています。

 水の供給の崩壊により、子どもたちは非常に大きな危険にさらされます。イラクでは、70パーセントの子どもが安全でない水を利用していることに関連して命を落としているのです。

 イラク国内のすべての子どもたちが、この紛争の影響を被り、最初に犠牲を払わなければならないのです。

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募金のお願い

 財団法人日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支えるため、イラク緊急募金の受付を開始いたしました。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。