財団法人日本ユニセフ協会




ユニセフはイラク北部で学校保健プログラムを再開

子どもたちの健康にとって必要なニーズが満たされていることが保障されているか調査

[アンマン 2003年4月14日]
 イラク北部の、ドホーク、アルビル、スーレマニアの3自治州では、すべての学校が再開し、授業が再び始まりました。こうした混沌とした状況下で、平常な状態を作りあげる最初のステップとして、これは非常に重要なことです。

 また、ユニセフは、イラク北部で学校保健プログラムを再開しました。そして、子どもたちの健康にとって必要なニーズが満たされていることが保障されているかを調べています。同時に、ユニセフは、イラク軍によって使用されていた学校に、子どもが戻っても安全かどうかのアセスメントを行っています。

 イラク全土で急速に情勢が改善しているのに伴い、多くの国内避難民の家族がそれぞれの家に戻っています。ユニセフは、イラク北部におよそ3,000人の国内避難民が残っているものの、紛争時の30万人からは減少していると推定しています。

 比較的安定したイラク北部と比べ、他の地域では無法地帯となっているところが目立ちます。イラク中・南部の15州では、学校はいまだに閉鎖され、さらに子どもが苦しんでいる心的外傷(トラウマ)を解消することのできる安定した環境の整備が遅れています。

 ウムカスルでは、ユニセフとボランティアが、コミュニティ子どもケア・ユニット(CCCU)で、栄養不良の子どもたちをチェックし始めています。ユニセフは、こうした施設で戦争勃発前から働いている多くのボランティアを動員しています。

 これは非常に重要な進展です。支援を効果的なものとするためには、ユニセフは現場におけるカウンターパートが必要です。バース党組織の崩壊と基礎的社会インフラを丸裸にしてしまう略奪の中で、CCCUの再建は、イラクの子どもたちの人道的なニーズを満たすために必要な人材が再び投与されているという、良い兆候です。

 ズバイルでは、今週、多くのボランティアを配置して、CCCUの立ち上げと運営のために、さらなるアセスメントが行われる予定です。

 現在、CCCUのような施設は非常に重要です。なぜなら、栄養不良に直接つながる下痢の症状に苦しむ幼い子どもたちが急激に増加しているからです。こうした子どもたちを早期に支援することで、私たちは子どもたちが回復するのに必要なケアを提供することができるのです。CCCUが無ければ、こうした状況下では、下痢は子どもたちの命を奪います。

 ユニセフは、医師からの要望に応じて、今日、ORS(経口補水塩)1万袋をナシーリャに送りました。ウムカスルのように、このところナシーリャは5歳未満の子どもの下痢の症例が増加しています。

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[アンマン 2003年4月11日]
 バグダッドの治安がまだ改善していないことが懸念されます。混沌と無法状態下では、もっとも弱い立場におかれている人々、つまり、子どもたちが必ず苦しむのです。

 例えば、バグダッドやその他の中心都市で、地域の病院で略奪をする人々の様子が見られます。ユニセフは、これらの病院で何年もイラクの子どもの健康を改善し、栄養不良を減らすために活動してきました。

 イラクにある63の小児科病院には、栄養回復センターがあり、重度の栄養不良の子どもたちを治療しています。こうした病院における治療の結果、過去2年間に、慢性栄養不良を50%以上減らすことができました。しかし、現在、子どもたちがこうしたサービスをもっとも必要としている時に、病院が崩壊しています−イスが、机が、薬が奪われているのです。基礎的な社会インフラの維持が保障されるよう、連合軍はあらゆる方策をとられなければなりません。さもなくば、すべての人道支援が妨げられ、率直に言って、人々が死んでしまうのです。

 同時に、治安が改善した地域では、ユニセフは支援を必要としている人々に支援を広げています。

 南部では、昨日よりも勇気づけられる改善が見られます。4台の給水車がズバイルへ出発し、地域の人々と話をし、必要とされる水の配給を管理するコミュニティのリーダーを選んでもらいました。そして、地域のイマム(宗教指導者)が選ばれ、彼がコミュニティでよく知られた地域の人々をリクルートしました。 その結果、秩序だったプロセスで配給が行われ、救援活動についてコミュニティ自身の組織化が始まるという好ましい形跡も見られています。 

 今日、さらに10台のトラックがイラク南部へ向かいクウェートを出発しました。4台がウムカスルに、6台がズバイルに向かっています。

 また、ウムカスルにおける下痢の蔓延に関する情報として、最新の数字では、問題が拡大しています。木曜日にウムカスルの病院で医師の診察を受けた130人の患者のうち、40人(3分の1以上)が重症の下痢で、5歳未満の子どもも含まれます。これは、きれいな水、あるいはその不足が、イラクの一般市民にとっていまだに重大な脅威であるという私たちの懸念を強調する事実です。

 一方、北部では、今日午後、7台のトラックがトルコ南東部よりイラク北部に入ります。トラックは必要とされている多くの水と衛生支援物資−例えば、給水ポンプや配水パイプ−と、様々な医療機器を運んでいます。

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募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。