財団法人日本ユニセフ協会




学年末試験:イラクの治安にとって本当の試金石

【バグダッド 2003年6月17日】
 イラクでは、すべての子どもを学校に戻すことが、ユニセフやそのパートナーにとっての目標であることに変わりはありません。しかし、国内のほとんどの地域で治安が確保されていないことをユニセフは深く懸念しています。

 結果として、治安が悪いために、子どもたち—特に女の子—の学校への出席率が許容できないほど低いままです。出席率は、地域と学校により異なり、全体では60%と推定されますが、これは戦争前のレベルよりもかなり低いままです。

 直近では、イラク全土で学年末試験の実施を保障することが大きな課題です。6月21日より始まる学年末試験の準備が続けられています。

 学年末試験と関連した教育やロジスティックスの問題とともに、予防的な治安対策が計画されています。親たちにとって、子どもたちが試験を受けている間の安全が保障されることが必要なのです。

 ユニセフ、教育省、警察の代表者が、試験問題を輸送するコストや学生証、コミュニケーション、警察のエスコートなど、安全に関する事項の見直しを行っています。

 生徒−特に女の子−の安全を保障することは、すべてのパートナーに受け入れられています。

 ユニセフは、試験冊子1,500万冊を印刷するための資金援助をしており、そのうちいくつかは既に州に配布されました。

 学校と試験センターの中には、現在、連合軍により占拠され、軍の基地として使用されている所もあります。また、学校が新しい政党により本部事務所として使用されているケースもあります。

 これまでのところ、ユニセフは「スクール・イン・ア・ボックス(教育資材キット)」500キットを配布し、その結果、生徒4万人と先生1,000人が恩恵を受けています。

 一方、特にバグダッドでは、主要な学校の修復が始まっています。ユニセフは、この夏に2,000校の学校修復を行うために、米国企業を含むパートナーなどと協力しています。日本政府の最近の貢献の一部は、350校の修復のために利用されます。

 いくつかの学校は、子どもに優しいスペース/ゾーンとして使用されます。こうしたスペースは、レクリエーション活動の提供と子どものカウンセリングのために使われる予定です。加えて、そこでは保健、衛生の実践も奨励されます。

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イラク全土で子どもへの通常の予防接種活動が復旧

過去90日間に生まれた新生児21万人は予防可能な病気にかかりやすい状態

【バグダッド・ジュネーブ 2003年6月16日】
 ユニセフの支援を受け、イラク保健省は、国中の420万人の5歳未満の子どもたちに対し、ポリオ、破傷風、ジフテリア、百日咳、はしか、結核といった予防可能な病気に対する予防接種を実施するためのプロセスを開始しました。WHO(世界保健機関)もまた、子どもの命を奪う病気の監視システムの再構築を通じて、イラクの拡大版予防接種事業の復旧を支援しています。

 ユニセフによると、2003年3月20日に軍事行動が始まって以降、通常の予防接種を受けられた子どもは一人もいません。 「過去3ヶ月間に、イラクでは、およそ21万人の子どもが新たに生まれています」とユニセフ・イラク代表カレル・デ・ロイ氏は述べます。「この子どもたちのうち、誰一人として、子どもを衰弱させ、死を招く、子どもが感染しやすい数多くの病気に対する予防接種を受けていないのです」

 「親は、新生児や幼い子どもたちにとってこうした予防接種がいかに大事かよく分かっています。乳児の免疫システムは、こうしたワクチンがなければ非常にもろいもので、病気の感染に対しても脆弱です。そして、現在のこの国の状況を考えれば、今すぐに予防接種を受けられなければ、より大きな危険にさらされことになるのです」と、デ・ロイ氏は付け加えました。

 旧政権の崩壊によって、イラクの保健システムの多くも崩壊しました。保健省の機能は止まり、首都と地方との通信もできなくなり、通常の予防接種事業のような命に関わるサービスまでが崩壊し、子どもたちを病気の危険にさらしています。

 戦争はまた、ワクチンの保管にも影響を与えています。ワクチンはバグダッドのワクチン・血清研究所の建物に保管されてきました。しかしこの研究所は戦争中にミサイル攻撃を受け、保管庫ではすべての電気が使えなくなりました。

 「電気が使えなければ、ワクチンを保存するためのコールド・チェーンも駄目になってしまいます」とデ・ロイ氏は話します。「そして、略奪者が、協会の配線やコンプレッサー、配電盤などを持ち去ったことによって、コールド・チェーンの早急な復旧は不可能になり、さらなるダメージがもたらされました。しまいに、すべてのワクチンのストックが使用できなくなってしまいました。」

 この状況を克服するため、ユニセフは、保健省と共同で、通常の予防接種プログラムの再開に向けて何百万回分ものワクチンを運び入れています。米国国際開発庁の助成金230万米ドルで2500万回分のワクチンが購入されました。

 ユニセフはまた、イラクのコールド・チェーンを修復するために保健担当の役人たちと活動しています。これにより、運び込まれたワクチンを適切に保管できるようになります。この修復プロジェクトの資金185万米ドルは、英国国際開発省からの資金によってカバーされました。

 「ユニセフと保健省は、この国の通常の予防接種システムを再構築する保健イニシアチブに集中してきました。それは、イラクの子どもたちの健康を守るための主要な優先課題です」とデ・ロイ氏は述べています。「この努力の規模と重要性は過小評価できません。そして、今日、イラク全土で予防接種がはじまったことをとても喜んでいます」

 ユニセフとWHOの支援により、イラクではポリオフリーが宣言されています。はしかはコントロールできる状態にあり、妊産婦/新生児破傷風も排除されています。

 しかし、ユニセフによると、これらの成果は通常の予防接種活動が早急に再開されなければ、すぐに失われてしまうものです。イラクでのポリオ再発は、近隣の国々への感染のリスクが発生することを意味し、ひいてはこの地域全体を脅かすことになります。

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募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。