財団法人日本ユニセフ協会




ユニセフは戦争の影響を受けた
イラクの子どもたちのニーズの調査を実施

【バグダッド 2003年6月26日】
 ユニセフは、5つの国際援助団体とチームを組み、現在のイラクの子どもたちの状況を調査しています。調査は、子どもたちの生存に対するリスクと、戦後のイラクの子どもたちが直面している課題に打ち克つのに役立つ家族やコミュニティの中に存在する対処メカニズムに焦点をあてます。

 ユニセフのパートナーに含まれるのは、クリスチャン・チルドレンズ・ファンド、セーブ・ザ・チルドレンUK、ワールド・ビジョン・インターナショナル、国際救援委員会、セーブ・ザ・チルドレンUSです。

 「まず組織をまたいだ調査が、イラクの国レベルで行われなければならない」と、ユニセフ・イラク代表カレル・デ・ロイ氏は言います。

 「以前は、 ストリート・チルドレンや孤児、あるいは施設で暮らす子どもについての詳細な調査を行うことなど、現実問題として不可能でした。」デ・ロイ氏は言います。「1990年代後半まで、イラク政府は児童労働や路上に暮らす子どもたちが存在することすら認識していませんでした。この新しい調査が、イラクの子どもたちのニーズを理解するために非常に重要なのは、そのためです。」

 また、イラクの18の州すべてをカバーして、子どもたち自身の声を聞き、子どもたちを支援する新しいプログラムに統合することを保障するために、子どもたち自身から情報を収集するという点でも、この調査は重要です。

 「毎日道を歩くとき、学校に行くときに、自分たちが直面する危険が何であるかについて、イラクの子どもたちは誰よりもよく理解しています。そして、自分たちの生活を改善し、安全に感じ、繁栄するためには、何が必要であるか、イラクの子どもたちは誰よりもよく理解しているのです。」デ・ロイ氏は付け加えます。

 プロジェクトは、ストリート・チルドレンや働く子どもたち、施設に収容されている子どもたち、そして法律を犯した子どもたちを含む、特に弱い立場におかれた子どもたちを探し出す予定です。調査によって、こうした子どもたちがどこにいて、子どもたちのニーズが何か、そしてイラクのどの地域に特別な注意が向けられるべきか、詳細に計画されるでしょう。また、この調査は、不発弾や児童労働、性暴力といった、子どもたちのリスクにも焦点をあてます。

 デ・ロイ氏によると、調査により、戦争により弱い立場におかれるようになった子どもたちの緊急なニーズを明らかにするする一方、調査を実施する援助機関が、子どもたちの緊急なニーズに対応することができるようにします。

 「これは単なる調査ではなく、ユニセフと献身的なNGOパートナーが、支援を必要とするどんな子どもも即座に支援することができるようにするため、子どもたちとコンタクトを取るための手段なのです。」デ・ロイ氏は言います。

 また、ユニセフはフランスのNGO「アンファン・ドュ・モンド」と協力し、バグダッドのストリート・チルドレンをケアし、支援しています。ユニセフは、パレスチナ・ホテル−ここには、多くのストリート・チルドレンが集まっています−の近くに、ドロップ・イン・センター(一時避難所)として使用するための建物を探しているところです。

 このセンターは、子どもたちに安全な場所—路上の危険から逃れ、安心し、遊び、あるいは訓練を受けたカウンセラーと話をする場所—を提供します。

 また、ユニセフは移動式のドロップ・イン・センター—ストリート・チルドレンの多くいる地域を巡回する移動式の家—を支援しています。この移動式センターは、子どもたちが質の高いソーシャル・ワーカーと話し、体をきれいにし、あるいはただ路上生活をやめることができるようにします。

 こうした活動により、子どもたちとともに、ユニセフと「アンファン・ドュ・モンド」が、協力関係を築きあげることができるようになります。その結果、子どもたちのニーズが何か、そして、どのようにわれわれ援助機関が一番良い方法で子どもたちを支援することができるかわかるようになるのです。

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募金のお願い

 ユニセフによるイラクへの緊急支援を求める発表を踏まえ、日本ユニセフ協会では、今後さらに必要とされるイラクの子どもたちへのユニセフの人道支援活動を支援するため、イラク緊急募金の受付を開始します。多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。