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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第191報
「未来の教室を考えよう」ワークショップ
大槌町と子どもたちにフィードバック

【2013年3月22日 盛岡発】

© 日本ユニセフ協会
2013年3月22日 大槌町教育委員会で報告する佐藤アドバイザー(写真中央左)と岡田アドバイザー(写真中央)

「子どもに優しい復興計画」支援の一環として、2012年、岩手県大槌町で3回にわたり実施した「未来の教室」ワークショップ(第170報)。その内容が、このたび、当協会の子どもに優しい復興計画支援アドバイザーの手で報告書としてまとめられ、大槌町に提出されました。 本支援事業のアドバイザーを務めるのは、都市計画・まちづくり学習や自然災害科学等を専門に活躍する山形大学地域教育文化学部の佐藤慎也教授と、子ども環境学会「東日本大震災復興プラン国際提案競技『知恵と夢』の支援」コンペで最優秀賞を受賞した竹中工務店の岡田慎氏。 報告書は、3回のワークショップと、それに続く子どもたちの意見交換会(昨年12月7日、授業時間を使って実施)の内容をまとめた「実施記録」やワークショップ資料、子どもたちのアイディアを技術的・専門的な観点から咀嚼したデザイン指針案をまとめた「復興提言」で構成。また、これとは別に、子どもたち向けの報告書も作成。ワークショップで子どもたちが形にした模型とアイディア一つ一つに、両アドバイザーがコメントを寄せています。

復興計画への反映

3月22日、当協会の東日本大震災支援本部と岩手県ユニセフ協会のスタッフは、佐藤・岡田両アドバイザーとともに、大槌町教育委員会と復興庁岩手県復興局を訪問。報告書を提出。両アドバイザーから、「(ワークショップでは)子どもたちの強い経験からくる思いがアイディアとして出てきました。私たちが想像していた以上の内容のものが出てきました。そのまま形にするのは難しいものもありますが、そのアイディアが出てきた背景や思いを拾い上げ、新設される小中一貫校の計画に反映して欲しい」と、新たな教室・学校づくりに、子どもたちのアイディアや“思い”が活かされるよう、ワークショップの成果が報告されました。

この報告を受けた大槌町教育委員会は、「このアイディアをどうにかまとめて設計仕様書に反映させたい。(子どもたちから)出てきたアイディアだけでは、実際の計画に反映させるのは難しいと悩んでいたが、今回(専門家が咀嚼した)“デザイン指針”という形でまとめていただいてとてもありがたい」と述べられ、「例えば新校舎に、ワークショップの様子やアイディア、またそれがどのように形になったかがわかるような展示もできたらいい」など、子どもたちのアイディアの具現化に向けて、教育委員会とアドバイザーの様々な思いが語られました。復興庁岩手復興局の山下一也さんからは、「これだけのものを短期間でここまで形にしていただけたことに感謝したい」(今回、子ども向けの「報告書」が別途作成されていることを受け)「復興庁も、復興計画の子ども版を作りたかったが断念した。子どもに理解できる形で示すのは大事。これはすごくいいと思う」との評価をいただきました。

復興の主役は子どもたち

今回で一つの区切りを迎えた、大槌町の「未来の教室」ワークショップの取り組み。岡田・佐藤両アドバイザーは、子どもたちがこんなポテンシャルを持っていることに気付いていないおとなはたくさんいる、今回のことを実現させていくことで、もっと子どもたちのことを知ってもらいたい、そして、この取り組みの本当の成果は、おとなが子どもたちの声を聞きともに復興に向かって歩むことだと語ります。

当協会が取り組む「子どもに優しい復興」支援は、まだ終わっていません。震災から2年が経ちました。「そろそろ“被災した子どもたち”だけではなくて、“希望を見つけてがんばっている子どもたち”の姿を伝えていきたい」両アドバイザーは、口を揃えて、今後への抱負を語ってくれました。

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