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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災復興支援 第221報
「父親支援のためのシンポジウム」岩手県大槌町で開催

【2013年11月18日 岩手・大槌発】

© 日本ユニセフ協会
シンポジウムの様子

東日本大震災で父子世帯となった家庭や、子育てに従事するお父さんを応援する「父子家庭+父親支援事業」。NPO法人新座子育てネットワークとの連携の下、2011年10月から宮城、岩手、福島の各県で今事業を展開している日本ユニセフ協会は、11月18日(月)、岩手県大槌町で『父親支援のためのシンポジウム』を開催しました。

2011年から2012年にかけて実施された、宮城・岩手両県での活動を通じてハンドブックやガイドブック、サポートファイルなど、「お父さん支援」のための各種ツールを開発。父子家庭支援に関わる方々を対象に、ツールの活用法などに関する研修会開催や、地域での父子イベントへの助成などの支援を行ってきました。これらの活動を踏まえ、2013年は活動対象を福島県にも拡大。並行して、父子家庭支援や父親支援に対する理解とサポートを広げるために、一般の方々も参加できるシンポジウムを開催し、父親支援の重要性を啓発する活動を続けてきました。

当事者の声

© 日本ユニセフ協会
支援側と当事者側の双方からの意見が活発に交わされました

岩手県でのシンポジウム開催は、今年8月23日の盛岡市に続く2回目。平日午後の開催にも関わらず、会場のシーサイドタウンマスト2階ホールには、自治体や社会福祉協議会、民生委員、保育士、NPO など、行政や民間の支援関係者が参加。総勢40名を超える参加者の中には、”当事者”であるお父さん方の姿も見られました。

シンポジウムでは、新座子育てネットワークの坂本純子さんのコーディネートにより、様々な方々が集まり、同ネットワークと日本ユニセフ協会によるプロジェクト、岩手県県南部を中心に活動する男性保育士の会、遺児家庭支援員を任用している岩手県沿岸広域振興局保健福祉環境部、そして、児童家庭支援センターや里親支援機関を有する児童養護施設の立場から地域と連携してお父さん支援を続ける大船渡市の大洋学園により、活動報告がありました。続いて、「お父さん支援シンポ」としてはじめて、当事者=お父さんから、震災から2年8か月経った父子家庭の生活の“今”が報告されました。

今一番必要なものは?

参加者から事前に集められた質問で構成された第2部。支援側の専門家と当事者側の双方から、集められた質問に対する回答にとどまらず、さらなる質疑応答と意見交換が活発に交わされました。以下、その一部を紹介します。

質問: 「父子家庭にどのような接し方をしたらよいか?」
回答:

「職場の休憩時間にお話を伺ったり、電話をしたり、何らかの形でつながることを意識する。」(支援者)

「何かできるのでは?という気持ちで訪問しがちだが、各種制度のお知らせなど必ず伝えなければいけない情報をお渡しし、それ以外は押し付けにならないようにする。」(支援者)

「漠然と「大丈夫ですか?」と聞かれでもどう回答したら良いか困るので、具体的に聞いてほしい。」(当事者)

質問: 「多様化するニーズに支援者としてどう対応するか?」
回答:

「震災後、発達支援のニーズが高まっているので、希望される場合には、専門職につなぐなど柔軟な対応が求められている。」(支援者)

「父親同士で相談しにくいこともあるので、学校の先生などに相談したい」(支援者)

質問: 「今、一番父親に必要な支援は何ですか?」
回答:

「子どもとふれあう時間を大切にしてほしい。」(当事者)

「家事をやってもらいたいが家に来られても困るので、コインランドリーとの行き来やお弁当の宅配などがあれば便利。」(当事者)

「関心があっても時間がなくて来られない父子家庭は多いと思うが、場の設定は大切。」(支援者)

毎回、「父親支援の意義と必要性について理解できた」などと、参加者から好評の「お父さん支援」シンポジウム。今回は、「震災で父子家庭になられた当事者の方の声を聞くことができて良かった」という声も多く寄せられました。

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