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財団法人日本ユニセフ協会



深刻化する中東情勢:戦禍に巻き込まれる子どもたちへの支援

【2006年7月20日、ニューヨーク発】

©UNICEF Denmark/2006/John McConnico
レバノンへの空輸準備が進む緊急支援物資(19日 コペンハーゲン ユニセフ物資供給センター)

レバノンとイスラエルで激しい戦闘が続き市民を取り巻く情勢が深刻化する中、ユニセフは現地に援助物資を届ける準備を進めています。

「子どもたちは、再び戦争の被害者となっている。いかなる紛争においても、子どもを守ることは国際的な責任である」、とユニセフは訴えています。

これまでの戦闘による死者、負傷者は数百人にのぼります。レバノンでは1週間前に始まった武力衝突によって、これまでに数十万人が住む家を奪われました。

ユニセフ事務局長アン・ベネマンは、現地時間19日、「現時点で、死者約300人、負傷者約700人。その3人に1人が子どもと推定されています」と、CNNのインタビューに答えています。「子どもたちは筆舌に尽くしがたい衝撃を受けています。とても理解できない状況を目の当たりにさせられているのです」

ユニセフは、WHO(世界保健機関)との合同声明の中で、戦闘は特に子どもたちに深刻な精神的被害を与えると警告しました。2つの国連機関は、レバノン政府保健省と協力し、心臓血管病や糖尿病などの急性・慢性疾患の治療に必要な医薬品や、汚水による病気を防いだり、安全な飲料水を確保するための浄水剤を提供する活動も続けています。

しかしイスラエルによるレバノンへの爆撃と、ヒズボラによるイスラエルへ攻撃が続く中、この地域の子どもたちへの援助を行うことは、ユニセフとWHOにとっても簡単なことではありません。

「攻撃が続くレバノン国内では、いまだ十分な援助を行えていません。救援物資を届けるためには、安全な支援物資輸送ルートの確保が必要です」と、現地のユニセフスタッフは訴えます。

輸送路の確保への努力を続ける一方、ユニセフ・レバノン事務所とコペンハーゲンのユニセフ物資供給センターは、医薬品、飲料水や衛生の確保に必要な物資、レクリエーションキットといった重要な緊急支援物資を現地に届ける準備を進めています。

支援物資は今週中(現地時間23日まで)にコペンハーゲンを出発。シリアの首都ダマスカスに空路で届けられ、その後陸路でレバノンに送られる予定です。支援物資の中にはファミリー用浄水キットが500キット積まれています。キットには石鹸、バケツ、浄水タブレットなどが含まれ、1つのキットで安全な飲料水10人分が確保できます。

一方、パレスチナ自治区周辺の武力衝突も続き、ガザ地区への人道支援も制限されています。電力供給システムが損傷したガザ地区では、地元住民への深刻な病気をもたらす危険性を高めています。

ガザ地区には、19日までに、特に必要とされていた緊急支援物資が届きました。

ユニセフは、飲料水、衛生(汚水処理)、そしてゴミ処理に必要不可欠な燃料を現地に届けました。これによって、子どもたちの下痢や栄養失調といった疾病へのリスクを多少ながらも緩和することができます。ユニセフはまた、緊急の医療キットを負傷者や深刻な病気を抱える患者が入院しているガザ地区の病院と保健センターに提供しました。一週間後には、更に多くの医療キットを多く含む第2陣の援助物資も届く予定です。

ユニセフは、中東地域で同時進行している人道危機の全ての場面で、支援活動を展開しています。