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財団法人日本ユニセフ協会




ミャンマー サイクロン被害第2報
  国際社会からの更なる支援が必要
−ユニセフ現地事務所からの報告−
 

【2008年5月6日 ミャンマー・ヤンゴン発】

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF/2008/Osamu Kunii
サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。 (ユニセフ ミャンマー事務所の日本人職員 國井修氏撮影)

今月2日から3日にかけミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス(Nargis)」。ヤンゴンを始め国内10箇所に常設されたユニセフの現地事務所では、131名のスタッフを総動員し、多くの死者が報告されているイラワジデルタ地帯の被災地域への緊急支援物資の提供を始めました。

「具体的にどれ程の被害なのか、まだ全体像が見えてきません。でも、被災地では、生き残った多くの人々が家を失い、屋外での生活を余儀なくされている様子です。私たちも、『万が一』のために備蓄しておいた緊急支援物資や、通常の支援活動のために購入しておいた様々な物資を使って、緊急支援活動を始めています。」 6日朝、ユニセフ ミャンマー事務所で保健・栄養事業を統括する日本人職員 國井修さんは、現地の様子をこう伝えてきました。

サイクロンの被害を受けた旧首都ヤンゴン市内の状況。
© UNICEF/2008/Osamu Kunii
旧首都ヤンゴンでは、電力供給などのインフラが甚大な被害を受けています。 (ユニセフ ミャンマー事務所の日本人職員 國井修氏撮影) )

今回、サイクロンの被害に遭った地域は人口が密集し、主食の米作地域も被害を受けています。

現地報道が伝えるミャンマー政府発表によれば、これまでに確認された死者は約22,500人。41,000名が行方不明とされていますが、これ以上の詳細は未だに明らかになっていません。今回サイクロンの被害が及んだ旧首都ヤンゴンと周辺地域には、約1,200万の人々が住んでいました。このことからも、相当数の死者と怪我人、そして、100万人規模の被災者が発生した可能性があると国連は予測しています。

寸断されている道路
© UNICEF/2008/Osamu Kunii
道路が寸断されているため、ユニセフは、15万5000人分の医薬品や家庭用保健キット、浄水用の溶液、経口補水塩、防水シート、ユニセフ家族キットを含む緊急支援物資を現在、ヘリコプターで輸送しています。 (ユニセフ ミャンマー事務所の日本人職員 國井修氏撮影)

水、食料、避難所が圧倒的に不足

被災各地に入った5つのユニセフ初動支援チームからは、広範囲にわたる深刻な被害が報告されています。水や食料、避難所が圧倒的に不足していると報告しています。ユニセフは既に、被害の大きかったイラワジデルタ地帯のラプッタ地区などの2つの地区やヤンゴンで、医薬品や医療資材、水浄化剤や下痢による脱水症状を治療のための初期治療キット、経口補水塩、石鹸や調理器具、避難用具などが入った緊急支援キットの配布を始めています。サイクロンの被害により道路などが寸断されている地域には、ヘリコプターでの輸送をはじめました。

ユニセフは、現在も引き続き被害状況の確認を進めていますが、被災地があまりに広範囲にわたり、またその内容もあまりに甚大なため、他の国連や人道支援機関と緊密に連携をとりながら、活動を進めています。ユニセフは、スマトラ沖地震・津波など世界の自然災害や紛争地での緊急支援活動の時と同様、今後、水と衛生(トイレ)などの命を守るために必要な基本的な支援活動と合わせ、保護者を失ったりした子どもの保護や学校教育活動の再開などの活動に、中心的な役割を果たして行きます。

サイクロンの被害地域は、人口が密集していました。
© UNICEF/2008/Osamu Kunii
サイクロンの被害地域は、人口が密集していました。稲作地域も被害が甚大です。 (ユニセフ ミャンマー事務所の日本人職員 國井修氏撮影)

旧首都ヤンゴンでは、軍政府が電気と水の供給回復に努めています。同政府はこれまでに「緊急事態」を宣言しましたが、国外から支援物資を届けようとする国連職員に入国ビザを発給していません。

「ユニセフには、現地に備蓄していた物資があり、すぐに緊急支援活動をスタートすることができました。しかし、その量は十分ではありません。最新の被害状況を見れば、追加の支援が必要なことは明らかです。国際社会のみなさまのご支援をお願いします。」 (ユニセフ本部緊急支援プログラム カリー・エッジ副部長)