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財団法人日本ユニセフ協会



パキスタン緊急募金 第61報
支援活動を拡大へ

【2011年9月19日 パキスタン発】

© UNICEF Pakistan/2011
パキスタン・シンド州の避難キャンプで水を汲む女性達。パキスタン史上最悪の洪水被害から1年後、パキスタンは再び深刻なモンスーンによる洪水被害に見舞われ、被災者数は540万人にのぼっています。

一年に2度にわたるモンスーンによる豪雨と洪水被害に見舞われているパキスタン。2010年に発生した洪水被害の傷跡がまだ深く残る中、この地域の人々は、日常の生活を取り戻すことさえままならない状況に置かれています。豪雨による被害は、シンド州南部の広範囲におよんでいます。

激しい雨が降り続く中、被災者数は、既に540万人にも上っています。(パキスタンの人口構成を考えると)被災者の半数は子どもと見られています。更に多くの人々が、雨が止むことを祈りながら何とか耐え忍んでいる状況です。洪水の汚れた水が家屋と村落を飲み込み、数十万人の人々が、飢えや病気の危険に直面しています。

妊娠9ヵ月のハジラさん(40歳)は、ミルプル・クハス市の低所得世帯が集まる集落で暮らしていましたが、洪水により、安全な場所への避難を余儀なくされました。

「今は安全なこの場所に座っていることができています。でも、まだ誰も助けの手を差し伸べてくれていません。所持品は全て失いました。食糧だけでなく生活に必要なもの全ての助けが必要です。」

最も困難な立場に立たされている子どもたち

降り続く雨により、国内最大のインダス川が増水。シンド州の被災地域を流れる河川が氾濫し、浸水する恐れがあります。もしそうなれば、更に多くの死者と被害が出るものと懸念されています。

こうした被災者の大多数が、道路や決壊を免れた川の土手の上などでの避難生活を強いられています。安全な避難場所が緊急に求められています。幸運にもテントを持ち合わせている人はほんの僅かで、多くの人々は、絶望的な状況の中で支援を待っています。被災者は、ほんのわずかな所持品を手に、安全な場所を目指して汚水の中を歩いて避難しているのです。

他の自然災害や人道危機の被災地と同様、今回も、最も困難な立場に置かれるのは子どもたちです。おとなよりも数が多い子どもたちは、洪水がもたらす様々な危険に晒されやすいのです。食糧や清潔な飲料水の不足、衛生施設(トイレ)、公衆衛生、医療サービスの欠如は、子どもたちが水を媒介とする疾患にかかるリスクを非常に高くするのです。

ユニセフの支援

こうした厳しい環境での避難生活。人々は、洗濯や洗い物に汚水を使用せざるを得ず、時にはその水を飲料水としても利用しています。また、こうした人々は、屋外で排泄する以外に選択肢はありません。広大な地域が、汚物や動物の死骸が浮かぶ汚染された水で覆われています。ハエや蚊も大量に発生しています。

パキスタン国内で活動する様々な人道支援機関と連携して、ユニセフは、シンド州の最も被害の深刻な地域での支援活動をスタートしました。これまでに、子どもたちに飲料水とワクチンを提供。3万人近くの人々に、毎日10万リットル以上の水を支援しています。また、蚊帳、医薬品、新生児キットも提供しています。今後数週間にわたり支援活動を拡大させ、教育、衛生、子どもの保護の分野における支援を厳しい立場にある数十万人の子どもたちに提供する予定です。