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財団法人日本ユニセフ協会



パレスチナの子どもを暴力から守るために

【2006年10月10日 ニューヨーク発】

© UNICEF video
通りで遊ぶパレスチナの子ども。ヨルダン川西岸とガザ地区の子どもたちは、続く敵対状況だけでなく、家庭や学校でも暴力を経験しています。

ヨルダン川西岸ナブラスの通りでは、非暴力にむけた特別ワークショップに向かうパレスチナの青年グループが元気そうに話していました。

ユニセフと「民主主義と人権のための欧州イニシアチブ」が支援しているこの会合は、暴力と紛争によって影響を受けた子ども達を支援するプロジェクトの一環です。

ヨルダン川西岸とガザ地区の子どもたちは、様々な場面で暴力を受けています。続いている敵対状況だけでなく、両親や教師による暴力を許容する文化的信条や慣習もその原因です。今日のワークショップでは、子ども達が学校での暴力について自分達の気持ちを話しました。 「私達は暴力と向かい合っています。でも、暴力をふるう人を慕っているときなど、難しいときもあります。」12歳のラワンは言います。「そんな時自分に問いかけます。彼らはなぜ暴力をふるうんだろう?」

ストレスを抱える子ども達
© UNICEF video
ユニセフと欧州委員会はパレスチナ10地区で暴力防止プロジェクトを実施しています。

2006年2月にパレスチナ統計中央局によって実施された調査によれば、93%の子どもたちが家庭で暴力にさらされており、45%の子どもたちが学校で暴力を経験しています。同調査では、ここ1年間で5〜17歳の子どもが暴力を受けたと51%のパレスチナの母親が述べています。

別の調査によれば、60%のパレスチナの親が、2005年から2006年にかけて自分の家の子どもが抱えるストレスが増えたと述べています。

ストレスの兆候には、不安や学校での成績が悪いこと、人付き合いに関心を持たないことが含まれます。

既にストレスを抱えている子どもたちにとってさらに悪いことに、ナブラスのワークショップに参加した子どもたちの中には、今学年授業を受けられない子もいます。ヨルダン川西岸やガザ地区の一部では学校が臨時休校になっているからです。給与が支払われないことに抗議して教師もストライキを続けています。

パレスチナ自治区での昨今の敵対状況の中で、ナブラスはヨルダン川西岸で最も孤立した町の一つです。そのため、ここの失業率は急激に増加しました。1997年には失業率は14.2%だったのが、現在は推定70%に達しています。

子どもの保護キャンペーン

ユニセフと欧州委員会はパレスチナ10地区で暴力予防プロジェクトを実施しており、300人以上の子ども達が対象となり、若者や親を含む60人のファシリテーターが関わっています。

ワークショップで子ども達は、自分達の地域でこどもの権利と保護キャンペーンを立ち上げるためのコミュニケーション能力を身に付けます。

ユニセフの非暴力プロジェクトは、地域リーダーを巻き込み、子ども達による公開討論を通じて、「子どもへの暴力は許容される」という常識に挑戦することを目指しています。さらに、プロジェクトでは、子どもの権利についての認識を親や保護者が深め、子どもたちが虐待・搾取・暴力から守られるよう支援しています。