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財団法人日本ユニセフ協会



フィリピン台風緊急募金 第4報
ベネマン事務局長 被災地から支援を求める

[2009年10月08日 フィリピン発]

© UNICEF Philippines/2009
マニラのパシグ市で、避難所として使われている小学校で、洪水被害に遭った子どもたちに出会ったアン・ベネマン事務局長。

ユニセフのアン・ベネマン事務局長は、7日、先週末、台風16号に続き台風17号が上陸したフィリピンの被害状況を視察するため、同地を訪問しました。

マニラ首都圏パシグ市の地盤の低い地域に位置するサンタ・グルズ村の人々は、深さ3フィート半(約1メートル)の洪水を経験しました。村の人々は、近くのリベラト・ダミアン小学校に避難を余儀なくされました。

台風16号が上陸した9月26日から数日間のうちに、リベラト・ダミアン学校には700人が避難しました。うち300人が子どもです。ベネマン事務局長は、学校に避難している子どもと母親たちの元を訪れました。

「本日お目に掛かった被災者の方々の状況には、胸が詰まります。被災者の方々は、住む場所を失い、学校の教室の片隅で暮らしているのです。」「しかしながら、こうした状況の中で、子どもたちが学校に戻り、勉強を再開した姿を見て、勇気付けられました。このような大規模な災害の後でも、学校の再開によって、子どもたちは日常の感覚を取り戻すことができるのです。」(ベネマン事務局長)

避難を余儀なくされた人々

© UNICEF Philippines/2009/Francia

リベラト・ダミアン小学校でベネマン事務局長が出合った母親の一人、ロッサナ・バルボアさん(40歳)とその家族は、学校の3階の教室で、他の5世帯の家族と共に避難生活をおくっています。

「とても厳しい状況です。夫は病気ですし、洪水のために働くことができません。薬を買うお金もないんです。」バルボアさんは、泣きながらこう話ました。

この小学校から30分ほどのところに、バルボアさんの家がありますが、そこに行くには、ボートかあるいは、ひざの高さまで増水した水の中を歩いて行かなければなりません。今、バルボアさんの子どもたちが、その家に留まり家財道具を見張っています。生後10ヵ月になる一番下の子どもを含む幼い子どもたちは、バルボアさんと一緒に学校に避難しています。

ユニセフの支援物資

© UNICEF Philippines/2009/Alquinto

ベネマン事務局長は、他の8世帯の家族と共に4階の教室に暮らしている6年生のジェイム・デ・ヴェネシア・ジュニアちゃんと会いました

「水が引いたら、学校に戻りたい。学校を卒業して清掃員として働いて、お父さんを助けたいんです。」ジェイムちゃんはこう話しました。

ユニセフは、パシグ市当局を通じて、避難を余儀なくされた人々のための飲料水、毛布、蚊帳、布団などが入った家族キットを配布しています。また、被災したコミュニティで活動する保健スタッフに、基本的な医療品の他、飲料水と調理用の安全な水が入った水と衛生キットも配布しました。

また、洪水によって多くの子どもが失ってしまった教科書の代わりとして、100冊の本を集めた図書館や教科書などを提供し、子どもたちが日常を取り戻すための支援も行っています。

大統領と面会

ベネマン事務局長は、今回の訪問中、フィリピンのアロヨ大統領とも面会しました。会談では、洪水被害への対応と、ユニセフが求められている緊急支援について話し合われたほか、フィリピンの子どもたちの権利を促進するための継続的な取り組みについても言及されました。

ベネマン事務局長は、また、今回の滞在中、今回のフィリピン台風被害に対する、国連の合同緊急アピールを発表。ユニセフは、この中で、洪水被害に見舞われた人々の支援活動資金として、1,270万米ドルの支援を国際社会に求めています。この緊急活動資金は、安全な飲み水、学校用資材、病気の流行を防ぐための必須医療品の提供や、親や保護者と離れ離れになったり、親や保護者を亡くした子どもたちを保護し、登録するために必要な資金です。