公益財団法人日本ユニセフ協会
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ソマリア干ばつ緊急募金 第20報
太陽光発電式ポンプが拓く子どもたちの未来

【2011年9月12日 ケニア発】

ケニア北東部に位置するワジールの中でも最奥地にある道路脇で、多くの人々が給水タンクの周りに集まり忙しく動き回っています。

今しがた、待ちに待った飲料水が給水車で運ばれてきたのです。最近の干ばつによる危機的状況の中、町の人々は、水が干上がる前に生活に必要な水を確保したいと願っていました。ケニア北部の干ばつによる最も大きな影響を受けた地域では、幼い子どもたちでさえ水を汲む手伝いをしていました。

ハワ・ノアちゃん(4歳)は、水を入れるために上部を切り取ったプラスチックの容器を手に、列の先頭に立って並んでいます。ハワ・ノアちゃんの叔父のイスマイル・フセインさん(22歳)は、容器いっぱいに水を汲んでいます。トラックで運ばれた飲料水だけに頼らざるをえない生活を余儀なくされているイスマイルさんは、水が不定期にしか供給されない状況を心配していました。

「この干ばつの中、私たちには、この水が毎日必要なのです。」「それなのに、水の供給が、数週間も滞る場合があります。」(イスマイルさん)

深刻な干ばつの中、水源を井戸に頼っていた全てのコミュニティが、こうした被害に苦しんでいます。

さらに深い井戸を

© UNICEF video
トラックで運ばれたばかりの長く待ちわびた水供給所から水を汲むワジールの人々。

ユニセフが支援しているワジール郊外にある女子校にある井戸を見れば、水位が非常に低くなっていることは一目瞭然です。学校での水の供給を確保するためには、もっと深い井戸を設置する必要があります。ワジール西部はさらに深刻な状況で、浅井戸はもはや機能していませんでした。

砂埃が舞うグリフトゥ町郊外では、村人や家畜が、まだ使える井戸の周りに集まっていました。「深ければ深いほど、たくさんの水が手に入ります。」 地元の人道支援団体の水と衛生の専門家は、干ばつが悪化しているために、井戸をもっと深く掘っていかなければならないと説明します。

救援を求めるための人々の他の地域への移動を食い止めるため、全ての農村部の長期的な水対策が必要不可欠です。

「ワジールでは、村から村へ移動している人々の姿が見られました。こうした移動の主な理由のひとつは、自分自身と家族のための飲み水を求めているのです。」ユニセフのビクター・チニャマはこう話しました。

革新的な解決策

© UNICEF video
新たに設置された太陽光発電装置付のポンプは、安全な水を間断なく供給してくれています。この装置が出来たお陰で、男女別のトイレも造ることが可能になり、結果、就学率の向上や衛生教育の普及にも貢献しています。

グリフトゥ小学校は、こうした長期的対応策の好例となった学校のひとつです。太陽光発電式の給水ポンプと給水タンクが設置され、安定的に水を供給しています。また、男女別のトイレが設置され、学校の出席率の増加やより良い衛生習慣を身につけるための教育を促進しています。

こうした対応策は、最近の危機的な状況に関わらず、ソマリア国内におけるユニセフの長期的な支援目標と結びついた形で続けられなければならなりません。「様々な取り組みをお互いに連携させています。」「水があるところには、トイレもなければいけません。トイレがあれば、こうした危機的状況の中でも、子どもたちはより良い衛生習慣を保つ方法を教わることができるのです。」(ユニセフのビクター・チニャマ)

危機的状況の中、こうした革新的な解決策が、緊急のニーズに対応するだけでなく、持続的な給水拠点の設置など、人々を、より自立的な未来へと導いています。