HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > スーダンダルフール 地域緊急支援2007/6/15
財団法人日本ユニセフ協会





ダルフールの子ども兵士解放に向けて一歩前進

【2007年6月15日】

© UNICEF/HQ05-946/Ron Haviv
スーダン解放軍の兵士を見つめる子ども(北ダルフール・エルファシ)

スーダン解放運動/軍(SLM/A)がダルフールの武装グループに関係している子ども達の引渡しを開始すると発表したことについて、ユニセフは6月11日、歓迎の意を示しました。ユニセフは今回の合意に先立ちSLM/Aと数ヶ月間交渉を続けてきました。SLM/Aは、南北ダルフールで武装グループに所属している多くの子どもたちを既に特定しているといい、全ての子どもたちを正式に特定するプロセスは来月から開始される見込みです。

ユニセフとSLM/Aが署名した合意では、SLM/Aが武装グループに所属している子どもたちの場所を一ヶ月以内に特定し、SLM/Aと国連が合同で確認をすることを約束しています。ユニセフは、政府や地元・国際NGOと協力しながら、家族との再会やコミュニティへの復帰を支援するプログラムを実施し、同時にSLM/Aの現場指揮官へ子どもの権利や保護基準についての研修を行います。解放された子どもたちはライフスキル研修や職業訓練の機会が与えられ、教育の支援を受け、レクリエーションやスポーツ、キャリアガイダンスなどの心理社会活動に参加するとともに、ソーシャルワーカーの支援で社会復帰プロセスの間、子どもたちを観察・フォローします。

紛争地での調査が困難なため、ダルフールの武装勢力に所属している子どもたちの正確な数ははっきりとわかっていませんが、ユニセフは約7,000人の子どもたちが武装勢力の中で、戦闘員や、運搬・料理・使者・護衛などの補助的な役割についていると推定しています。

ユニセフスーダン事務所代表のテッド・チャイバン氏は言います。「SLM/Aとの今回の合意は、プロセスの始まりにしかすぎません。子どもたちがきちんと特定され、適切な再統合プログラムが運営されるようになるまでには時間がかかるでしょう。しかし、この合意を子どもたちのための具体的で現実的な行動へ移し、他の武装勢力も所属している子どもたちの解放に合意することを期待しています。このような子どもたちはダルフールの中でももっとも弱い立場に置かれています。彼らは家へ戻り、子ども時代を取り戻す機会が与えられなければいけません。」

ダルフールの現状 (2007年4月時点)

  • 国内避難民の数  200万人(内100万人は子ども)
  • 2007年1月以降新たに避難民となった人の数  8万人
  • 5歳未満の子ども推定75人が毎日病気など様々な要因で命を落としている
  • 5歳未満の死亡原因の3割は下痢性疾患による
  • 小学校就学率  63% (2006年) 47%(2005年)
  • 清潔な水を使うことのできる人の割合 73%(2006年)  63%(2005年)

2006年のユニセフの主な活動の成果

© UNICEF/HQ06-0586/Shehzad Noorani
南ダルフールのニヤラで学ぶ子どもたち
ユニセフは教科書を提供しました

<教育>

  • 192のレンガ・セメント・石造りの教室、及び2,096の竹やわらなどでできた教室の建設・修復を支援し、124,585人の児童が新たに学校に通えるようになりました。
  • 71,000人の女の子に制服を支給しました。
  • 450,038人の子どもたちのために教科書や教材セット・レクリエーションキットが提供されました。

<保健・栄養>

  • 5歳未満の子ども130万人がポリオの予防接種を、9ヶ月〜15歳までの子ども170万人がはしかの予防接種を受けました。
  • 紛争の影響を受けた人々でアクセス可能な人々の69%に基礎保健ケアサービスを提供しました。
  • アクセス可能な保健施設の8割に出産キットの提供や、保健員の研修などの支援をおこないました。
  • 深刻な栄養不良の5歳未満の子ども 毎月平均1,000人に対して治療用ミルク、備品、薬を提供し、中度の栄養不良の子ども 毎月平均4,500人に対して備品や薬を提供しました。
© UNICEF/HQ06-2208/Georgina Cranston
ユニセフが支援した井戸から水を汲む人々(西ダルフール・エル・ジェナイナ郊外)

<水と衛生>

  • 110万人の人々が継続的に水を使えるように支援し、2006年は202,000人が新たな給水設備によって水が手に入るようになりました。
  • 290の学校と70の保健施設に衛生施設(トイレ)が設置されました。

<子どもの保護>

  • アフリカ連合スーダン派遣団の部隊2,736人に子どもの権利と保護に関する研修を行いました。
  • 「子どもにやさしい空間」での遊びやレクリエーション活動を183,000人に提供しました。
  • 学校に通う67,000人の子どもに心理社会支援を提供し、2,700人の教員に心理社会問題についての研修を行いました。
  • 85,000世帯に燃費の良いストーブの使い方の研修を行い、あわせて識字研修や地域のエンパワーメント、職業訓練もおこないました。
  • 武装勢力から500人の子どもの解放を支援し、内半数は学校に通っています。

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