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財団法人日本ユニセフ協会



 

スマトラ沖地震・津波から2年
ユニセフ親善大使 ロジャー・フェデラー氏 被災地を訪問

【2006年12月23日 インド発】

© UNICEF/HQ06-2290/Tom Pietrasik

インド・タミールナドゥ州クッダロールの被災した子どもたちを支援する国営施設(幼稚園)を訪問したフェデラー氏

2004年、インド洋一帯の国々を襲ったスマトラ沖地震・津波の発生から間もなく丸2年となる22日、テニス界のスーパースター、ロジャー・フェデラー ユニセフ親善大使が、インド南部のタミールナドゥ州を訪問。津波被災地を、災害発生前の状況よりも子どもたちにとって住み易い場所にするために続けられる復興支援活動の最前線を視察しました。

タミールナドゥ州だけで8000人もの命を奪った津波は、学校200箇所、子どものケア施設350箇所も一瞬にして瓦礫の山に変えてしまいました。親善大使に任命されてから初めてとなる「現場視察」。フェデラー氏はその目的地として、ユニセフの復興支援活動が続く、特に津波被害の大きかったクッダロール地方を選びました。

小学校を訪問したフェデラー氏。彼が出会ったのは、生まれてはじめて椅子や机を手にした多くの子どもたちでした。ユニセフは、復興支援の一つとして、それまでこの地域の多くの小学校には存在しなかった机や椅子などの教育家具や教材を、330校に提供。小学生4万人・教員3500人がこの恩恵に浴しています。

以前より、もっと子どもに優しい環境を創る為に

© UNICEF/HQ06-2291/Tom Pietrasik

タミールナドゥの小学校で子どもたちにサインの求めに応じるフェデラ−親善大使

ユニセフの支援活動は、こうした「物」だけにとどまりません。フェデラ−氏は、新たに導入された「子どもに優しい」教育方法の実例も視察しました。

また、カウンセリング・絵画・人形劇等をつうじた「心のケア」は、これまでに11万4000人を超える数のトラウマに苛まれる子どもたちに提供されています。

フェデラ−大使は、次のように語っています。「子どもたちや若者が、復興支援のプロセスを、単に『元に戻す』だけでは無く、『以前より住み易い環境を創る』機会として有効に活用している姿に、大変感銘を受けました。子どもたちが、あの悲惨な状況からこうして再び立ち上がっている姿を見て、彼らの柔軟性を私たちに示してくれています。」

フェデラ−大使が次に向かったのは幼稚園。ユニセフは351箇所の幼稚園の建替え・修復を支援しました。こうした幼稚園では、栄養価の高い食事や、基本的な保健サービスも提供されています。大使はまた、児童擁護施設も訪問。津波発生直後、ユニセフは、身寄りを失った(はぐれた)子どもたちを保護者と引き合わす(トラッキング)活動を展開。現在、この児童擁護施設で生活する子どもたちを含む、2000人もの保護者を失った(はぐれた)子どもたちを保護しました。

被災地から「モデル」が生まれている

タミールナドゥ州のユニセフ現地事務所トーマス・ジョージ代表は、ユニセフの復興支援活動を次のように説明しています。「ユニセフの支援活動は、教育や保健・福祉などのサービスを、必要とする全ての子どもたちに提供することです。津波の被害に遭った地域で、ユニセフの支援をきっかけに始まった『教育』や『子どもの保護』などの様々な活動は、今後、州内の他の地域の子どもたちが置かれる環境を改善してゆく『モデル』になるでしょう。」

フェデラ−大使の視察第1日目は、HIV/エイズなどの脅威から自らや友人を守る術を学ぶ若者達が待つ教室で締め括られました。

「こんなに一生懸命で活気溢れる若者達に出会えたなんて、本当に素晴らしい経験をさせてもらいました。本当に大変な被害に遭ったにも関わらず、彼らは、見事にそれを『更に良くする』機会にしてしまってるんですね。」(フェデラ−大使)


なお、スマトラ沖地震・津波被災地に対するユニセフ復興募金は、2005年6月24日をもって受付を終了いたしました。本募金に対しては、半年間にわたって日本全国から多くのご支援をいただき、募金額はおよそ33億4千万円にのぼりました。皆様のご支援ありがとうございます。

当協会では、紛争や災害など緊急事態に直面している地域の子どもや女性のための緊急募金の受付を行っております。みなさまの継続的なご支援をどうぞよろしくお願いいたします。