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財団法人日本ユニセフ協会



混乱続く東ティモール
支援を待つ避難民

【2006年6月21日 ディリ発】

© UNICEF Timor-Leste/2006/Ruiz

4月以来混乱が続く東ティモール。首都ディリはじめ、周辺13地域のキャンプでの避難生活を余儀なくされている人の数は、その後の調査で、当初の予想を上回る15万人にも及ぶことがわかりました。現地の国連人道支援調整官は、このままの状態が続けば、食糧配給をはじめとする緊急支援が追いつかなくなる状況になる恐れがあると警告しています。

ユニセフは、他の国連機関やNGOなどと協力し、首都ディリのキャンプにくらべ、支援の手が薄かった郊外のキャンプの現状の把握に力を入れるとともに、給水や衛生設備(トイレ)の建設などを展開しています。

避難生活が長期になる中、子ども、特に乳幼児の健康状態・栄養状態の悪化が懸念されるため、現地保健当局などと協力し、栄養状態調査の実施や母乳育児推進のためのサポート、それに伴う保健スタッフのトレーニングの準備を始めています。また、妊産婦や乳児のケアに必要な基礎的な医薬品や医療機材等の緊急支援物資の供給も進めています。

13日に首都ディリを皮切りにスタートした麻疹の予防接種とビタミンAカプセルの配布キャンペーンは、20日までに市内30箇所以上の避難キャンプの子ども1万人をカバー。同市内の残りの地域並びに郊外のキャンプの子どもたちをカバーするために、今後2週間キャンペーンを続けます。

© UNICEF Timor-Leste/2006/Ruiz

また、混乱が続く中でも「学校」を再開できるよう、各地のキャンプ内に仮設の学校を開設する準備を進めています。混乱の中、子どもも先生も「学区」を失ってしまった現状を鑑み、現地教育当局は、避難生活を強いられている先生150名のうち120名を配置転換。仮設学校での授業の再開に備えています。7月3日から7日に行われる全国一斉テストは一部の地域を除き実施される予定です。

ひところにくらべて治安状況も安定しつつあるディリ市内では、しかしながら、現在でも、ほぼ毎日のように市内各所で衝突・暴力・略奪等の事件が続いています。NGOの支援物資も一部略奪に遭うなど、予断を許さない状況が続いています。ユニセフでは、現地事務所に防犯・防御用のコンクリート壁を増設するなど、支援活動の拠点とスタッフの安全の確保に努めています。

ユニセフは、国際社会に対し、東ティモールの緊急支援活動に必要な資金260万ドル(約3億円:21日現在)の支援を求めています。この呼び掛けに対し、日本政府は一早く150万ドル(約1億7000万円)の支援を表明しました。ユニセフは、日本政府に対する感謝を表明するとともに、国際社会に対し、更なる支援を呼びかけています。