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財団法人日本ユニセフ協会



調査で明らかになった、厳しい実態
安全な水をなかなか入手できない避難民

【2006年7月27日、東ティモール、リキサ発】

© UNICEF/Timor-Leste

ユニセフと4つの地元協力団体が最近実施した調査により、ディリ以外の地方の水と衛生状態に関する厳しい実態が明らかになりました。

現在、ディリから避難し地方の家族や友人に身を寄せている国内避難民は約8万人います。その中には、軍隊での差別を訴えた兵士591人を解雇するという政府の決定に抗議した人達も含まれています。彼らが4月に起こしたデモは混乱に終わり、5月と6月に起こった民族間の武力衝突のきっかけとなりました。

報告によれば、調査対象の77村落では、4月下旬以降人口が10〜20%増えており、60%の人が十分な量の水を使用できていないにもかかわらず、75%近くの村落が水や衛生に関する支援を全く受けていませんでした。報告書では、バケツや燃料缶などの貯水容器の全世帯への提供、トイレの増設、定期的な水質管理への支援を要請しています。

これに対応して、7月26日、ユニセフはリキサ県の避難民に家庭用キットを配布し始めました。ここでは人口が10%増加し、5,000人の国内避難民が親類と共に生活し、25世帯がリキサ教会周辺の家々で暮らしています。このような人々は主として、カトリック教会やキリスト教NGO団体の「CDベセスダ」によって支えられています。

地元の非常事態委員会は、「国内避難民は、たとえディリから水や食料援助を受け取っていても、自分達がほとんど注目されていないと感じている」と言います。

「ユニセフには、私達に注意を払い続けて欲しいです。4月に家が完全に破壊された時、私達は持ち物もすべて失ってしまったのですから。」シプリアナ・ロディナは言います。35歳の彼女は、避難先だったディリのドン・ボスコキャンプで末っ子を出産しました。それから、彼女は7人の子ども達を引き連れてリキサへ逃げました。新首相が事態の正常化を繰り返し強調したにもかかわらず、他の多くの人と同じように、彼女は家へ戻ることに不安を持っています。

教会の隣の小さな家では、10世帯の50人以上が一つ屋根の下で暮らしています。どんなに努力をしても、トイレが臭います。道のもっと先には、別の複数世帯が大きな青い家で暮らしていますが、拾った便器を並べたものが彼らの唯一のトイレで、ドアはありません。女性は特にプライバシーの欠如に苦悩しています。

ユニセフ東アジア・太平洋地域事務所長のアヌパマ・ラオ・シンは、リキサの避難民を訪問しました。「初めの数週間は、ディリへの支援に注意を払っていました。治安が悪かったために、スタッフが地方へ出て調査を行うことができませんでした。しかし、以前よりも状況が安定してきたため、ユニセフは地方や地元NGOへの支援を始めることができました。」

ユニセフは7月上旬、リキサ県のゴミ収集や、2万5,000人が避難しているバウカウ県への給水活動といった、政府の水と衛生サービスに対する支援を始めました。

水と衛生の他、子ども達の教育や精神的健康についても調査する必要があります。避難している子どもや若者500人のうちの多くは、ディリでの暴動によるトラウマ(精神的外傷)を負っており、ほとんどが学校に行っていません。

「県内をパトロールする警官が持つ銃を見たり、時にはキッチンナイフを見ただけでも、震えて泣き出す5〜6歳の子どもがいます。」NGOのCDベセスダのボランティア、ルイス・ペレイラ(21歳)は言います。「そのような子ども達のために、音楽やダンス等の催しを行っているのですが、資金や物資が不足しています。」ユニセフは、NGOにレクリエーションキットを提供し、他にも活動計画を立てています。

「多くの子ども達は、暴動のことを忘れられずに生活しています。ですから、私達が第一にしなければならないのは、彼らの心を捉え、日常に戻る手助け(例えば学校に戻るための支援)をすることです。トラウマを負った子どもを見つけたら、PRADETのような、トラウマカウンセリングを専門とする地元NGOへ連れて行きます。」ユニセフの子どもの保護担当官ポール・チャントリルは言います。

現在、リキサ県教育局では、避難している子ども達と子ども達が必要としている支援に関する調査を行っています。ユニセフは、教師への心理社会的トレーニングや、9月の新学期に避難民の子どもたちが再び教育を受けらるよう、バック・トゥ・スクール(学校に戻ろう)キャンペーンを支援する計画です。