HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > フィリピン台風緊急募金
財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第27報
「トイレへの支援をありがとう」
プライバシーと安全を確保

【2014年5月5日 フィリピン 東サマル州ギワン発】

新しく建てられたトイレを使う子どもたち
© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
新しく建てられたトイレを使う子どもたち。

「トイレが直ってプライバシーが守られ、安全になりました。もう茂みに用を足しに行くか、夜中に近所のトイレを借りる必要はありません。ありがとうございます」21歳のロザーナさんは言いました。

「トイレを直すお金がなかったのですが、支援してもらい、トイレを修繕できて、感謝しています」と5人の子どもの母親のマージダラム・アイヨンさんも語りました。
トイレの修繕は、住民の生活に大きな変化をもたらしました。

まず屋根の修繕を、トイレは後回しに

台風30号で、ギワンでは6件の地滑りが発生し、地域全体に大きな爪痕を残しました。ギワンのバランガイ8(村)では、416世帯のうち、137世帯のトイレは部分的に壊れ、使用できなくなりました。住民たちは、年齢や性別に関係なく、茂みで用を足すしかありませんでした。

「家族は無事でしたが、台風が地域を壊滅させました。配管工を探したり、屋根を直したり、トタン板などの建設資材を購入したりすることは、今も困難です。」とマリハ・シグンさんは自らの体験を話しました。

新しく建てられたトイレの前で笑顔を見せる住民
© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
新しく建てられたトイレの前で笑顔を見せる住民。

「家にトイレがなければ、茂みで用を足さなければなりません。特に暗くなると危険が伴います。また、月経期間中の女性にとってとても大変なことです」と、ロザーナさんは自身が直面した問題を語りました。

「家の屋根は修繕できましたが、トイレを直すお金はありませんでした」と6人の子どもの母親であるマリハ・シグンさんは述べました。夫は漁師で定期的な収入がないため、月収は約45米ドルに減少してしまいました。

フランシスコさんの家族も同じような状況です。フランシスコさんと妻のドロローサさんは、家の一部でお店を開きながら、小さな家に12人の家族と一緒に暮らしています。

「わずかな蓄えしかなく、まずは屋根を直すのが最優先事項でした。トイレを直すお金は残りませんでした」とフランシスコさんは言いました。

トイレづくり支援の大きな成果

フィリピンの包括的衛生プログラム(PHATS)と「屋外排泄ゼロ」を目指す活動の一環として、バランガイ8で調査が行われ、416世帯の中から、トイレの支援が必要な137世帯が特定されました。

プログラムは、すべての人が改善されたトイレを利用することや衛生習慣を改善することを促進するための国家的な戦略に基づいています。社会規範の変化を円滑にし、迅速でしなやかな回復力を構築することによって、屋外排泄の習慣をなくすことを目指しています。

手を洗う生徒
© UNICEF Philippines/2014
昼食のあとにクラスメートが手を洗うのを手伝う9歳のグウェンちゃん。

「私たちはトイレを修理するための、コンクリートブロック、トタン板、セメント、便器などを受けとりました」とマリハ・シグンさんは述べました。

調査で適切なトイレの必要性を指摘された他の家族も、ユニセフの支援と共に、政府やパートナー団体を通じて同様の支援を受けました。

「屋外排泄ゼロを達成するためのプログラムそって、私たちは、地域のトイレ再建を支援するために調査を行いました」と、ギワンで働くユニセフの水と衛生分野の情報担当官のモハマド・シャーザドは述べました。

「破損したパイプや蛇口を修理、交換するなど、トイレや飲用水源を復旧させるための物資の支援を行うことや、学校のトイレを再建することは、地域社会に貢献した緊急対応のうちの一つです。トイレ再建の最小費用は、80米ドルから100米ドルまでニーズによって異なりますが、特に女性や子どもたちの生活に大きな効果をもたらします」とシャーザド担当官は補足しました。

便器やトタン板、コンクリートブロックへの出資は、屋外排泄をなくし、健全な環境を作るだけでなく、安全やプライバシー、そして、家族、特に女性の人間としての尊厳を守るという、大きな成果をもたらしました。