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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

子どもたちに深刻な精神的ダメージ
日本ユニセフ協会、トルコ地震緊急募金への協力を呼びかけ

1999年9月2日

財団法人 日本ユニセフ協会(本部:東京都新宿区、会長:澄田 智)は、トルコ大地震の被災者に対するユニセフの緊急援助を支援するため、緊急募金の受付を実施しています。

地震発生から2週間以上が経過した現在、死亡者の数は14,095人、負傷者は27,234人に上り、家を失った人の数は60万人に達しました。(8月30日、トルコ危機管理センター調べ)。ユニセフを含む国連合同調査団による報告では、家を失った60万人のうち18歳未満の子どもは23万2千人いるとみられます。被害の顕著な都市の近隣に仮設住居としてテント村が建てられましたが、トイレやシャワーなどの衛生設備が整っておらず、清潔なトイレの設置などが急務とされています。

ユニセフが派遣した心理学者やソーシャルワーカーの報告では、今回の地震は子どもたちに大きな心理的ダメージを与えており、不眠症などの症状を見せる子どももいるといいます。また、今回の地震で258の小学校が被害を受けており、被災した子どもたちが教育の機会を奪われないために、9月中旬の新学期開始に合わせて学校の再開準備も必要とされています。

ユニセフは、今回のトルコ大地震で被災した子どもたちを支援するため、現地のニーズに基づいて地震発生直後から現地事務所のスタッフを増員し、緊急支援物資の配布を行っています。これまでに配布した物資は、緊急用医療機具や水と衛生に関わる物資29トン分、医療品100万人分、浄水剤260万錠、大量の避難所用プラスチックシート、貯水タンク、水容器、仮設トイレなどです。また現地調査に基づき、今後6ヵ月間の緊急及び復興支援として1,031万ドルの活動計画を立案し、その支援を世界に呼びかけています。(添付報道資料参照)

このようなユニセフの活動を支援するため、皆様のご理解・ご協力をお願い申し上げます。

トルコ地震緊急募金
郵便振替: 00110-5-79500
口座名義: 財団法人 日本ユニセフ協会(通信欄に「トルコ地震」と明記 )

・当協会への募金は寄付金控除が認められます。

お問合せ先
(財)日本ユニセフ協会
[報道関係者]
広報室:
03-3355-0161
[一般]
協力事業部: 03-3355-3222

[報道資料]
トルコの現状とユニセフの被災者支援計画の詳細
(財)日本ユニセフ協会

水と衛生

被害の顕著であった都市部では、市営の上下水道網がダメージを受けており、水や電気の供給はストップしている。トイレやシャワーなどの衛生設備も皆無に等しい。都市部では、トラックによる給水は可能だが、長期の使用に耐えうる貯水タンクが不足している。このような地域では、衣類、調理器具、洗濯場なども必要とされている。
テント村は今後も増大していくであろう。テントは国際機関、自治体、民間企業などから供給されたものだが、冬場の防寒用には適しておらず、グラウンドシートも不足している。住民はプラスチック製の袋地やダンボールを地面に敷き、テント周りに溝を掘って雨に対処しているが、あまり効果的ではない。テント村では穴を掘ったトイレや仮設シャワーが十分な数だけ設置されているが、害虫や衛生面での問題を考慮すれば、浄化槽付きの水洗式トイレや耐久性のあるシャワー設備の供給が望まれる。
ユニセフは次の支援活動を行う。

  • 常設の設備が整うまでの間、仮設の給水設備、衛生設備の供給を行う。
  • 2つの異なるコミュニティーを支援の対象とする。
  • テント村
  • 都市部のダメージが少ない家で電気や上下水道などサービスが機能していない家

トルコの町や市には、100〜1000人で構成されるコミュニティがあり、各々がリーダーを中心とした“村”のような役目をしている。各コミュニティ内で適切な公共エリアを1、2個所特定し、生活用水の貯水タンク、シャワー、洗濯場、トイレなどを備えたマルチサービスセンターを設け、隣接してごみ捨て場や母子のためのカウンセリングスペース、“子どもに優しい空間”を設置できる。衛生設備にアクセスできなかった都市部のテント生活者、住宅生活者ともにサービスを受けることが可能となる。

予算:604万ドル

子どもの教育と精神面・心理面でのサポート

被災による精神的ダメージを受けた子どもや家族の精神面・心理面での問題が懸念されている。今後は教育や精神面・心理面でのサポートが重要になると予測される。子どものみならず大人にも、失意、混乱など様々な形で心理的影響が現れている。トルコ政府や他の援助機関と連携をとり、以下のような支援活動を行う。

  • 問題に対処できる教師の養成プロジェクト。子ども一人一人に合わせた対応ができるよう、トレーニングを行う。トレーニングはまずトルコ人の専門家に対して行い、トレーナーグループを編成する。トレーナーグループは地域レベル、学校レベルでのトレーニングを実施する。
  • 様々な媒体を利用し、正しい情報の伝達を行う。被災者に対し、被災地の現状、受けられるサービス、コミュニティーの復旧活動計画、精神的ダメージによる症状などについて、正しい情報を提供する。
  • ノーマライゼーションを実施する。コソボでの経験で培われたコンセプトによる“子どもに優しい空間”を設置することにより、明るく温かい環境の中で、子どもが遊びなどを通じ、安心感を得られる状態、被災前の状態に戻す。大人へのカウンセリングも可能な場とする。
  • 新学期に向け、学校の復旧を行う。教師など教育関係者への早急な支援や、教師、親、子どもに対して精神面でのサポートを行う学校プログラムが必要である。
  • 被災地の作業員、医療スタッフへの支援を行う。ストレスに対処する方法などを教える。

予算:221万ドル

保健・医療面でのサポート

被災地では、亡くなられた方の半数が既に発見・埋葬されていると予測されている。国内外の医療専門家によれば、地震の影響を受けた地域で伝染病はまだ見られない。下痢性疾患に関しても現状レベルを超えることはないとされている。政府や保健省は状況をコントロールできる状態にある。重傷者は被災地帯の外にある病院へ全員輸送している。
完全に崩壊している保健施設は少ないが、ワクチンの冷蔵設備が破壊されるなど、ダメージを受けている保健施設が多い。予防接種や妊産婦のケアなどの通常業務も停止している。ユニセフは100の仮設保健センターを開設、以下の対策により、被災地での母子に対する基礎的な保健サービスを復旧させる(対象者約100万人)。

早急に必要な医療物資・サービスを提供する。

基礎保健サービスを復活させるためのボランティアのトレーニングとトレーニング機材を提供する。

保健に関する情報の提供を行う。家族向けに予防活動を行う。

活動計画は以下の通りである。

  • 予防接種ワクチンの供給。ワクチンや冷蔵設備、関連機材を供給し、被災者人口100万人のうち子ども(1歳以下の5万人を重点)を対象として活動する。
  • 下痢性疾患の抑制。地域の専門家に水の浄化剤や水質調査キットを供給し、下痢性疾患を予防する。脱水症を防ぐ経口補水塩(ORS)の供給を行う。
  • 保健センターの再建。被災地の常設保健センター、移動型保健センターに対し、医薬品、消耗品の供給を行う。被災地での社会心理の専門家と医療チームによる協力活動を行う。
  • 社会的動員。保健センターを活性化するには、コミュニティとの連携をとり、保健サービスなどについて被災者へ情報を提供する必要がある。ユニセフは予防接種、下痢性疾患、急性呼吸器感染症に関するパンフレットやポスターを作成し配布する。
  • アドボカシー。新聞による声明、ブリーフィング、その他広報活動により、伝染病蔓延の危険性などに関する誤った考えを払拭する。
  • 母乳と栄養状態の調査。地震による栄養状態への悪影響はいまのところ見られない。粉ミルクを支給している団体もあるが、母乳育児や子どもの健康状態への悪影響を考慮し、粉ミルクの支給対象は震災による孤児がいる地域など、粉ミルクが必要な特定の地域に制限するべきである。ユニセフは授乳管理専門員やカウンセリング技術の養成を行う。

予算:206万ドル

合計:1031万ドル

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