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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

ユニセフとそのパートナーは、イラクの子どもたちのために、
ポリオとはしかの予防接種キャンペーンを推し進めています

ポリオ予防接種キャンペーンを2月23日、
はしかの予防接種キャンペーンを3月上旬に開始

キャロル・ベラミー ユニセフ事務局長:「時間との闘いです」

【ジュネーブ&ニューヨーク発 2月18日】

ユニセフは18日、イラクでの武力行使の可能性が討議される中、400万人以上のイラクの子どもにポリオの予防接種を行うためにヘルスワーカーたちがイラク中に繰り出すだろうと発表しました。

ユニセフは、このほかにもはしかに対する予防接種強化キャンぺーンを行う予定です。はしかは難民や避難民の間で広がりやすく、ほかのどの病気よりも子どもの命を奪う危険性が大きい病気だからです。

どちらの予防接種キャンペーンも、イラクで行われている予防接種事業の拡大版として行われるもので、ユニセフ、WHO(世界保健機関)、赤新月社の支援のもと、イラク保健省が行うものです。

「イラクの子どもたちは、すでに15年以上もの間、困難を余儀なくされています」と語るのはユニセフ事務局長キャロル・ベラミーです。
「国際情勢がどのように動こうとも、私たちは、ひるむことなくイラクの子どもたちへの支援を続けなければなりません。混乱が続く中でも、私たちはイラクの子どもたちのことを真っ先に考え、彼らを保護するための最大限の努力を怠ってはならないのです」

ベラミー事務局長によると、5歳の誕生日を迎えることができずに命を失ってしまうイラクの子どもの数は10人中ひとり、そのほかにも:

  • 3分の1は栄養不良
  • 4分の1は低体重で生まれ
  • 学齢期の子どもの4人に1人は学校に行っていない
  • 4人に1人は安全な飲み水へのアクセスがない

と言います。

「イラクの子どもたちが非常に弱い立場にあることはまぎれもない事実です。事態がどのようなことになろうとも、イラクの子どもたちの健康と福祉が優先的に考えられるべきです」とベラミー事務局長は話します。

ユニセフはポリオの予防接種キャンペーンがイラクの子どもたちをポリオから守るだけでなく、この地域でのポリオの流行を阻止するためにも重要だと訴えています。
「ポリオを根絶するためには、ありとあらゆるところで根絶していかなければなりません。ポリオは簡単に国境を越えてしまう病気なのです。そういう意味でも、今年の予防接種をしっかりと終わらせ、すべての子どもに予防接種をすることが大切なのです」とベラミー事務局長。イラクでは、1999年にポリオが流行しましたが、ユニセフとWHOなどの努力で、2000年1月以降は一例も症例が出ていません。

来週から行われるポリオの予防接種キャンペーンを通して、イラクの子どもたち400万人に予防接種が行きわたるよう、14,000人のヘルスワーカーたちが動員されます。彼らは、一戸一戸を訪ね、すべての子どもたちに予防接種を行う予定です。ベラミー事務局長は、この困難な状況のもとで、予防接種を推し進めるイラクの保健省を称えるべきだと言います。このキャンペーンは、保健省、WHO、赤新月社の協力がなければ実現できないものであるからです。
「このキャンペーンは多くの人にとって、未来への希望と確信を表す行為です。2つの大きな戦争と12年にわたる経済制裁のもとで疲弊した国にとっては大きな成果だと言えます」とベラミー事務局長は述べています。

緊急のはしか予防接種キャンペーン
時間との闘いの中で、キャロル・ベラミー事務局長は、ユニセフとそのパートナーたちが、ポリオ以外にも、はしかの拡大予防接種プログラムを押し進めることを発表しました。

ヘルスワーカーやボランティアたちの支援を受けて、5歳未満の子どもに対するはしかの定期予防接種を強化することを発表したものです。何よりも、ユニセフは戸別訪問による予防接種キャンペーンを展開し、これまでの予防接種事業でこぼれてしまったために、接種を受けていなかった子どもたちに対して予防接種を徹底しようというのです。

ユニセフによると、はしかの予防接種を受けていない5歳未満の子どもの数は約50万人。

「こうした子どもたちを探し出すことが重要になってきます」とキャレル・ドゥ・ルイ ユニセフ・イラク代表は言います。はしかは、家を追われ、避難生活を余儀なくされている人たちの間で流行しやすい病気なのです。「予防接種の記録を確認して、まだ接種を受けていない子どもを戸別訪問で探し出し、必ず予防接種を受けるようにさせています」

5歳未満の子どもたちが予防接種を受け終わったら、ユニセフは、6歳から12歳までの少し大きな子どもたちへの予防接種を行うつもりです。この年代の子どもたちは、1990年代中期のワクチンの供給が不足していた時代に予防接種時期を迎えていた子どもたちだからです。幼いときにはしかの予防接種を受けていない子どもたちは、5歳未満の子どもたちにはしかを移す危険性が非常に高いのです。

ユニセフは政府が供給しきれないキャンペーン用のワクチン50万回分を供給する予定です。ユニセフは、このほかにも、ヘルスワーカー、監督担当者たち、個々のモニターたちのための資金を提供し、ポリオとはしか両方のキャペーンについて、輸送費、コミュニティ動員費を負担しています。

「平和が破られないことを願っています」とベラミー事務局長は言います。「でも、国連事務総長が述べましたように、国連は、最悪のことが起きたときに対処するため、準備を怠ってはならないのです」

ユニセフは、イラク地域に何百トンもの支援物資をすでに運び入れています。これには医薬品、子どものための栄養補給剤、水の供給装置、そのほかの物資が含まれています。これは不測の事態に備えて、人道支援の準備を繰り広げる国連機関のひとつとしての仕事でもあります。 ユニセフはイラクの子どもたちに対して、1953年以来直接的な支援を行って参りました。1980年代初期には現場事務所を開設し、以来、ずっと活動を続けています。ユニセフはイラクに300人ほどのスタッフを抱え、イラクの子どもたちが予防接種を受け、充分な栄養をとり、安全な水と適切な衛生施設へのアクセスが確保できるよう、また、質の高い基礎教育が受けられるよう努力しています。

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