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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

世界エイズデーにユニセフと世界保健機関がハイレベル会合を召集
−HIV母子感染予防サービスの普及・拡大を訴える

【2005年11月30日、ナイジェリア・アブジャ】

ユニセフは今日、抗レトロウイルス薬治療を含む包括的サービスをHIVに感染しているすべての妊産婦に提供することができれば、毎年新たにHIVに感染する子どもの数を半分以上減らすことができると述べました。しかし、こうしたサービスが届いているのは、必要とする女性の10パーセントにもおよびません。

現在、1年間に60万人を超える子どもたちが新たにHIVに感染していると推定されています。そのうちの90パーセント超は、母子感染が原因です。

世界エイズデーの12月1日、ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)をはじめとするパートナー機関は、HIVとともに生きる妊産婦が母子感染予防のためのサービスをもっと利用できるよう、世界に訴えました。2010年までに、HIV母子感染を防止するためのサービスを必要とする女性の80%に提供する−この世界的目標の達成に向けた努力を加速させるべく、エイズとの闘いで協働する主要なパートナー国・機関が、今週ナイジェリアの首都アブジャに集います。2001年の国連HIV/エイズ特別総会で採択されたこの目標は、現状では達成することができず、2015年までにHIV/エイズの蔓延を阻止し、その後減少させるというミレニアム開発目標の達成に向けた努力をも阻んでいます。

「毎年、何十万人という新生児が不必要にHIVに感染し、その多くが生後1年のうちに亡くなっています。しかし、母子感染を防ぐための効果的な治療法は確かに存在するのです」とユニセフ事務局長のアン・ベネマンは述べました。「必要とする女性にこうした治療を提供することができれば、HIVに感染する子どもの数を劇的に減らすことができるのです」

高官レベルのパートナー・フォーラムには、140人の国際機関の専門家と27カ国の代表団が一同に会し、知識と経験の共有が図られるとともに、母子感染予防サービスがもっとも必要とされている国々においてどのようなサービス拡大対策をとるべきかが討議されます。会合ではまた、出産方法による感染予防率の違いや抗レトロウイルス薬治療の有効性、母親の健康維持を目的とする長期的な抗レトロウイルス薬治療の実現性に関する最新の科学的知見が発表されることになっています。

1998年、ユニセフとWHO、国連エイズ合同計画(UNAIDS)、国連人口基金(UNFPA)をメンバーとする国連機関間タスクチームにより、母子感染予防プログラムの実現可能性を評価するためのパイロットプロジェクトが、HIV/エイズによりもっとも大きな影響を受けている11カ国(サハラ以南のアフリカ、南アジア、ラテンアメリカ)で始まり、以来、大きな進展がありました。100カ国を超える国々で母子感染予防プログラムが導入され、うち16カ国ではサービスが全国規模で提供されているのです。

しかし、もっとも大きな影響を受けている国々、特にサハラ以南のアフリカの国々では、プログラム普及率がいまだに極端に低いままに留まっています。パイロットプロジェクトが実施された11カ国のうち、2004年末までに母子感染予防サービスの普及率が50%に達したのは、ボツワナの1カ国に過ぎません。

資源の乏しい環境下で、母子感染予防サービス普及のもっとも大きな足かせとなっているのが、脆弱な保健システムや保健員・医療資材の不足です。さらに、コミュニティの参加が十分に得られていないこともひとつの要因です。

政府からの資金提供については、近年とみに増加しています。それでも、子どもたちに十分な支援が行き届いているとはいえません。ドナー政府に対する主要な勧告のひとつとして、エイズ関連の資金を、特に子どもに焦点を当てたプログラムに拠出することが挙げられます。各国政府に対しては、フォーラムに続いて専門的な技術支援が提供され、母子感染予防プログラムを定期的な保健サービスの中に組み込んだ形の国家行動計画策定が推進されます。

母子感染予防サービスの普及は、ユニセフと国連エイズ合同計画、そのほかのパートナー機関が2005年10月25日に開始した「子どもとエイズ」世界キャンペーンで掲げられている4つの目標のうちのひとつです。HIV/エイズの影響を緩和させるには、このほかの3つの目標−若者の新たな感染の予防と子どものHIV感染者およびエイズ患者の治療、孤児をはじめエイズにより困難な状況にある子どもの保護・サポート−関連の進展もまた欠かすことができません。

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