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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

イラン地震:推定3万6000人の子どもたちが地震の被害に
〜イランのロレスタン州で発生した地震により、子どもたちが危機に晒されている〜

【2006年4月5日、イラン・ロレスタン発】
イランのロレスタン州で発生した地震により家を失い、仮設住宅にくらす子どもたち。

3月31日(現地時間)、イランのロレスタン州において発生した大地震。ユニセフは、この地震とそれに伴う余震の被害を受けた被災地で、緊急支援の最前線に立って活動にあたっています。ユニセフ・イラン事務所代表のクリスチャン・サァラザール氏は、地震直後の数日、もっとも大きな被害を受けた地域の1つ、ブラジャード市に滞在し、次のように語りました。「まるで廃墟です。1万の家屋とすべての学校が倒壊してしまいました」

地震とその後の余震の被害がもっとも大きかった地域では、計130の学校が完全に倒壊しました。その他の建物の多くも修復ができないほどの被害を受けたか、もしくは危険で使用することができません。「被災地の家族は、テントや車、仮設シェルターなど、あらゆる場所で夜を過ごしています」サァラザール氏は、道路の中央分離帯や歩道、公園やその他屋外のあらゆるところでテントが張られている被災地の様子を語りました。

夜は極端に冷え込み、この寒さで子どもたちが病気にかかる危険性が高くなっています。ユニセフはこの危機に迅速に対処するため、すぐに毛布1万枚を送りました。

「気温は摂氏5度にまで下がります」サァラザール氏は語りました。しかしこの厳しい環境がもたらす影響は、物理的な面だけに留まりません。子どもたちは心理面でも大きな影響を受けているのです。「子どもたちにとってはとても苛酷な状況です。自分たちの大切なものをすべて失っただけではなく、彼らは余震の恐怖にもおびえています。子どもたちは泣き叫び、眠ることもままならない状態なのです」

地震によって受けた心の傷(トラウマ)に対処するため、ユニセフは心理社会的支援を提供し、数週間のうちに仮設の学校を開校することを計画しています。

元の暮らしに戻るために

メディくんとその家族は、地震で家を失ったためにテントで暮らしている。

メディ・ヤラマディくん(7歳)の家では、地震が村を襲う前に、家族がほかのものと一緒にメディくんの教科書を持ち出してくれました。大地震の発生を予期させる弱い地震が続いたため、一家は当面の生活に必要なものをもってシェルターに移動しました。そのため、大きなけがや死から免れることができました。

メディくんのお父さん、アーマッド・ヤラマディさんは、メディに毎日数時間でもいいから勉強をするようにすすめています。このような日常生活を続けることは、危機的な状況にいる子どもたちにとって、ストレスを和らげるためにとても大切です。ヤラマディさん一家はほとんどの財産を持ち出すことができましたが、家は大変な被害を受けたため、危険で生活することはできません。

「収入源だった2頭の牛を失いました。どうやって家を建て直せばいいかわかりません。家を建てるだけの蓄えも収入もないのです」アーマッドさんは訴えました。

もう1人の地震の生存者であるアリ・ビルーンバンドくん(15歳)は、早く学校に戻って、友だちに会いたいと願っています。「でも、地震で教科書も宿題もどこかにいってしまいました」アリくんはペルシャ暦新年のお休みが明けた月曜日に学校に行きましたが、校舎が大変危険な状態にあるため、当局によって中へ入ることは許されませんでした。

アリくんの学校には260人の生徒が通っています。学校の担当者は、ユニセフに対し、必要な教科書と文房具を揃え、来週にはテントで授業を再開したいと語りました。

復興と再建

地震で被災した子どもは推定3万6000人にのぼる。

最初に発生した地震の後、イラン政府と赤新月社は速やかに支援活動を開始し、被災地へテントやその他の物資を即座に配布しました。ユニセフは、彼らと協力して、もっとも被害の大きかった村へ国際社会からの最初の支援物資を届けました。

バム市からも、追加の支援物資(子ども用の衣服、毛布、人形やテントを含む)が送り出されました。バムは、2003年の大地震の際にユニセフの支援を受けた街です。ユニセフの支援活動は、国連の現地調整官や国連人道問題調整事務所(OCHA)が率いる、国連諸機関の合同支援活動の一環として行なわれています。

ロレスタンの子どもたちとその家族は今なお多くの支援を必要としています。復興と再建の促進を目指して、専門家チーム(ユニセフの子ども保護担当官2名と教育担当官1名、およびユネスコ職員1名)が、今週被災地に到着しました。このチームは教育施設の被害状況と、子どもたちの心理面について調査を進めています。

この専門家チームの調査結果に基づき、行動計画が作成され、政府や関係協力者と協力して実施されます。イランの州社会福祉局とユニセフは、もっとも大きな被害を受けた村に35の子どもセンターの設置することで合意しました。これらのセンターを通じて、適切な教育と心理社会面の対策がとられるとともに、地震で受けた心理的なストレスやトラウマを克服することができるようになることが期待されています。

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