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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

伝統的なリーダーの訓練でドメスティック・バイオレンス予防に進展

【2007年8月21日 ハラレ発】

ジンバブエ・ドメスティック・バイオレンス法の歴史的な成立を受け、ユニセフ、ジンバブエ政府、ジンバブエ女性弁護士連盟(ZWALA)は、地域社会で家庭内虐待と闘うため、全国の何百人もの伝統的リーダーの研修を開始した。

研修により300人余りの族長が、この法律の適用と判断の方法、虐待を止める方法、地域社会における被害者支援の方法などの知識を得ることができる。

ユニセフ・ジンバブエ事務所代表フェスト・カビッシュ氏は次のように述べた。「ジンバブエ農村部の家庭争議を解決するにあたって、族長は重要な役割を担っている。彼らはしばしば伝統的な法律の守護者であり、ドメスティック・バイオレンス(DV)に関する数多くの事例を取り扱っている。しかしこれまでは力や知識が足りず、DVを予防したり十分に対応することができないこともあった」

経済的な困難、70%の失業率、HIV/エイズ危機の拡大などの状況下で、明らかにDVは増加しており、その深刻さも増している。ジンバブエのDV被害者の95%は女性である。

「DV法成立に向けたアドボカシー活動はきわめて重要で、偉大な最初の一歩だった。しかし、これはほんの始まりにすぎず、もっとも大きな課題が待ち受けている。我々は人々の意識に深く根付いている物の見方や価値観、習慣を変えなければならない。その過程において、伝統的リーダーはきわめて重要な位置にある」。ユニセフのジェンダー問題担当官イェルダ・ンヒジョ氏はこのように述べた。

研修によって族長300人は、地域社会レベルで暴力の被害者への支援システムをつくることができた。また、増加している家庭内暴力の問題やそれにどう歯止めをかけるかという点について意見交換するため、研修ではフォーラムが開催された。ユニセフの研修により、族長のほか評議員や国会議員、政府・市民社会のメンバーなどが一堂に会することにもなった。

DV法の成立により、ジンバブエには家庭内暴力に対処する明確な法律が備わったことになる。この法律はDVの被害者を保護し、以下のことを通じて長期的な対策を行うものである。

  • 犯罪の処罰をより厳しくする
  • 被害者支援のための特別な任務を警察官に課すとともに、各警察署にドメスティック・バイオレンスの担当部署を設ける
  • 警察官に対してこの法律に関する特別な訓練を実施し、同法で規定された被害者の権利について、警察官が被害者に対して必ず助言を提供するようにする
  • 法廷による被害者保護命令を迅速に提供し、加害者が暴力行為をやめるよう監督するとともに、逮捕状を発行する

しかし、この法律(2006年成立)とその規定はあまりよく知られていないのが現状である。とくに、身体的、心理的、情緒的虐待のいずれもが保護の根拠となることや、被害者が加害者と一緒に生活している場合でも、保護命令の効力が持続していることなどを知らない人が多い。伝統的なリーダーの参加は、これらの知識のギャップを埋めることを目的としている。

ユニセフはこの研修のほかにも、ジンバブエのDV削減のために積極的な活動を行なっている。牧師や警察官、地域社会に対してDVに対処する訓練を行い、教師には暴力の被害者にライフスキルを提供する方法を教えている。DVの被害者を見つけ出したりカウンセリングを提供する活動は、地域社会に根ざした活動をしているカウンセラーとともに行う。

昨年ユニセフとザ・ボディショップ インターナショナルが発表した世界規模の調査では、DVを目の当たりにしながら生活する子どもたちが、深刻で長期的な影響を受けることが明らかにされている。

大半の場合、DVは女性に対して行なわれている。世界全体で少なくとも3人に1人が、殴られたり性的な関係を強要されたり、なんらかの形での虐待を受けている。その加害者はたいてい、夫や家族の男性など顔見知りの人間である。報告書は、このような暴力に晒されている子どもへの影響という、あまり知られていない事実に脚光をあてている。

カビッシュ氏は次のように述べた。「DVの最大の被害者は小さな子どもたちである。子どもの保護は、DVに終止符を打つために活動するすべての人々が懸念すべきことである」

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