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公益財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

ユニセフ・WHO 新たな「グローバル・アクション・プラン」を発表
肺炎と下痢で失われる年間200万人の命を守ることが可能に

【2013年4月12日 ジュネーブ/ワシントン発】

© UNICEF/BANA2013-00149/AHSAN KHANBANGLADESH

本日発表のユニセフとWHO(世界保健機関)による新たな「グローバル・アクション・プラン」で、世界的に5歳未満の子どもの命を奪う主な2つの病気−肺炎と下痢−から、年間200万人の命を守ることが可能であることが明らかになりました。

『肺炎と下痢の予防とコントロールのための統合グローバル・アクション・プラン』では、肺炎と下痢の予防ならびに治療を合わせて行うこと、子どもの死亡率の削減に目標を掲げ、命を守る取り組みをより子どもたちが利用できるようにすることを訴えています。

「肺炎と下痢に関する戦略は、別々に実施されていることが多すぎるのです。バングラデシュやカンボジア、エチオピア、マラウイ、パキスタン、タンザニアでは明らかになっていますが、肺炎と下痢への取り組みを同時に行うことで、保健の面でも、コストの面でもよい結果が生まれています」と、WHOの妊産婦・新生児・子ども・若者の保健部門のエリザベス・メーソン部長は言います。

© UNICEF/NYHQ2012-1890/SHEHZAD NOORANI
栄養のバランスのとれた食事の必要性をおもちゃのフルーツを使って母親に説く保健師(ラオス)。

肺炎や下痢は、多くの要因が重なり合って発症します。このため、要因に個々に対応しても、効果的に予防や治療、コントロールすることはできません。複数の取り組みを同時に行うことで、効果が生まれることはすでに明らかです。例えば、バランスの取れた栄養をとることや、衛生的な環境の整備は、肺炎や下痢を予防します。また、肺炎や下痢を予防する新たなワクチンも開発されています。保健サービスや医薬品が適切に利用できれば、治療は可能なのです。

しかし、肺炎と下痢への対処の取り組みは、不十分です。中所得国でさえ、肺炎や下痢の要因に、十分な資金を投じていません。

「公平性の問題です。低所得国の貧しい子どもたちは、肺炎と下痢による死亡のリスクが最も高く、必要とする支援が届きにくい傾向にあります。何をすべきかは明らかです。もし、子どもの死亡率が最も高い75カ国のすべての人に、最も豊かな20%の国で行われている取り組みを同じ普及率で行えれば、国連ミレニアム開発目標の期限である2015年までに200万人の子どもの命を守ることができるでしょう」と、ユニセフ保健部門のミッキー・チョプラ部長は語ります。

WHOとユニセフの新たなアクション・プランは、2025年までに達成することを目標としています。5歳未満の子どもの重度の肺炎と下痢の発症を、2010年レベルから75%削減すること、つまり、この2つの病気による死亡を実質的に根絶することを掲げています。また、発育阻害の5歳未満の子どもたちの数を、世界で40%削減することも目指しています。

アクション・プランの戦略は、現在のレベルよりも高い目標を掲げています。例えば、現在、肺炎を患い抗生物資の投与を受ける子どもの割合は31%、下痢のときに経口補水塩を利用できる子どもの割合は35%ですが、それぞれ90%まで引き上げることを掲げています。

また、暫定目標として、母乳のみで育つ6ヵ月未満の子どもの割合は現在39%ですが、この割合を50%まで引き上げること、また、衛生設備(トイレ)を利用できる子どもの割合を現在の63%、清潔で安全な水を使える子どもの割合89%を、それぞれ100%とすることも掲げられています。さらに、肺炎球菌とロタウィルスの予防接種を新たに導入し、順調な国では、その摂取率を90%にすることも含まれます。

本アクション・プランでは、政府とステークホルダーに、最も貧しく、肺炎と下痢の予防と治療を最も受けにくい人々への投資を優先するよう求めています。実際、子どもの肺炎と下痢の死亡の約90%は、サハラ砂漠より南のアフリカと南アジアで起きているのです。

【補足】
アクション・プランは、医学雑誌『ランセット(The Lancet)』の小児期の肺炎と下痢のシリーズと同時に発表されました。シリーズの4つの論文では、2つの病気にまとめて取り組むこと、費用、伝染病学、取り組みなどについて新たなデータを提供しています。
医学雑誌『ランセット(The Lancet)』の子どもの肺炎と下痢に関する掲載はこちらから閲覧いただけます(英語)

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