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公益財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

栄養不良が原因で年間310万人もの子どもが死亡
栄養不良にリーダーシーップと取り組みを
ユニセフ 医学雑誌『ランセット』で発表
栄養不良削減のための1米ドルの投資は30米ドルのリターン

【2013年6月3日 ニューヨーク発】

ユニセフは、世界的医学雑誌『ランセット』で、栄養不良を克服するためには、国レベル、世界レベルで、断固たるリーダーシーップと確固たるコミットメントをもって、栄養問題への取り組みを強化する必要があるとの調査結果を発表しました。今回の『ランセット』では、妊産婦と子どもの栄養が取り上げられています。

ユニセフ栄養事業担当部長のヴェルナ・シュティンクは「栄養不良への取り組みには一定の進展があるものの、依然として多くの人が栄養不良にあります。現在、発育阻害にある子どもたちは1億6,500万人、栄養不良の子どもたちは何百万人もおり、これ以上、こうした子どもたちを増やさないためにも、栄養の問題により迅速に取り組む必要があります」と述べています。

『ランセット』は、5歳未満の子どものうち、栄養に関する原因で亡くなる子どもたちは年間310万人、もしくは、5歳未満児の死亡原因の45%にあたることを発表しました。この数値は、前回、2008年に推定された数値を上回っています。また、研究によって、在胎期間に対して小さく生まれた子どもたちは、死亡するリスクが大きくなることも明らかになりました。低中所得国では、低体重で生まれる子どもたちは出生数の4分の1以上を占めています。

ユニセフは、胎内にいるときから2歳の誕生日を迎えるまでの人生の最初の1000日は、ひいては国家の未来を形作るとしています。発育阻害やさまざまな栄養不良がなくなれば、命を失うことなく、健やかに成長し、子どもの可能性は広がり、国の発展にもつながります。「栄養不良は将来にわたる問題だからこそ、支援者、栄養不良を抱える国々、民間部門における革新者、地域社会に暮らす人たち自身にとって、不可避な問題なのです。」と、シュティンク 栄養事業担当部長は述べています。

ユニセフが4月に発表した報告書『子どもの栄養状況の改善−世界の進展のための果たすべき義務(仮訳)(原題:Improving Child Nutrition: the achievable imperative for global progress)』は、母乳のみの育児の促進や微量栄養素の欠乏症を周知すること、妊娠前と妊娠中の栄養状況の改善など、すでに行われている取り組みによって、栄養不良が減少できることに注目しています。

『ランセット』は、栄養不良で直接的な生産性が損なわれるばかりでなく、そのダメージによって認知力や学習力が低下することで、国家の経済発達に、少なくとも8パーセント削減されると指摘しています。一方で、専門家は、慢性的な栄養不良削減のために1米ドル投資し、保健や教育の改善を行うことで、30米ドル相当の成果(リターン)が生まれると述べています。

■参考情報

<発育阻害>
発育阻害は、生後1,000日の間に慢性的な栄養欠乏に陥ることで引き起こされ、脳と体の成長に一生涯に渡る影響を及ぼします。発育阻害になると、年齢に比して身長が低いことに加え、脳の発達や認知機能を大きく阻害する恐れもあります。

<栄養不良>
体が必要とする栄養が不足している状態を指します。 身体の成長に欠かせないたんぱく質や、免疫力をつけるビタミンAなどの栄養素が足りないと、風邪や下痢などごくありふれた病気が原因で命を落とす危険が高まります。 また、知らず知らずのうちに子どもの知能の発達を遅らせることさえあります。 目に見えにくく、ひそかに子どもたちの未来と命を脅かします。

<報告書「子どもの栄養状況の改善−世界の進展のための果たすべき義務(仮訳)」について>
2013年4月16日にプレスリリースならびに報告書を発表しております。

■ 本件に関するお問い合わせ先

問い合わせ:(公財)日本ユニセフ協会 広報室

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