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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今 報告会レポート

3.日本は何をすべきか、何を求めるのか

アグネス:ほんとうに話は尽きないんですが、最後に皆さんに一言ずつ、これから日本は何をすべきか。日本の皆さんにメッセージがありましたら、よろしくお願いします。

ゴータム:日本は全体的に見まして、ほかと比べてみると、やはり今まで自国の子どもたちを助ける、そしてまた、他国の子どもたちを助けるといった観点から、二国間での協力、多国間での協力といった面からも、今までわりとよくやってきていると思います。しかしながら、いかなる国であっても、もっと自分たちの国の子のために、世界の国の子のために、もっともっとできることがあります。

日本に対しては、二つ、私のほうから提言があります。

一つが、この子どもの権利委員会というものがあるんですけれども、日本に関する報告も出ております。そして、日本もまた報告を上げている委員会なんですけれども、これに関して、私のほうからは、ここから取り上げたい二つの推奨事項があります。

国というものは、この子どもの権利条約を批准する。その際に、自分たちの子どもたちに対して、いいことをしてあげる責任があるわけです。しかしながら、また、その実行に当たって、子どもの権利条約をほかの人たちにも広めていくと、その情報を発信するという責任もあるわけです。そういった意味で、日本はまだまだ十分ではないと思います。日本では、子どもたちに対していいことをしているかもしれない。しかしながら、その知識を広めていく対話ができていない。そして、十分に会話ができていない。その知識を広めるための話が全然できていないと私は思います。ですから、やっていることに対して、日本の中ではなかなか、日本がこうやっているという知識が少ないわけです。

そして、二番目でありますけれども、日本は非常にたくさんいいことを自国の子どもたちに対して、海外の子どもたちに対してしています。そして、委員会もそれを認めています。しかしながら、まだ日本ではどのぐらいの公的資金が、そしてまた、民間の資金が、そしてまた、政府からの補助金、そしてまた、開発基金が子どものための活動に使われているのか、そういった情報が発信されておりません。そして、人々も知りません。ですから、日本がこれだけ、このような子どもの活動に投資をしているんだという、よりよい情報が必要だと思います。

さまざまな国がこういった情報を発信しています。例えばノルウェーがその一例でありますけれども、ノルウェーは、子どもたちの健康関連に幾ら、教育に幾らといった形で、予算の分析を行い、国内外で、子どものためにどのぐらいの資金が必要か、使っているのかというものを公表しています。日本でもそのような情報が得られれば、よりよい形で子どもたちのために予算を使っていけるのではないでしょうか。

日本は既に、非常に繁栄した国です。そしてまた、最も開発された、そして、最も先進国と言われる国の一つになっています。ですから、次のゴールとしては、ぜひ日本は子どもに優しい国になっていただきたいと思います。

平野:2002年に国連子ども特別総会というのが開かれまして、そこで、「子どもにふさわしい世界」という行動計画がつくられたんですね。その行動計画に基づく、国内行動計画というのをそれぞれの国がつくりましょうという約束を、そこに参加した国々がしたわけです。日本はまだその約束を果たしておりません。ですので、子どもの権利条約というものをきちんと踏まえて、子どもにふさわしい日本という国をつくっていくための行動計画というのをきちんとつくってほしい、そして、そのときにはきちんと子どもたちの意見も聞きながらつくっていってほしいと思っています。

高見:僕からはただひとこと、人は一人じゃ生きられません。仲間とともに生きますと、人に優しくなるし、当然それは小さな人にも届くでしょうし、小さな人も自分たちの仲間に優しくなれるでしょう。特にこのメッセージはおとなに向かって、伝えたいです。そう、自分を含めたおとなに向かって申し上げたいです。でも、きょうはお招きいただいてありがとうございました。これから泣かないで世界の子どもたちを見つめようと思います(笑)

東郷::途上国においては、教育というのは一つのラグジュアリーみたいにとられているというお話もあったんですけれども、日本は明治維新の前から非常に教育というものが普及し、そして、そういう土台があったからこそ、非常に短期間の間に近代化が進んだという歴史的な事実があるわけですね。やはりこういう面は、日本、特にアジアの国に対して、日本はこの先進国の中で唯一、エイシアン・バリュー、アジアの価値観というのを共有できる国なんですね。ですから、そういう意味で、やはり教育の大切さ、やはりすべての子どもに教育を受ける機会を与えること、これを一緒になって進めていくということが必要じゃないかなと、特に感じています。

大久保依美:日本は何をすべきか、日本に何を求めるかということで、私は考えると三つあって、私は最近、『夜回り先生』という本を読んだんです。実話で、水谷先生という、夜の繁華街とかを回っていく先生の話です。その本の中で、風俗、暴力団、ドラッグにおぼれた日本の若者たちというのがたくさん出てきてきます。

やっぱり子どもたちに対して日本の社会というのはすごく冷たい目を向けているのが現状で、ほんとうに社会から見放されてしまった若者たちだったんですね。でも、そういう子どもたちも、もとをたどると、おとなたちからの虐待だとか、友達からのいじめとか、助けてほしかったのに助けてもらえなかった結果でそうなってしまっているように思えました。私はすごく日本社会に、助けを求めたくても助けを求めることができない日本の子どもたちにも、目をもっともっと向けてほしいなと、その本を読んですごく感じました。

繁華街でも、ちょっと柄悪いなとか、思うような若者たちもいっぱいいます。でも、見た目だけで判断したり、偏見をもたないで、もっと子どもたちの内なるところにどんどん踏み入れていこうというおとなの姿勢をもっと出してほしいなと私は思っています。

もう一つですけれど、日本の支援の内容を積極的に国民に伝えることが大事なのではないかと私は考えています。支援の内容を積極的に国民に伝えていくことで、ああ、こういう支援が必要な国が今、ここにあるんだとか、そういった興味が広がっていくと思うんです。その興味が広がっていけば、日本のことじゃない、国境を越えてのことでも自分のことのように身近に感じるようになると思うんですね。

もっと日本の支援に、日本政府が、じゃあ、これをやろうよといって支援をするのではなくて、国民の意思をしっかり反映した援助というのをしていくこと、国全体の協力体制、国だけではなく、国民一人一人がつくっていくのが国なのだから、協力体制をつくっていくことが、必要だと私は思っています。

最後に、私も学校に通っていてすごく感じることですけど、日本の子どもたちという、国内の問題ももちろんですけれど、海外のことにも関心がある人とない人での差がすごく激しいと感じるんですね。今、授業などでは、紛争のことだったり、貧困のことだったり、HIVのことだったり、そのたくさん情報を、私たちは授業でいっぱい与えてもらえるんです。でも、そういう環境でありながら、情報を与えられるだけという、あまりにも受動的で、全然それを理解できていなかったりすることがあるんですね。だからこそ、今の教育のあり方というのを、もっと生徒が参画型にすべきだなと私は思っています。じゃあ、その与えられた情報を生かすような、ディスカッションをしてみたり、意見を交換したりできる場をもっと設けることが必要だなと思います。

アグネス:ありがとうございました。今、J8の募集をしています。来年、北海道で行われるJ8の日本代表の募集をしています。応募方法はユニセフのホームページに載っているので、興味ある方はぜひホームページをみてください。対象は高校生までなので、おとなの方は参加できません。もし興味がある方、あるいは自分のお子さんとか友達とか推薦できるようだったら、ぜひホームページをごらんください。

さあ、ほんとうに夜も更けてまいりました。ほんとうに時間が過ぎてしまいました。でも、やっぱりそれだけパネリストの皆さんも胸にいっぱい思いがあって、たぶんその十分の一もきょうはしゃべることができなかったと思います。それだけ子どもたちに対する熱い気持ちはあるんですね。きょうもこのホールはいっぱいです。皆さんが来てくださったというようなことが、子どもたちの未来は明るいと思います。

おとなにとってよくないことは、子どもにとってもよくないことです。それは戦争だってそうだし、テロだってそうだし、環境問題だってそうですよ。これはすべて、やっぱり子どもに一番ダメージを与える、そういう問題なんですよね。

おとながけんかして仲直りして、おとなが自分の欲だけ持って、どんどん生活が進んで、走ってしまう。それは子どもにとっていいわけがないんですよね。だから、私たちのすべての行動が子どもたちの幸せか不幸につながっているんです。でも、皆さんのところでは必ず子どもたちのためにできることがあります。それを一生懸命考えることによって、この子どもの権利条約のほんとうの意味が生まれてくるのではないかなと思います。

私たちの国です。私たちが地球の住人です。とりあえず今、私たちは年が少し上なので、子どもたちを一生懸命守らなきゃいけないという責任を与えられている。それはほんとうにつらいことだと思わず、これは私たちの恵みなんだと、次の世代を育てることを許されているんだという気持ちで、ぜひ私もこれから皆さんと一緒に、子どもたちを守っていきたい、そして、子どもたちと楽しく、いろんな意見を交わしながら、この地球をよくしていきたいと思います。

きょうはほんとうに皆さんありがとうございました。

ここで、実は一つのセレモニーがあります。どうかパネリストの皆さん、前に出てきていただけますか。きょうわざわざニューヨークから来てくださった、そして、いろんな話をしてくださったゴータムさんですが、ことし12月いっぱいで、ユニセフから引退してしまうんです。でも、実は1973年からずっと現場を回りながら、世界の子どもたち、そして、ユニセフのために骨を折るような仕事をたくさんやってきてくださったんですよね。ユニセフの中でも一番古い方なんです。

この記念すべき年に、日本でゴータムさんとお会いすることができて、すごくうれしく思うので、ここで私たち世界の子どもたちの気持ちも代表して、ゴータムさんにありがとうと言いたいと思います。

ゴータム:ありがとうございます。子どもたちを代表しまして、そしてまた、ユニセフ、世界を代表いたしまして、皆様、ほんとうに子どもたちのためにこれからもますます子どもたちの未来を助けるお仕事をしてください。ほんとうにありがとうございました。

アグネス:どうもありがとうございました。これからもいろんなところでご活躍を。ありがとうございました。今日は皆さん、ほんとうにありがとうございました。

これからもどうぞユニセフの活動、支援してください。ほんとうにありがとうございました。(拍手)

写真:© 日本ユニセフ協会

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