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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー 報告会レポート

映画『ビラルの世界』プレミアム上映会 開催

【2012年7月5日 東京発】

© 日本ユニセフ協会
映画『ビラルの世界』ソーラヴ・サーランギ監督

7月3日(火)、秋の一般公開に先立ち、ソーラヴ・サーランギ監督の来日に合わせて、映画『ビラルの世界』プレミアム上映会を開催。ユニセフハウスには、100名を超える皆様にご来場いただき、会場は、ほぼ満席となりました。本作品は、盲目の両親とインド・コルカタ(カルカッタ)のスラム街で暮らす男の子ビラルの日常を映し出したドキュメンタリー映画です。

上映に先立ち挨拶したサーランギ監督は、「この作品は、たくさんの国を旅してきた作品。たくさんの友人ができ、社会問題について話してきた」と述べ、こうした機会を得られたこと、そして会場の皆様との出会いに感謝の言葉を述べました。

映画上映後、ユニセフ・東京事務所の平林国彦代表(元ユニセフ・インド事務所副代表)とソーラ ンギ監督との対談が行われました。平林代表は、監督にたくさんの質問を投げかけ、監督のこの映画に対する思いを伺うことができました。

© 日本ユニセフ協会
ユニセフ・東京事務所の平林国彦代表(左)とサーランギ監督

平林代表は、「実は、最初にこの映画を見たとき、しつけといって子どもを叩いたりですとか、トイレの後は手を洗ってほしいとか、ユニセフの立場からみると考えるところがたくさんあって、色々なことを思いました。しかし、見終わったときに、ユニセフの立場ではなく、ひとりの人間として、大きく異なったメッセージを受けることができました」と、話しました。

この対談の中で、平林代表に、2008年に撮影を終えた当時の監督自身の心理状況について尋ねられると、ソーランギ監督は、次のように話しました。

「2008年に映画をつくりはじめた頃、この子に出会えたことは幸運だと思いましたが、どんな映画を作ったらよいのかと迷っていました。脚本やシナリオはありませんから、ある意味で実験的な手法で取り組みました。ビラルとの瞬間、瞬間を大事にした映画を作りたいと思いました。この映画をつくることができて幸運だと思っています。この映画を通して、私の内面も変化しました。社会の見方や感じ方、理解の仕方が変わりました。

この少年は、虹のようにたくさんの面のあるカルカッタという町の違う面を見せてくれました。ビラルは「窓」となって彼の住む世界をみせてくれたのです。この映画を作って後悔はありません。この映画を作ることができてよかったと思っています。

© 日本ユニセフ協会

ひとつ発見した大きなことは、貧困の状況の中でも、盲目の両親のもとでも、子どもというのは、子どもであることで精一杯喜び、楽しむことができるということです。それは誰も奪うことができない喜びです。自分がどのような状況に置かれていても、生きていけるというようなことを知って、私自身も勇気付けられました。ビラルは人生を楽しんでいます。どんな状況でも生きていけること、未来を考えることができると思いました。本質的に持っている‘生きるということ’を生きている人に出会うことができました」

また、ご来場くださった方からは、「人が人らしく生きるのに障害のあるなしはまったく関係ないと改めて思いました」「世界中の子どもが、ビラルのように子どもらしくあり続けられたらと心から思うと同時に、彼らの抱える問題も見えてきました」「途上国の子どもたちについて考えたいと思いました」といった感想が寄せられました。

最後に、ソーランギ監督は次のように話しました。

© Son & Lumiere

「今でもビラルとの付き合いは変わりません。私は、彼らの日常生活を聞きながら、どうしたらいいのかと考え続けています。彼らが貧困の中で努力しているのを見ていると、それを同情してはいけないと思います。理解すること、情愛をかけることが自分にできることだと思っています。この映画を通して、家族の状況を改善するようなことはできないと思いますが、この映画を見たみなさんが実態を知り、社会の見方が変化し、みなさんの中で何かが変わることを願っています」

* * *

今後も、日本ユニセフ協会ではイベントを開催予定です。詳細は、随時ホームページ等でお知らせいたします。

◇映画『ビラルの世界』は今秋10月中旬より、全国順次公開予定です。
 『ビラルの世界』ホームページはこちら»

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