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公益財団法人日本ユニセフ協会

ニジェール:
シンナー中毒から抜け出すために
ストリートチルドレンを支える唯一の望み

【2014年8月8日 アガデス(ニジェール)発】

ニジェールにあるユニセフが支援する青少年支援センターは、子どもたちがトラブルや問題を解決し、それぞれの人生を歩む手助けをしています。

* * *

マアマドゥ・マラ・サレイくんは12歳です。カンフー映画が大好きなマアマドゥくんは、友達から“ショウリン”と呼ばれています。ニジェール北部にある歴史的な街、アガデスの路上で生活をする多くの子どもたちのように、教育・予防・司法サービス施設(SEJUP)現地事務所の保護観察下に置かれています。

マアマドゥくんは父親の死後、家を出ました。毎日、ごみの中から鉄くずや空き缶を集めて商人に売っています。2キロほどの鉄くずを売って、50米セントほどのお金を手に入れることができます。

マアマドゥくんの親友、アブールラシード・ハミドくん15歳は、“チダ”という愛称で呼ばれています。2年前に父親を失いました。マアマドゥくんとハミドくんは切り離すことができないぐらい仲が良く、いつも一緒に行動しています。

シンナー中毒

「3年間学校に通いましたが辞めてしまいました。もう嫌になったのです」と語る、マアマドゥくん。(ニジェール・ストリートチルドレン)
© UNICEF Video
「3年間学校に通いましたが辞めてしまいました。もう嫌になったのです」と語る、マアマドゥくん。

「3年間学校に通いましたが辞めてしまいました。もう嫌になったのです」と、マアマドゥくんが語ります。「路上で新しい友達ができました。友達からはシンナーの強い匂いがしました。それから、ぼくもシンナーを吸うようになりました」

シンナーの吸引を始める前は、稼いだお金をいくらか貯金していたとマアマドゥくんが語ります。「彼らと一緒に遊ぶようになってから、ほとんどの時間、シンナーを吸っています」

シンナー中毒から抜け出したいと、マアマドゥくん自身も願っています。「感情がなくなってしまったようです。何も感じなくなったのです。盗みをしたり、逮捕されたり、暴力を受けるようになりました。寝ている間に盗みにも遭います。目が覚めると、何もかもなくなっているのです」

中毒から抜け出し、それぞれの人生を夢に向かって歩むことができるよう、ユニセフの支援を受け、SEJUP青少年支援センターのボランティアが子どもたちを支えています。

更生のための支援

アガデスにある高等学校でフランス語を教えるアスメニ・ヤクバさんは、2年間、マアマドゥくんとハミドくんの支援をしています。「見回りをしていた際に路上で出会いました。ふたりはいつもけんかをしていますが、とても仲の良い友達です。シンナーの吸引を止めることができるよう、支援を続けています。ふたりにとって、それが最も差し迫った問題ですから」

子どもと女性の権利状況分析(SITAN)によると、子どもたちに対する暴力や子どもたちによる暴力は、家庭の崩壊、ネグレクト、学業不振、アルコールや薬物の乱用と密接な関係があることが分かっています。

アガデスでは、子どもの保護サービスが約50人の子どもたちを保護観察しています。マアマドゥくんとハミドくんの母親や祖母は、この施設がふたりの更生のために残された、唯一の手段だと考えています。

違法行為を行っているかに関わらず、子どもたちだれもがこの施設を利用することができます。ボランティアのスタッフが、時には警察や裁判所、雇用者や家族との仲介の役割も担い、子どもたちを支援し、アドバイスを行っています。

ニジェールでは、子どもたちが必要なサポートを受けられるよう、2009年から2011年で支援能力を2倍以上に拡大させました。ユニセフが支援するSEJUP青少年支援センターは、子どもたちに効果的な支援を行い、注目を集めています。そして、帰る家がない子どもたちや両親に見捨てられた子どもたち、違法行為を繰り返す子どもたちを支援するための主要な役割を担っています。

マアマドゥくんとハミドくんには、将来の夢があります。ハミドくんは祖父のような大工になること、マアマドゥくんはオートバイタクシーの運転手です。

ふたりは今も、SEJUP青少年支援センターで行われるアクティビティ活動に、足しげく通っています。

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