メニューをスキップ
公益財団法人日本ユニセフ協会
HOME > ニュースバックナンバー2015年 > ストーリーを読む
 

エボラ出血熱緊急募金 第54報
9カ国で2万人以上がエボラ感染、死者は8,000人以上
打撃をうける保健システム、支援強化へ

【2015年1月14日 東京発】

ギニア感染者 2,775人死亡者 1,781人 ※医療従事者154人感染(うち89人死亡)
リベリア感染者 8,157人死亡者 3,496人 ※医療従事者370人感染(うち178人死亡)
シエラレオネ感染者 3,496人死亡者 2,943人 ※医療従事者296人感染(うち221人死亡)
マリ感染者 8人死亡者 6人
ナイジェリア感染者 20人死亡者 8人 ※医療従事者11人感染、2014/10/20終息宣言
セネガル感染者 1人死亡者 0人 ※2014/10/17終息宣言
スペイン感染者 1人死亡者 0人 ※医療従事者1人感染
米国感染者 4人死亡者 1人 ※医療従事者3人感染
英国感染者 1人死亡者 0人 ※医療従事者1人感染
合計感染者 20,747人死亡者 8,235人

出典:WHO EBOLA RESPONSE ROADMAP SITUATION REPORT UPDATE 7 January 2015

エボラの影響で、保健システムに打撃

【2015年1月9日 ジュネーブ/ダカール/コナクリ/フリータウン/モンロビア発】

エボラで両親を失った1歳2カ月の赤ちゃん。(シエラレオネ)
© UNICEF/NYHQ2014-1823/Bindra
エボラの感染が疑われる患者が訪れるセンターに身を置いている、両親をエボラで失った1歳2カ月の赤ちゃん。(シエラレオネ)

ユニセフ(国連児童基金)は、西アフリカのエボラ出血熱流行国ではしかの感染が増加するなか、こう着状態であった政府や地域による予防接種事業の再開に向けた支援を行っています。国内の保健システムは打撃を受け、何万人もの子どもたちが死に至るはしかから守られていません。

「子どもが命を失う主な原因のひとつであるはしかは、安全で効果的な予防接種で簡単に感染拡大をくい止めることができる病気です。しかし、エボラの感染が確認されて以来、流行国では予防接種率が急激に低下しており、今まで以上に子どもの命が脅かされています」と、ユニセフ西部・中部地域事務所代表のマニュエル・フォンテーヌは述べます。

はしかの感染拡大が懸念

WHO(世界保健機構)の集計によると、エボラの感染拡大に先立ち、2014年はじめにはしかの流行が確認されていたギニアでは、2013年1年間にはしかの感染確認数が59件であったのに対し、2014年には4倍の215件にまで上りました。シエラレオネでは、13件から3倍となる39件に上っています。リベリアにおいては、2013年には1件も報告されていなかったのに対し、これまでに4件が、エボラの影響が大きい地域のひとつである北部ロファ県で確認されています。

西アフリカでは12月から3月に、はしかの感染時期のピークを迎えます。予防接種率が低下している中、極めて感染力の高いはしかの感染拡大が懸念されています。

エボラ危機への対応で保健システムは対応能力を超えており、人々はエボラへの感染を恐れて保健施設を避けています。結果、予防接種率に明らかな急減が見られています。

たとえばリベリアでは、月次のはしか予防接種率に関する政府のデータによると、報告をあげた保健施設は50%に留まっており、予防接種率は2014年5月の71%から10月の55%にまで低下していることが明らかになりました。

ギニアでは、2014年11月下旬から12月上旬にかけて、42日間エボラの感染例がなかった地域で、定期予防接種をさらに促進させるための活動を支援しました。

リベリアでの症例に対応するため、ユニセフや保健社会福祉省、WHOを含むパートナー団体は、周期的な定期予防接種サービスを強化し、5歳未満の子どもへの予防接種を行う際、ビタミンAの補給も実施しています。

エボラの影響下も予防接種を受けられるように

近くの保健施設が閉鎖され、赤ちゃんに予防接種を受けさせるため、予防接種所に並ぶ母親たち。(シエラレオネ)
© UNICEF Sierra Leone/2014/James
近くの保健施設が閉鎖され、赤ちゃんに予防接種を受けさせるため、予防接種所に並ぶ母親たち。(シエラレオネ)

予防接種を投与するスタッフは、はしかから命を守るためのワクチンを提供するほか、エボラの感染予防コントロールも実施。エボラ流行下で行われる予防接種は、感染予防コントロールの手順やWHOの予防接種ガイドラインに基づいて実施されます。ユニセフは、ワクチンだけでなく、予防接種投与者のため、手袋や赤外線温度計を含むキットも提供しています。

予防接種事業を行うスタッフは、感染予防コントロールや事業運営、42日間エボラが報告されていない地域における予防接種事業の展開方法についての訓練を受けます。

子どもの死を防ぐため、エボラの感染のサイクルを断ち切り、予防接種事業を含む保健サービスの向上にむけた連携が不可欠です。

「保健システムの強化とエボラの感染拡大阻止を同時に行うことが、子どもたちを助ける最良の方法です。保健システムへの信頼を取り戻し、健康を維持するために必要な予防接種を子どもたちが受けられるようにすることが必要です。最前線で活動する予防接種投与者や保健員たちが、エボラの影響を受ける状況下で、守られていると感じながら活動に従事できるようにする必要があります」とフォンテーン代表は続けました。

【関連ページ】

トップページへ先頭に戻る