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公益財団法人日本ユニセフ協会

ウクライナ東部:
家族で避難した街も攻撃に
国内避難民に衛生キットを配布

【2015年2月12日 ウクライナ発】

人道支援の列に並ぶウクライナの子ども。
© UNICEF Ukraine/2015/P.Zmey
幼稚園に通ったり友達と遊ぶのではなく、人道支援物資の列に母親と並ぶ。これが、ウクライナの子どもたちの日常となっています。(2015年2月4日撮影)

ユニセフ・ウクライナ事務所のユリア・ユロバが、情勢不安が続くウクライナ東部にあるクラマトルスクを訪れた際の様子を報告しています。

* * *

2日前、ちょうどこの記事を書いていたときのことでした。ウクライナ東部にあるクラマトルスクの街が砲撃を受け、多くの市民が殺害され、5人の子どもたちが負傷しました。

私は先週、避難を強いられた家族や子どもたちにユニセフの人道支援を提供するため、この街を訪れたばかりでした。クラマトルスクには、攻撃の危険から身を守るために故郷から避難してきた人たちがたくさんいます。子どもたちの安全のために逃れて来た人たちが感じた絶望は、想像に絶するものです。

故郷から避難してもなお、再び同じ危険に直面しているのです。

避難先の街も攻撃に

「戦闘が起こり、もう生活ができるような場所ではありませんでした。暮らしていたドネツイク州のマキイフカという街が2日間にわたって激しい砲撃にさらされ、子どもたちを連れて避難する決心をしました。近所の人たちから、子どもと一緒に防空壕に避難していた女性が精神的な病にかかってしまった、という話を耳にしました。このままでは、私も同じような状況に陥ってしまうのではないかと、とても怖くなったのです」と、4歳と1歳4カ月の2人の子どもをもつ母親のレナさんが話してくれました。

私がレナさんと会ったのは、先週、クラマトルスクの街を訪れた際のことです。一家は昨年の夏に故郷から避難し、その街に身を寄せているといいます。ユニセフが国内避難民の家族のために配布している子ども用衛生キットを受け取るため、レナさんはパートナー団体が運営するセンターの列に並んでいました。

外の気温は-5度と、凍てつく寒さでしたが、レナさんや子どもたちは地域の住民からもらった防寒着で寒さをしのぐことができていました。レナさん一家は夏服を身につけ、かばん一つを手に自宅から避難していました。暮らしていた地域以外に頼る人もなく、避難時に同乗させてもらうことができた車が、偶然クラマトルスクに向かうものだったといいます。

母親や子どものための支援を実施

レナさんは現在、クラマトルスクで小さなアパートを借りて生活しています。このアパートの大家さんは、幼い子どものいる母親に部屋を貸すことにためらいを感じていたといいます。レナさんのような幼い子どもを抱えた母親にとって、おむつやナプキン、赤ちゃん用発疹クリームなどが入ったユニセフの子ども用衛生キットは、生活に必要不可欠です。

「おむつは基本的なものですが、とても重要です。息子にはいつも、おむつを履かせています。ベッドやカーペットを汚してしまったら、この部屋から追い出されてしまうかもしれませんから」

「家族の生活費はひと月700フリヴィニャですが、現在おむつ一袋が約400フリヴィニャほどするのです。おむつのお金を浮かせることができるだけで、どれだけ助かることでしょう。おかげで、牛乳や卵、肉など、子どもたちのために食料を購入することができます。子どもの食事のためのお金は、何としても確保しなくてはいけません」(レナさん)

ユニセフは先週、ボランティアと協力して、家庭用キット104セットと子ども用キット50セットを配布しました。これにより、子どもがいるクラマトルスクの500世帯以上が恩恵を受けることとなります。

しかし、戦闘による影響は甚大で、その影響は日々深刻なものとなっています。住民は、水や石けん、タオル、おむつなど、生活必需品を手に入れることにすら苦労しています。

この地域で暮らす人々が何よりも望んでいるのは、平和なのです。

*名前は仮名です。

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