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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第63報
ユニセフ・エボラ出血熱3カ国・情勢レポート
シエラレオネ:昨秋から休校状態が続く学校
3月30日の再開に向けて支援強化

【2015年3月4日東京発】

エボラ出血熱の影響を受けるシエラレオネ、リベリア、ギニア。ユニセフ現地事務所からの情勢レポートをもとに、現地の状況とユニセフの活動をお伝えします。

* * *

シエラレオネ:
3月30日に学校再開を予定

【2015年2月25日 フリータウン(シエラレオネ)発】

学校の閉鎖に伴って行われているラジオ教育を受ける女の子(6歳)。(シエラレオネ)
© UNICEF Sierra Leone/2014/Tolu Bade
学校の閉鎖に伴って行われているラジオ教育を受ける女の子(6歳)。(シエラレオネ)

※本レポートの統計は、シエラレオネ保健衛生省が発行する日刊報告書に基づくものです。(2月24日時点)

■概要

  • 前週の新規感染者数は68人を記録するなど、感染者数には不安の残る横ばい傾向がみられています。一方で、エボラ感染による死者数はコミュニティ内で合計12人。前週の21人より減少しました。報告週に感染者の報告がなかった地区は8から6に減少しており、ボンティとプシェフン、カイラフン地区は過去42日間、感染者の報告が出ていません。
  • 前週までに感染者数の報告がなかったものの、ボンバリ地区は外部から感染が持ち込まれたことによる新規感染者数が急増しました。2月25日時点で、ロサンダ村からの感染が原因とみられる26人の感染者が報告されました。これとは別に、ケペテ村では1人の感染が報告されました。各地区にあるエボラ対応センターは合同で即応対応チームを結成し、ロサンダ村を隔離して241人の接触者を追跡しています。
  • モヤンバとカンビア、ポート・ロコ、プシェフン地区では、エボラによって片親または両親を亡くした子ども、子どもを含むエボラ回復者、性的虐待を受けた回復者など、最も苦しい立場にたたされている人々に、給付金が支給されました。

■ユニセフの取り組み

<社会啓発活動>

  • 2月15日〜21日の週に、ボンバリ、カンビア、コノ、トンコリリ、ウェスタン・エリアにある各地域ケアセンターの周辺に位置する1,563の村に赴き、5,050世帯を訪問しました。これは、エボラ患者が確実にセンターに移送されるよう、感染者の特定や地域内の観察活動、そして地域の関与を強化するためのものです。
  • 人々の偏見や差別をなくし、エボラ予防のための行動変容を促すため、各コミュニティでは、エボラに関する噂や誤解を解き、回復者の受け入れ方や、安全で尊厳のある埋葬に焦点を当てた説明を実施しました。

<保健>

  • ユニセフの支援を受け、保健衛生省は引き続き、カンビア、コインデゥグ、ウェスタン・エリア、ポート・ロコの4地区の保健員を対象に、エボラ流行下における母子・新生児保健ケアの改訂版ガイドラインについての研修を行いました。報告週において、822人が研修を受けました。研修には、該当地区の公立・私立両方の保健施設のスタッフおよび病院関係者が参加しました。
  • ユニセフとWHOの支援により、保健衛生省は6地区(ウェスタン・エリア、ポート・ロコ、トンコリリ、カンビア、ボンバリ、ボー)で報告されたはしか患者について現地調査を実施しました。調査チームは、患者が報告された保健施設と地域からデータを収集し、今後、この調査結果が公表され、シエラレオネが次に取るべき策についての案が示される予定です。

<栄養>

  • 先週、急性栄養不良に関する総合管理の一環として、149地域のうち60地域(計603のコミュニティ)で調査が行われ、1万9,445人の5歳未満児が栄養状態の検査を受けました。結果、185人の子どもが重度の急性栄養不良と診断され、うち124人が治療のため外来治療センターに搬送され、合併症を伴った重度の栄養不良の子ども21人は小児・栄養ケアを受けるため入院措置が取られました。今週末までに881人の子どもが栄養プログラムを受け、すぐに口にできる栄養治療食が支給されます。

<水と衛生>

  • 乾季の期間も含め、継続的な水の供給を実現するため、井戸の採掘が進められています。さらに、エボラの影響を受けている地域に、給水タンクが提供されています。ユニセフ支援のもと、100万リットル以上の水が、水資源省によってエボラ・ケアセンターを含むエボラの影響を受けた地域に支給されています。

<子どもの保護>

  • エボラ危機による直接的な影響を受けた子どもは1万6,722人にのぼり、このうち約半数が一方または両方の親を亡くしています。
  • 今週、ユニセフと社会福祉・ジェンダー・子ども省は、子どもの保護・心のケア・ジェンター問題についての対応策を実行するためのパートナーシップに基づき、全14地区の子どもの保護福祉委員会を通じて家族の追跡と再会、心のケア支援など、コミュニティを基盤とした子どもの保護の強化を行います。 

<教育>

  • 3月30日に予定されているシエラレオネ全土での安全な学校再開に向けて、引き続きすべての関係者が一丸となって準備を行っています。
  • ユニセフの支援を受け、2015年3月30日の安全な学校再開に向けて、教育科学技術省による準備が進められています。学校再開へ向け、ユニセフは以下の7つの作業チームで構成される学校再開のための委員会の調整役として、教育科学技術省と協力して活動を進めています。
    1. 手順とガイダンスを推進するチーム
    2. 物資供給を担当するチーム
    3. 社会への啓発を担当するチーム
    4. 学校での水と衛生を推進するチーム
    5. 教員への研修を担当するチーム
    6. 学習を促進するチーム
    7. 学校給食を担当するチーム

* * *

リベリア:
より多くの宗教指導者を社会啓発活動に巻き込む

【2015年2月25日 モンロビア(リベリア)発】  

エボラの症状などがのっているポスターを読む少年。(リベリア)
© UNICEF/NYHQ2015-0134/Naftalin
エボラの症状などがのっているポスターを読む少年。(リベリア)

※本レポートの統計は、リベリア保健社会福祉省が発行する報告書に基づくものです。(2月23日時点)

■概要

  • リベリア政府によると、エボラ・ウイルスの感染者の累計は9,265人、関連死とみられる人数は4,057人。モンセラード県での報告によると、2014年8月・9月のピーク期には毎週300人を超えていた新規感染者が、先週は2人にまで減少しました。
  • 2月22日、リベリア政府はシエラレオネおよびギニアとの国境封鎖を正式に解除しました。
  • 先週、基礎的な保健サービスの回復を支援するため、20トンもの保健・栄養物資が提供されました。

■ユニセフの取り組み

<教育>

  • RapidPro SMS(情報を携帯電話のテキスト・メッセージを用いて迅速に配信し、命や健康などに関わるサービスの提供を可能にするオープンソース・ソフトウェアを用いたアプリ)技術を活用し、現在の学校の状態についてのデータを収集する試みが行われています。感染予防・抑制キットの学校への配布に関する検証が行われています。
  • リベリアの学校は2月16日に正式に再開しましたが、すべての学校が現時点で安全な学校再開手順を踏んでいるといえず、加えて開始日について混乱が生じたため、一部の学校では3月2日に再開しました。
  • 教職員やPTAに対する学校再開手順に関する研修が、いまだ休校中の学校で行われています。

<社会啓発活動>

  • リベリア全土から合計100人の宗教指導者が、エボラ出血熱の予防や、安全で尊厳をもった埋葬、安全な学校再開の手順についての研修者となるための講習を受けました。

<子どもの保護>

  • リベリア政府はエボラ出血熱の直接的な影響を受けた子ども5,779人を確認しました。(隔離状態にある子ども、一方または両方の親を亡くした子ども、保護者が不在または引き離されている子ども、治療中の子ども、退院した子ども)
  • 子どもの保護サブ・クラスターは、すべてのエボラ孤児が、施設への入居ではなく、親族による養育など、家庭に基づいた環境で確実に保護されるようにするため、ユニセフや政府、パートナー団体は、ソーシャル・ワーカーを追加雇用するための訓練を行っています。

<保健と栄養>

  • 百日咳の疑いがある患者240人がメリーランド県のバローボ地区とカールウェイ地区で報告されました。メリーランド県の保健チームは、患者と接触者への予防・治療ケアを提供しました。ユニセフは異なる地域からの患者と接触者を追跡するため、県の保健チームを引き続き支援しています。
  • 2015年1月以降、モンセラード県ではしかの疑いがある患者39人が報告されました。6カ月〜10歳までの子どもを対象とした、はしかとポリオの合同キャンペーンが2015年4月10日〜16日に実施される予定です。

<水と衛生>

  • モンロビアのニュー・タウンとズマ・タウン内の隔離コミュニティで行われた水と衛生設備に関する調査で、即時対応のニーズが確認されました。ユニセフは影響を受けている7世帯に21日分の飲用水と衛生キットを提供しました。長期的な改善手段として浄水剤を提供する予定です。

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ギニア:
1週間でギニア全土9,600人にエボラに関する認識向上のための講習を実施

【2015年2月25日 コナクリ(ギニア)発】 

母親をエボラで失った1歳半の男の子とケアセンターのスタッフ。(ギニア)
© UNICEF/NYHQ2015-0139/Naftalin
母親をエボラで失った1歳半の男の子とケアセンターのスタッフ。(ギニア)

※本レポートの統計は、世界保健機関(WHO)が発表する週間報告に基づくものです。(2月22日時点)

■概要

  • 1月19日、ギニア政府は学校を再開しました。
  • ボケ州のガワルとクンダラ保健地区においてはしかの流行が確認されたことを受け、ユニセフはガワル地区での6日間の予防接種キャンペーンを支援しました。4日間の予防接種期間で、6カ月〜10歳までの子ども1万7,910人にはしかの予防接種を実施しました。5万9,555人の子どもに予防接種を行うことを目標としています。
  • ユニセフとパートナー団体は、エボラによって一方または両方の親を失った子どもが新たに85人いることを特定し、これまでに登録された孤児の数は4,429人に上りました。ボランティアとソーシャル・ワーカーが185の心のケアに関するセッションを行い、子ども3,856人が参加しました。これまでにセッションを受けた子どもの数は4万4,802人(目標12万人の38%に相当)に達します。

■ユニセフの取り組み

<社会啓発活動>

  • ユニセフの支援を受ける子どもの福祉委員会や社会啓発担当、開発のためのコミュニケーション担当、パートナー団体は、今週ギニア全土で9,600人にエボラに関する講習を行いました。感染防止やエボラに関するメッセージの地域抵抗を和らげる方法、エボラにまつわる噂の是正、非接触型の体温計を使用することの利点などが取り上げられました。

<保健>

  • ユニセフや政府のパートナー団体はファラナ州のダンギレ保健地区の地域のボランティア19人に対して、地域でのマラリア管理についての研修を行いました。ファラフンとキシデゥグでは、都市部の子ども福祉委員会のメンバーが、その機能と患者への治療方法を確認するため、地域ケアセンターを訪問しました。

<水と衛生>

  • ユニセフはファラナ州とンゼレコレ州で新しく7つの給水所を設置しました。エボラの流行が始まって以降、現地に設置した給水所の数は124となり、水へのアクセスが向上した人々の数は3万7,200人を超えます。

<子どもの保護>

  • ユニセフのパートナー団体は、フォレカリアとコナクリ、ダボラ、ダンギレ地区において、エボラによって一方または両方の親を失った子どもが新たに85人いることを特定しました。これまでに登録された孤児の数は4,429人となり、前週の4,344人よりも増加しました。新しく特定された子どもの大部分はコナクリで確認されています。コナクリは、今週ソーシャル・ワーカーが活動に力を入れて活動を行っていた地域です。キンディアとダボラで活動するパートナー団体は、保護プロセスへの不信感から子どもの登録をためたっている孤児を引き取っている家族がいることを確認しました。こうした地域では、継続的な啓発活動が行われています。

<教育>

  • エボラの影響を受けた地域で再開した9,059校の小学校のうち、8,606校は感染予防のための基本的な設備が備えられています。この中には、手洗いキットと非接触型の体温計が含まれています。

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■参考情報

2月22日のWHO発表によると、エボラ出血熱の流行が始まって以来、感染者は2万3,000人を超え、約9,600人の死亡が確認されました。感染者/死亡者の内訳は以下の通りです。

シエラレオネ 感染者 11,301人 死亡者 3,461人 ※医療従事者295人感染(うち221人死亡)
リベリア 感染者 9,238人 死亡者 4,037人 ※医療従事者372人感染(うち180人死亡)
ギニア 感染者 3,155人 死亡者 2,091人 ※医療従事者170人感染 (うち89人死亡)
マリ 感染者 8人 死亡者 6人 ※2015/1/18 終息宣言
ナイジェリア 感染者 20人 死亡者 8人 ※2014/10/17 終息宣言 ※医療従事者11人感染
セネガル 感染者 1人 死亡者 0人 ※2014/10/17 終息宣言
スペイン 感染者 1人 死亡者 0人 ※医療従事者 1人感染
英国 感染者 1人 死亡者 0人 ※医療従事者 1人感染
米国 感染者 4人 死亡者 1人 ※医療従事者 3人感染
合計 感染者 23,729人 死亡者 9,604人 ※医療従事者837人感染(うち490人死亡)

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