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公益財団法人日本ユニセフ協会

マラウイ
「あなたにとって水とは?」
水がもたらす幸せ、安らぎ、未来

【2015年5月1日 リロングウェ(マラウイ)発】

マラウイの3つの村では、ユニセフなどの支援により新たな給水所が建設されました。この給水所によって、コミュニティでの生活がどのように健康で幸せなものになったか、村の人々が話してくれました。

* * *

給水所がもたらすもの

バケツを頭にのせる3人の女の子。新しい給水所のおかげで、遊ぶ時間が増えた
© UNICEF Malawi/2015/Chikondi
バケツを頭にのせる3人の女の子。新しい給水所のおかげで、遊ぶ時間が増えた

マラウイのムチンジ県の中心に位置するクワンジェ村は、人口390人、そのほとんどが子どもです。その子どもたちが夢中になっているのが、昨年11月に設置された給水所です。言葉のごとく、女性たちの井戸端会議が開かれる場でもあり、子どもたちが潜り込む場でもあります。子どもたちは、お互いの頭の上にバケツいっぱいの水を乗せ合い、はしゃいでいます。

シェレシータちゃん、マウリーンちゃん、シコラちゃんの3人の女の子たちは、いつも給水所で会う友達です。これまでのように毎日水を得るために5キロも歩く必要がなくなったことにホッとしています。

他にもお手伝いはあるものの、以前より水くみがずっと楽になったため、放課後に勉強したり、友達と遊ぶことができる時間が長くなりました。

水はどんなものかと女の子たちに尋ねると、3人の女の子たちは無邪気な笑顔を浮かべ、「水は“幸せ”よ」と、シコラちゃんが答えてくれました。

12万人以上が安全な水を使えるように

シンコタ村の給水所を管理する3人の女性
© UNICEF Malawi/2015/Chikondi
シンコタ村の給水所を管理する3人の女性

ユニセフはEUと共同で過去18カ月間にわたりマラウイ政府を支援し、計500カ所の給水所を新設あるいは修繕しています。それにより、2016年までに、新たに12万5,000人が安全な水を得られるようになります。2014年の一年間だけでも、この支援によって都市から離れた辺地に住む5万人近くが、改善された水源にアクセスできるようになりました。

アフリカの多くの国では、水は社会的や経済的な地位に勝る価値を持ちます。都市部であっても農村部であっても、水資源へのアクセスがないことで、多数のコミュニティが影響を受けます。そして多くの場合、最も脆弱で、最も辿り着くのが困難なコミュニティが、支援から取り残されるのです。

マラウイはミレニアム開発目標(MDGs)の安全な飲料水に関する目標達成に向けて、他国に比べてより前進しています。2013-2014年の最終調査のデータによると、全国民の86%が改善された飲料水へのアクセスを得られています。しかし、2012年時点では、世界で7億4,800万人が未だに改善された飲料水を利用できていません。子どもにとって安全な水を利用できない状況に置かれることは、下痢による死の危険と隣り合わせであることを意味します。

コミュニティの取り組み

クワンジェ村から1時間ほど離れた場所に位置するシンコタ村でも、ユニセフとEUの支援で、新たな給水所が設置されました。シンコタ村ではこの給水所を管理する、6人のグループが組織されています。新しい給水所の設置を喜ぶだけでなく、必要な維持管理をするためです。

その管理グループのメンバーである3人の女性、メリファさん、キャサリンさん、ベルナデッタさんは、給水所周りにフェンスを設置するためのレンガ集めを担当しています。給水所周りに動物を近づかせないなど、安全管理のためです。村の全88世帯が、ポンプに不具合が生じた際の修理費用にあてるため、毎月小額を積み立てることにも賛同しています。

グループの副責任者であるキャサリンさんは、「水を汲みに遠い距離を歩く必要がなくなったため、生活が楽になりました。素晴らしい贈り物である給水所を守らなければと、責任を感じています」と話します。

水はどこから来ますか?

「水は未来」と黒板に書いたミクラティ学校の生徒たち
© UNICEF Malawi/2015/Chikondi
「水は未来」と黒板に書いたミクラティ学校の生徒たち

マラウイのはるか南部に位置するチョロ県。息をのむような美しさを持つ茶畑に囲まれたミクラティ学校では、478人の生徒(男子258人、女子220人)が通い、9人の先生が働いています。この学校にも、ユニセフなどの支援により新たな給水所が設置されたため、子どもたちは飲んだり手を洗ったりするときに、安全な水を利用できるようになりました。

学校で安全な水が利用できるようになると、多くの場合、さらなる改善につながります。生徒の保護者たちが、生徒や先生用のトイレの建設に用いる材料集めを手伝うなど、学校を支える存在になっているのです。

この学校には、トウモロコシ畑もあります。地元のNGO団体が学校からトウモロコシを買い取って、それを材料に、ビタミンや栄養分が豊富な生徒たちの朝食を作ります。

「みなさんにとって、水とは何ですか?」クララ先生が一生懸命勉強に励む子どもたちに聞きました。 「水は未来です」 「水がなければ何も育てることができず、お腹が空くわ」子どもたちが口々に答えます。

「では、水はどこから来ますか?」と、クララ先生がもう一度聞きました。 「井戸用に掘った穴から来ます」 「水道からです」子どもたちが再び答えます。

先生は、透き通った青空を指さしました。すると、子どもたちは目を輝かせ、満面の笑みを浮かべました。「雨!」突然、声が上がりました。「私たち、雨の中で遊ぶの!」

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マラウイは毎年3月22日の「世界水の日」に、多くの人が貴重な水を得られたことを確認し、その成果を祝います。しかし、2015年は、1月に豪雨による洪水が発生し、およそ23万人が避難民となる災害が発生しました。この出来事は、水というものが、時には家や生活環境を破壊し、家族を避難生活に追いやり、教育を妨げるものともなることを、私たちに教訓として教えてくれました。

ユニセフとEUは、マラウイにおける共同支援として、より多くの子どもたちに安全な飲み水を届けるとともに、洪水などの緊急事態下でも、子どもたちがきれいな水や公衆衛生へのアクセスを得られるよう活動しています。

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