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公益財団法人日本ユニセフ協会
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エボラ出血熱緊急募金 第74報
シエラレオネ
救急車の“一般公開”
エボラの恐怖を取り除く試み

【2015年6月17日 シエラレオネ発】

エボラとの闘いが続くシエラレオネから、ユニセフ・シエラレオネ事務所の広報官イサ・デイヴィスの報告です。

* * *

整備されていない穴だらけの泥道が続く、カンビア地区の農村部の人里離れた村、カバヤ。過去数カ月間、カバヤの住民たちはこれまでにめったに目にする機会のなかった「救急車」を、目にしなければなりませんでした。ここは、シエラレオネにおいて最後まで残されているエボラ熱の流行地域のひとつなのです。

救急車の内部をみせ、役割を説明する。
© UNICEF Sierra Leone/Issa Davies
救急車の内部をみせ、役割を説明する。

現地を訪問した日、村のまとめ役のひとりであるパサネ・コンテさんは、他の老人や女性たちと一緒に救急車に乗りこみ、7分間試乗しました。その後、コンテさんは嬉しそうに、「安全だ、安全だ!」と叫びながら車から降りました。

「もう救急車を恐れることはありません。病気になった人がいたら、救急車に乗って病院に行くことを恐れなくていい、と伝えています」(コンテさん)

“死の天使”と恐れられた救急車

シエラレオネ国内でも、近代的な保健サービスに普段から慣れている人々にとっては、救急車は緊急医療を必要とする人の命綱と考えられています。しかし、ユニセフが支援している、特に農村部の人里離れたコミュニティの住民たちは、救急車に対し、疑いの眼差しを向けている姿がよく見かけられていました。

一般公開では、エボラの疑いのある人を搬送する際に着用する防護服も実際に見てもらう。
© UNICEF Sierra Leone/Issa Davies
一般公開では、エボラの疑いのある人を搬送する際に着用する防護服も実際に見てもらう。

カバヤの住民のひとりは、救急車はよく「移動式棺桶」とみなされていた、と語ります。「遠くに鳴り響く救急車のサイレンの音を聞くと、人々はすぐに逃げたり、病気の親戚を隠そうとしていました。救急車は“死の天使”で、コミュニティの住民を連れ去り、時として、もう再び会うことはできない、と考えていたのです」

そのような住民たちの恐怖を払しょくするために考えられた新たな取り組みが、この救急車の“一般公開”です。通常は、感染の疑いが通報された時にだけ姿を見せる救急車ですが、住民たちの警戒心を緩め、安心と信頼感を持ってもらおうと、救急車の内部を見せ、試乗してもらう機会を設けたのです。その他、一般公開では、宇宙服にも見える防護服や塩素噴霧器、そしてエボラ対策のために使用される他のすべての機材について、住民たちに説明します。

この救急車の一般公開の試みは、すでにポート・ロコ地区や西部地域で実施されています。ユニセフはパートナー団体とともに、カンビアの各コミュニティに救急車を伴って立ち寄り、コミュニティの人たちに活動内容を伝えています。カバヤの他にも20のコミュニティを訪問しています。

恐怖をなくすために

住民たちに塩素噴霧器の役割を説明するユニセフスタッフ
© UNICEF Sierra Leone/Issa Davies
住民たちに塩素噴霧器の役割を説明するユニセフスタッフ

救急車の運転手であり、エボラ感染から回復したバングラさんは、以前は救急車に対する誤解があったと話します。 「過去にエボラの流行がピークだったころ、私たちは救急車のサイレンを鳴り響かせながら、各コミュニティを非常に高速で走らせていました」

しかし現在では、コミュニティの住民たちの意見を聞き、政府の地区エボラ対策センターは数多くの新たな取り組みを進めています。感染の疑いのある患者がいる地域において、住民たちにより新しい情報を提供したり、恐怖を軽減するためにサイレンを鳴らさないようにしたり、話し合いの機会を増やすなどしています。

エボラ回復者であるアンドリュー・セセイさんは、啓発活動チームの一員として、救急車が命を守るためにいかに役立つものであるかを説明しています。セセイさんは、自分の家族は救急車で治療センターへ運ばれることを拒否したので、家族8人がエボラ出血熱で亡くなったと、自身の経験を語り、人々に伝えています。セセイさん自身は、ホットライン117に電話をし、自ら望んで救急車に乗り、治療センターに搬送されたおかげで無事回復したのです。

これらの地道な活動を通してコミュニティとの信頼関係が構築されてきており、エボラとの闘いに勝つための重要な保健対策は住民たちの理解を得られてきています。

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