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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第166報
難民危機
「普通の生活」を夢見る子どもたち
祖国を離れて欧州を目指す難民の人々

【2015年8月27日 マケドニア発】

ユニセフ・子どもの保護専門官のアレクサンダル・ラブロズキが、中東やアフリカから欧州を目指す難民の人々の経由地となっているマケドニア・旧ユーゴスラビア共和国(以下、マケドニア)のゲヴゲリヤの状況を報告しています。

* * *

マケドニアに辿り着く難民の人々

母親や姉と太陽の下で6時間待って国境を渡ったシリア難民のマスカットちゃん(3歳)。セルビアに渡るまでの間、ユニセフの支援する「子どもにやさしい空間」で、一時の休息と遊びの時間を過ごしている。
© UNICEFMK/2015/TomislavGeorgiev
母親や姉と太陽の下で6時間待って国境を渡ったシリア難民のマスカットちゃん(3歳)。セルビアに渡るまでの間、ユニセフの支援する「子どもにやさしい空間」で、一時の休息と遊びの時間を過ごしている。

ギリシャとの国境を接するマケドニア南東部の都市、ゲヴゲリヤ。この地に辿り着いた難民の人々や子どもたちの目には、絶望や恐怖が溢れていました。国境を越えるために待機していた中東やアジア、アフリカの紛争地域から避難してきた何千もの子どもたちやその家族が、警察のバリケードを越えてマケドニアへと入国しました。そうして、疲れ果て、恐怖に怯えた難民の人々は、市の中心部へ殺到したのです。

混乱の最中、家族を伴わずに近くの線路をさまよっている子どもたちが何人もいました。家族や保護者と離れ離れになったこれらの子どもたちには危険が伴うため、再び家族の元に戻れるよう仮設の保護センターで保護をしました。幼い子どもたちにとっては、とてもつらい状況だったことでしょう。しかし幸いにも、この子どもたち全員が、後ほど家族との再会を果たすことができました。

何日も休むことなく

しかし子どもたちにとってこの出来事は、安全を求めて祖国から避難する、長く危険な道のりの単なる一片にすぎません。50人〜100人のグループで毎日2,000〜3,000人の人々が、ギリシャからエーゲ海を渡る危険な旅路を経て、マケドニアに辿り着きます。難民たちはその後セルビアに渡り、他のヨーロッパの国々に難民として身を寄せるのです。

屋外で睡眠をとることを余儀なくされ、何日も休むことなくマケドニアへと移動を続けた人々。特に幼い子どもたちは、しばしば発熱や脱水症状などに陥っています。そして子どももおとなも、裸足でこの地に辿り着きます。あまりにも長い距離を歩き続けたため、途中で靴が壊れてしまったのです。

暴力や避難生活、死の恐怖から逃れ、平和のなかで生活を送りたい。ただそれだけを願い、シリアやイラク、アフガニスタンから避難してきたのです。

普通の子ども

私が話をした子どもたちのほとんどが、紛争での経験を話したがることはありませんでした。子どもたちは、未来への明るい希望を言葉にしたいのです。そしてどの子どもたちも、「学校に通う」という夢を語ります。先日、何か国かの異なる国出身の子どもたちが一緒になって、学校ごっこをしているのを目にしました。遊んでいた子どもたち全員が同じ言葉でコミュニケーションをとることができたわけではありません。しかし子どもたちはみんなで先生と生徒を演じ、「普通の子ども」でいるという、幸せな夢の時間を分かち合っていたのです。

シリアから2カ月以上かけて母親と一緒に旅を続けた4歳のラマラちゃん。もう一度家族全員が再開し、よりよい生活を送りたいと願う親子は、4カ月前にドイツに辿り着いた父親の元を目指している。シリアの自宅は焼けはて、何も残っていない。
© UNICEFMK/2015/TomislavGeorgiev
シリアから2カ月以上かけて母親と一緒に旅を続けた4歳のラマラちゃん。もう一度家族全員が再開し、よりよい生活を送りたいと願う親子は、4カ月前にドイツに辿り着いた父親の元を目指している。シリアの自宅は焼けはて、何も残っていない。

国境付近での大混乱から5日ほどが経ち、国境を越えようとする人々のためのサービスは、ある程度改善されました。ギリシャの国境から500メートルほどの場所には、新たに移民受け入れセンターが設置されています。ユニセフはパートナー団体と共に、この地に辿り着く子どもたちや家族が、これからの旅を続けていくために必要不可欠な支援を受けられるよう、支援を行っています。そしてこのセンターに設置されたテントの一つは、女性や子どもたちが支援を受けられる安全な場所として使用されています。

拡大する人道支援のニーズ

しかし拡大する人道支援のニーズに対応するため、依然として多くの支援が必要とされています。この地を通過する難民の人々が身を寄せることのできるシェルターが不足し、多くの人々は焼けつくような太陽の下で何時間も座って過ごしています。トイレは不足し、水道もありません。親たちがペットボトルの水で子どもの身体を洗っている姿も目にしました。

ユニセフは祖国を離れることを余儀なくされた子どもたちを支援するための活動を続けています。この地で出会った子どもたちが何よりも望む、「普通の生活」を送れるようになること、そして、空想上の教室ではなく、本当の教室に座って授業を受けることができる日が来ることを願わずにはいられません。

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ユニセフは、祖国で蔓延する暴力から逃れ、欧州で難民としての認定を受けるため、マケドニアを経由する女性と子どもたちの人数が、過去3カ月間で3倍に上っていると発表(9月1日)。支援ニーズが高まるなか、貯水タンクやテントをマケドニアの首都スコピエに輸送しています。また、現地の状況を注意深く監視しており、子どもたちの安全を守るため、現地当局との協力の下、支援活動を続けています。

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