HOME > 協会からのお知らせ2009年 |
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| © UNICEF/NYHQ2009-0715/Nesbitt |
| ザンビアのある村で、息子のビンセントちゃん(生後6週間)を抱くマルサ・ムンバさん。ムンバさんはチェルストン臨床プログラムに参加し、HIV感染予防のための抗レトロウイルス薬の治療と検査を受けています。 |
本報告書は、世界中の最も弱い立場の人々がこれ以上追い詰められることがないよう、国際社会が、包括的な社会的保護の分野での支援の拡大を緊急に実施する必要があると訴えています。
「世界中場所を問わず、HIV/エイズが家庭に課す負担のひとつは、HIV/エイズ患者の治療やその他のケアにかかる出費です。」南アフリカ人文科学調査評議会の子ども・若者・家族・社会開発研究プログラムのリンダ・リッチャー部長はこう話しました。リッチャー部長は、今年の6月に、ニューヨークのユニセフハウスで行われた子どもとエイズについての共同学習イニシアティブの会議で講演し、社会的保護の役割について独自の調査結果を提示しました。
米国ハーバード大学フランソワ・グザヴィエ健康・人権センターの研究員のクリス・デスモンドさんも、この研究に貢献したひとりです。「人々に治療を受けさせることができますが、もし彼らがお腹をすかせていたら、効果に限界があります。サービスを提供することもできますが、サービスを受けられるだけの余裕がなかったら、サービスの意味がありません。」
ユニセフのコーカー HIV/エイズ担当官は、孤児や、その他にも様々なリスクを受ける可能性が高い、非常に厳しい立場におかれている子どもたちを支援することが、ユニセフの最優先事項だと述べました。
「エイズはより深刻な問題となっています。エイズの影響を受けている国々や、影響を受けている家族にとって、外部からの何らかの助けがどうしても必要です。家族やコミュニティの力だけでは、家族がHIVに感染していたときに、子どもたちに適切なケアを保障することができないのです。」
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| © UNICEF Lesotho/2009/Barbadoro |
| 「子どもの補助金」の支給を受けるため、レソトのレバケング村のヘリポートに集まる人々。この補助金は、HIV/エイズの影響を受けている人々と弱い立場の子どもたちの基本的なニーズに応え、子どもたちの福祉を改善することを目的にしています。 |
エイズが流行している国のひとつであるレソトでは、人口の半数が貧困ライン以下の生活を送っています。ユニセフの支援で行われている試験的取り組みであるレソトの「子ども補助金」プログラムは、エイズによって孤児となった子どもたちを含めた、支援を必要としている人々に現金を提供する取り組みです。
このプログラムこそ、前出の「社会的保護」活動の好例です。この補助金は、妊産婦と乳児の死亡率が高い地域の世帯を対象に提供されています。
「そこには、家をきりもりしている子どもたちや自分ではもう生活できない人々がいるのです。」レソト保健・社会福祉省のムプフ・ラマトラペング大臣は、幼いきょうだいの世話をしているわずか12歳の子どももいると言及しました。
孤児をはじめ2,370人以上の社会的に弱い立場に置かれている子どもたちを含む約950世帯の人々が、年4回、少額の補助金を受けることになりました。この試験的な取り組みは、内容を検証しながらレソトのその他の地域にも段階的に拡大され、2011年までに全国で実施される予定です。レソト政府は、長期的には、国家予算からこの計画を実施するための資金を割り当てる計画となっています。
『子どもとエイズ:第4次レポート』は、現金の形であろうと食糧の形であろうと、「社会的保護」活動は、HIV/エイズの困難に直面した人々に、生き延びるために、そして必要なケアを受けるために必要な力を提供することができると報告しています。
本報告書は、また、エイズの影響を受けている子どもたちのための取り組みの効果を検証しています。どの地域でどのような取り組みが進んでいるのか、不十分であるのか、改善されているのかを、忌憚無く記しています。世界的規模で続く経済不況の中でも、国際社会は、エイズのない世界を実現するという長期的な目標について、継続的にコミットすることの必要性を強調しています。
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