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ユニセフ協会からのお知らせ

子どもに対する暴力の根絶を訴える宗教指導者

【2010年11月4日 ニューヨーク】

今週、肌寒い11月の午後、世界の様々な宗教団体が集まって組織されている世界宗教者平和会議(Religions for Peace (WCRP))理事会メンバーである著名な宗教指導者たちが、ユニセフ本部(ニューヨーク)に一堂に会し、世界の子どもたちに対するあらゆる形態の暴力を根絶するため、宗教コミュニティが担っている重要な役割について話し合いました。

本会議には、マルタ・サントス・パイス 子どもへの暴力に関する国連事務総長特別代表、スーザン・ビッセル ユニセフ本部子どもの保護事業チーフ、リザ・バリー ユニセフ本部市民社会パートナーシップ事業チーフ も参加しました。

本会議のモデレーターを務めた世界宗教者平和会議のウィリアム・ベンドレイ事務局長は、会議の冒頭、宗教指導者たるものは、子どもの幸せを一番に考えるべきであると強調しました。

「バックグラウンドや伝統に違いがあっても、我々には共通の目的があります。」「子どもは、単に法的に権利が保障されているだけではありません。私たちは信仰を持つ者として、子どもの権利を(守ることを)中心に活動する義務があり、そして、子どもたちは計り知れない価値をもっていることを強く主張していかなければなりません。」

重要な役割

© UNICEF/NYHQ2010-2301/Markisz
ユニセフが主導して行われた宗教指導者たちの会議で話す、マルタ・サントス・パイス 子どもへの暴力に関する国連事務総長特別代表(左)。その隣は、世界宗教者平和会議のウィリアム・ベンドレイ事務局長。

サントス・パイス 子どもの暴力に関する事務総長特別代表は、平和な時でも、戦火の時でも、全ての宗教には、子どもの尊厳を尊重するように促す重要な役割があることを訴えました。

「皆さんは、対話を深め、お互いの相違を乗り越えて、考えや振る舞いを変えるべく影響を与えることができる、たぐいまれな道徳的権威を有する方々なのです。」サントス・パイス氏は、また、宗教指導者の影響力のある声と協力とともに、「子どもに対するあらゆる形態の暴力を正当化する宗教の教えや伝統は存在しないということが、真に普遍的かつ覆すことのできない原理原則となることを願い、期待すると述べました。

サントス・パイス氏は、さらに、宗教コミュニティの協力は、「児童の武力紛争への参加に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」、「児童売春、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」の普遍的な批准をもたらすものだと付け加えました。

ユニセフのスーザン・ビッセル 子どもの保護事業チーフは、宗教や宗教指導者は、子どもの権利の実現を促し、安全で守られる環境を確保する大きな役割を担っていることを強調しました。

「約50億人の人々が、宗教コミュニティに属しています。あなたがたの行動力は大変大きなものです。」「最も小さな村から大都市まで宗教コミュニティは存在し、子どもの保護とケアのための大きなネットワークを保持しているのです。」

ユニセフは、今まで、世界中の子どもたちに影響を与える問題について、全宗教コミュニティと協力して活動してきた長い歴史があります。ごく最近、世界宗教者平和会議とユニセフは、共同で「コミットメントから行動へ:子どもに対する暴力を根絶するために宗教コミュニティができること」を発表。この出版物は、宗教指導者と子どもの保護専門家による情報をもとに作成され、宗教コミュニティが、子どもたちの権利を促進し、特に、子どもたちに対する暴力という子どもの権利の侵害を予防し、対処するための指針となります。

ユニセフと世界宗教者平和会議のパートナーシップは、複数の宗教構造を持つコミュニティを含む、全宗教コミュニティが、武力紛争の影響を受けた子どもたちを保護する能力を強化するため、国レベルのプロジェクトも含まれています。グナー・スタルセット師(ノルウェー・オスロ名誉主教)は、こうした形の活動を「信仰から行動へ」と呼び、具体的な解決を導くために目標を単純化し、分かりやすく設定する必要があると訴えました。

行動へのコミットメント

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ナイジェリアのジョン・オナイエケン大司教。

また、ナイジェリアのジョン・オナイエケン大司教は、家族レベルの成果が必要だと強調しました。「子どものしつけとして暴力を用いないよう家族に伝えることは、直接的な変化をもたらす明確な手段です。家庭こそが、ユニセフと宗教指導者による共有のメッセージが具体的な影響を与える場所となるでしょう。」

本会議に先立ち、世界宗教者平和会議の国際理事会が声明を発表。世界の子どもたちの代弁者として、コミットメントを実行する様々な方法が述べられています。この声明では、コミットメントに必要不可欠なものとして教育が強調されています。

© UNICEF/NYHQ2010-2301/Markisz

会議が終わりに近づくにつれ、宗教指導者たちは、子どもたちのために努力を続ける決意を表明しました。参加者は、子どもの保護や子どもの権利について共通理念を進展させ、信念を行動に変えて、努力し続けることを力強く宣言しました。

「コミットメントから行動へ:子どもに対する暴力を根絶するために宗教コミュニティができること」の日本語版は、現在作成中です。

[▲写真]ユニセフと世界宗教者平和会議が共同で発表した「コミットメントから行動へ:子どもに対する暴力を根絶するために宗教コミュニティができること」を手にする参加者。

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