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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

安全な水確保へ活動
<中国>


 中国陜西(シャンシー)省、「兵馬俑」で有名な西安(シーアン)市から北西へ約200キロ、車で4時間かけてユニセフの支援活動が実施されている麟游(リンヨウ)県を訪れた。麟游という地名は「麒麟が訪れる場所」という意味で、はるか唐代には皇帝の避暑地として栄えたというが、今は当時の面影はなく、山間の農村は貧困と深刻な水の問題に悩まされている。

4ヵ月間雨が降っていないという黄色い大地は乾燥が激しく、野菜の栽培が難しいため、人々は小麦やトウモロコシなどの穀物を育てて、細々と生計を立てている。 水の問題は、単に降水量の少なさだけではない。住民の生命線である水源、川およびわき水には有毒なセレンが溶け込んでいる。そのため、その水を生活用水としている村人の多くに、指の変形、関節肥大などの身体的障害が現れ、症状が重い場合は歩行困難や成長不全をきたしている。

安全な飲料水を得るためには30メートル以上の深井戸を掘らなければならないが、多額の費用がかかり、県からの予算ではとても賄えず、各村ひいては各個人に重い負担がのしかかる。「安全な水の確保は最優先の課題です。でも、資金不足で深い井戸が掘れない。それで有害とわかっていても、この川の水を飲むしかないのです」 中国の急速な経済発展は、沿岸部と内陸部、都市部と農村部といった地域間格差を助長した。都市部の華やかな発展の陰で、貧困や環境問題に苦しむ農村が後を絶たない。

麟游県は、中国政府より「貧困地区」として正式な指定を受け、1996年からユニセフの支援活動が導入された。その一環として、女性が数名ずつのグループを作り、少額の融資を受けて収入向上活動を行い、返済と共に利息の一部を積み立てて村全体の福利に充てるという試みが行われている。このプロジェクトに参加している馬家堡(マァチァパオ)村の女性グループのリーダーは「去年は集まったお金で家畜や肥料を買いました。女性でも自分の力で状況を変えていけるのだとわかり、とても勇気づけられました」。

積み立てられた資金の用途は、すべてプロジェクトに参加している地元の女性自身によって決定される。「お金をためて、深井戸と給水設備を作りたい」。自分たちで水問題を解決できるという期待に、彼女たちの表情は明るかった。

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