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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2006年2月21日、グナカンゾー発>

政情不安が続くコートジボワールで、再び徴募の危機に晒される元子どもの兵士たち
<コートジボワール>

コートジボワール西部地域にあるグナカンゾー村で、ユニセフの子ども保護官フランシス・ザコと話す元子どもの兵士たち。

3年間、内戦と民族紛争が続くこの西アフリカの国で、新たな戦いが勃発。そのため、すでに徴募から解放され、コミュニティに戻った何百人もの元子どもの兵士が、再び徴募される危険性が出てきました。

「和平協定が結ばれていないため、ほとんどの武装勢力は武装解除を拒んでいます。彼らは兵士も、子どもたちも手放したくないのです」ユニセフの子ども保護アドバイザーであるマヌエル・フォンテーンは話します。「武装勢力が子どもたちを取り込むのは、大抵の場合、将来的に政府の中で、自分たちの立場を優位にするためです」

コートジボワールにおいてのユニセフの最優先課題の一つは、子どもの兵士および武装勢力の中にいる子どもたちの武装解除・動員解除です。推定では5,000人以上の子どもたちが、武装勢力に取り込まれたと言われています。ユニセフは今までに、国連やほかのパートナーと協働で、1,900人以上の子どもの兵士たちをコミュニティに戻しました。

コートジボワールで平和が取り戻されないがきり、子どもたちは武装勢力による徴募と誘拐の危機に晒されつづけるとユニセフは警告している。

コートジボワール国内でも、不安定な西部地域にあるグナカンゾー村で実施された元子どもの兵士の再統合プログラムは、成功例として知られています。リベリアとの国境近くに位置するこの地域は、もう10年以上、不安定な状況下に置かれています。2002年11月、反政府組織がこの村を襲い、多くの住民を殺害し、傷つけ、あるいはレイプし、1,000人以上もの子どもたちが誘拐されました。子どもたちは組織の司令官により強制的に徴募され、リベリア国境での戦闘に駆り出されたのです。

2004年後半、反政府組織間の争いのさなか、子どもの兵士たちは、何とかリベリアから逃げ出すことができました。ユニセフは、地元のNGO「PAHO」とともに、720人の子どもたちを、グナカンゾーへと送り還しました。今日、カウンセリングや技術訓練、定期的なフォローアップ訪問を通じて、彼らはコミュニティに戻され、社会復帰を果たしているのです。

しかし、新たに起きた民族間の紛争と、西部地域で発生した武装青年たちによる国連平和維持軍への襲撃のせいで、多くの人道支援団体が国外へ避難したため、せっかくコミュニティに戻った子どもたちが再び徴募の危機に晒されています。

リゴベール(17歳)は、ここに戻るまで、2年の間、反政府組織に属していたと言います。2005年9月、若い男たちが村にやってきて、金を見せながら子どもたちに自分たちの組織に加わるよう誘ってきたときには、きっぱりと断った、と言います。

「『銃を捨てろ』と言いたいね。銃を持って、同じ仲間と戦うのはよくないことだ。だから銃を捨てろ、と」

ユニセフ子ども保護官フランシス・ザコに、武装勢力から集団に加わるよう金で誘われた経緯を話す17歳のリゴベール(カメラを背に映っている青年)。

2005年7月、国連安全保障理事会は、武力紛争に巻き込まれている国々(コートジボワールを含む)において、子どもたちの状況を監視し、加害者に対して制裁を課す安保理決議1612を採択しました。ユニセフは、コートジボワールで活動する他の国連諸機関とともに、この安保理決議に基づき、実行可能な監視・報告体制(MRM)を整備しました。

「基本的に私たちは安全保障理事会に対し、次のような事柄を定期的に報告する義務があります:子どもたちは今なお徴募されているのかいないのか、利用されているのかいないのか、また、どの武装勢力によって利用されているのか。これらを報告することになっているのです」マヌエル・フォンテーヌは言います。「その報告の結果、安全保障理事会は武装勢力のリーダーに対して行動を起こすことができる、制裁を加えることができるようになるのです。たとえば、彼らの海外渡航を禁じたり、また将来の政府内で彼らが要職につくのを防ぐことができます。この決議は子どもの徴募をやめさせる恰好の機会となるのです」

ユニセフはまた、安保理決議1612を遵守するよう、精力的に、各武装勢力と対話を続けています。しかし、この政情不安が続き、長く続く平和が取り戻せない限り、子どもたちはこれからも徴募の危機に晒されつづけるのです。

 (財)日本ユニセフ協会 後援
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子どもの兵士をテーマにした映画『イノセント・ボイス〜12歳の戦争〜』(日本ユニセフ協会 後援)が東京のシネスイッチ銀座で絶賛上映中のほか、全国各地の映画館で順次上映が予定されています。

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