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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2001年4月16日 信濃毎日新聞夕刊掲載 >

村の保健婦に─夢に向け勉強
<ネパール>

 「保健婦さんになって、病気の人を助けたいの。私の村には保健婦がひとりもいないから」と話すのは、サビトリ・サダ(14歳)。彼女は、ネパールで最下層民とされているカーストの出身です。4ヶ月前から、ユニセフが支援する学校外教育プログラムで勉強しています。ここで学んだのは読み書きだけではありません。保健衛生についての知識を身につけた彼女は、保健婦になる夢を描くようになりました。

 貧困に苦しむネパールでは、性差別や文化的な差別も根強く残っており、子どもたちは複雑な状況に置かれています。親は子供の稼ぎをあてにしているので、子どもたちは小さいころから働き始めることになります。家庭内の用事をこなすために、学校へ通えなくなることも珍しくありません。親も、教育に価値を認めようとせず、とくに女の子の場合にこの傾向が顕著です。「女の子を学校に行かせるのは、隣の畑に水をやるようなものだ」というわけです。

 村の女の子がみんなそうであるように、サビトリもほとんど学校に通わせてもらえませんでした。彼女は11歳のとき、見知らぬ人にネパールの首都カトマンズに連れて行かれました。仕事をしながら学校に通えるという約束でしたが、あちこちの家で住み込みで働かされるだけで、2年間学校に行けませんでした。そして1年ほど前、彼女は逃げ出して故郷の村に戻りました。

村に戻っても生活は変わりません。サビトリは両親とともに近所の農家で働くのですが、一日50ルピー程度(100円以下)にしかなりません。でも、大人たちといっしょに働き、そして5人の弟妹の面倒を見ながら、サビトリは勉強を続けています。

 小さな子どもが下痢になり、水を与えないと脱水症状を悪化させてしまい、たいへん危険です。でもサビトリは、そんなときに少量の塩や糖を加えた水を与える経口補水療法の知識があるのであわてません。下痢をした小さな弟に経口補水塩を与えるサビトリは、さながら小さな保健婦さんです。

 女の子でも、貧しくても、自分で人生を選択していくことができるような教育を、ユニセフは目指しています。

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