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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2003年8月26日 信濃毎日新聞掲載>

学校 通いつづけたい
<パキスタン>


7歳のナジマ。学校で マリアンワラ・チャクは、パンジャブ地方の典型的な農村です。村人は、農業をするか、村にある製糖工場や製粉工場で働くか、日雇いの土木工事で生計を立てています。

この村に住む7歳の女の子、ナジマの父親は日雇い仕事をしています。数年前、彼は、一家全員を引き連れて、先祖代々が暮らしてきた村からマリアンワラ・チャクへ移ってきました。理由は、その村には学校がなかったから…。父は、7人の子どもたち全員に教育を受けさせることを決めたのです。この地域ではとても進歩的な考えでした。

ナジマの祖父は、この決定に大そう不満でした。彼が息子だけでなく娘まで学校にやろうとしていることには、まったく理解を示しませんでした。「息子はわかるよ。大きくなったら、金を稼いで家を支えるんだから。だけど、娘は他の誰かのものになってしまうんだよ。娘に使う金があれば、牛を買ってさ、牛乳だって飲めるようになるじゃないか」
それでも、長男で唯一の稼ぎ手である父親の決定に、家族は従いました。

ナジマの父親は、朝6時から深夜まで働き続けています。しかし、年2回の収穫の時期になると、ナジマときょうだいたちは、1 ヶ月ほど学校を休んで、母親と畑仕事に行かなければなりません。1年分の小麦やメイズをもらう交換条件なのです。

今年、ナジマは「畑仕事には行かない」と言い出しました。「前のとき、学校を休んだら、2教科も試験を失敗したのよ」

ナジマは、マリアンワラ女子小学校の2年生です。全員分の教科書もなく、2、3年生は同じ教室で学んでいます。とても整った学校とはいえませんが、ナジマは「他の子みたいに、学校を途中でやめたくない」と強く言います。「大きくなったら看護師になりたいの。試験に失敗したら看護師にはなれない…」

農村では、大きな家族ほど、家族全員が働く必要に迫られます。子どもでも1日に100〜150ルピー(2〜3米ドル)を稼ぎます。5人の子どもがいれば、1カ月に1万5千ルピーほどの収入になります。そのため、学校を途中でやめる子どもが多いのです。

パンジャブ地方政府とユニセフは、子ども、特に女の子の通学率を上げることを目標に、学校の環境を整え、質の高い教育を提供するプログラムをはじめています。教員を養成し、家庭に粘り強く学校の大切さを説くとともに、コミュニティーも学校の運営に参加するようにしています。村人自身が成果を監視することで、教育の価値を認識し、自分たちのものだという意識を持つことにつながるのです。

ナジマが学校に通い続けられるかどうか…。ユニセフは、コミュニティーを巻き込んだ体制をつくって応援しようとしています。

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