公益財団法人日本ユニセフ協会
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アフリカ干ばつ緊急募金 第63報
世界中の専門家が議論−飢餓と危機を防ぐために

【2012年4月18日 イタリア発】

© UNICEF/NYHQ2012-0243/Asselin
ブルキナファソのファダングルマにある保健センターで、すぐに口にできる栄養治療食を食べるサアマトウ・バンゴウちゃん(生後7ヵ月)。

アフリカの角地域の飢餓とサヘル地域を襲う危機の根本原因について、転換点や解決策を探る議論が再燃しています。

ユニセフのイノチェンティ研究所が発信している最新の教育テレビ/刊行物「リサーチ・ウォッチ」の中で、世界中の専門家が、栄養不良、干ばつ、食糧価格の高騰、人口流出、武力紛争、気候変動がいかにして本格的な栄養危機と飢餓の悪化を食い止めることができるのかについて議論しました。

飢餓の悪化を防ぐ専門家

「飢餓の予防、早期の対応」というテーマのもと集まった専門家たちは、論評の中で、飢餓と栄養危機は防ぐことが可能なのか、もし可能ならば、いかにして、誰が行うのか、責任の所在はどうなるのかといった議論を展開しました。

「アフリカが飢餓に見舞われたときは、どうして起きたのか、そしてなぜ防げなかったのかと常に考えるべきです」この議論に参加した開発経済学者のステファン・デベロー教授はこう話します。「大変な憤りを覚えるはずです。私たちが飢餓を食い止める力をもった後もまだ、たくさんの救えたはずの命が犠牲になっているのです」

専門家たちは、膨大な知識と経験を生かし、栄養危機と飢餓を根絶するために必要不可欠な要素となる点を指摘しました。この中には、技術変革、万全の準備態勢、備蓄品の確保、社会的な保護についての国家戦略、食糧価格の変動に対応できるメカニズム、安定性と説明責任も含まれています。また最後に、早期警戒システムは大きく改善されたものの、最近発生している飢餓の規模では、子どもたちが深刻な栄養不良に陥る前に対応できていないと指摘されました。

将来の緊急事態に備えて

© UNICEF/NYHQ2012-0242/ Laurent Duvillier
4月、チャドの栄養治療センターを訪れ、女性と子どもに話しかけるユニセフのアンソニー・レーク事務局長。

「緊急支援への対応は、緊急でないときにこそ、入念に準備されています」ユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所のエルハジ・アス・スィ所長はこう話します。「今こそ、良い管理体制を構築するときです。そして、将来に備えた今後複数年のプログラムを進め資金を投ずることによって、手遅れになる前に迅速な行動をとることができるのです。このメッセージを、今伝えたいと思います。パートナーと共に、早期警戒を喚起することで、速やかな支援が行えるのです」

最近チャド西部を訪問したユニセフのアンソニー・レーク事務局長も、このアプローチを強調しています。サヘル地域の危機を食い止めるための人道支援を緊急に拡大し、改善された保健システムの構築、社会サービスの提供、社会的な保護の確立、そして安定した生活への支援や人々の日常の行動を変えていく支援を通して、この地域の深刻な栄養不良の問題に立ち向かうことを改めて訴えました。

「私たちの支援は、“今日の命”を救うためだけに行っているのではありません」「明日起こるかもしれない“栄養危機”を防ぐためのものなのです」(レーク事務局長)

ディベートの様子は、ユニセフ・イノチェンティ研究所サイト(英語)からご覧頂けます。