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財団法人日本ユニセフ協会
 



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第72報
児童養護センターの環境改善の取り組み

【2011年1月24日 ハイチ発】

2010年1月に大地震に襲われたハイチ。多くの子どもたちが児童養護施設で保護されています。しかし実際には、地震が発生する以前から、少しでも良い生活をしてもらおうと、子どもたちを児童養護センターに預ける家庭も少なくありませんでした。しかしながら、アメリエちゃん(仮名)の例は、こうした望みが、常に実現されるものではないことを物語っています。

アメリエちゃん(12歳)は、ハイチの首都ポルトープランスとその周辺にあるこうしたセンターに預けられている大勢の子どものひとりです。「両親は、私をセンターに預けようという叔母の意見に賛成しました。」アメリエちゃんは、錆びたベッドに敷かれたマットレスに座って、はにかみながらその時のことを思い出して話します。「センターの人は、食べ物をくれます。私は、学校に通っているんです。」

悲惨な状態

© UNICEF Haiti/2011/Steinlechner
児童養護センターのベッドの上のアメリエちゃん(12歳・仮名)。この施設は、標準以下のケアを提供していると判断され、間もなく閉鎖される。

アメリエちゃんのセンターは、悲惨な状態です。僅かな数しかない2段ベッドの上には、汚れたままの服が散乱し、部屋にはハエが飛び交っています。センターにおもちゃはなく、白いタイルの床の上には排泄物が飛び散っていて、トイレと部屋の区別はほとんどないように見えます。

しかしながら、全ての児童養護センターがこれと同じというわけではありません。

アルディンさん(16歳)が生活するセンターは、アメリエちゃんが生活するセンターとそれほど離れていません。しかし、この二つのセンターの違いは、驚くべきものです。アルディンさんのセンターは、村ではほとんど見られない鉄の門で守られ、緑がいっぱいの広い敷地の中に、清潔な小さな家がいつくか並んでいます。子どもの年齢ごとに分けられた家には、それぞれを担当する専任のスタッフもいます。

7歳の時にセンターにきたアルディンさんは、自分が比較的恵まれた環境で暮らしていることを知っています。「母と父は亡くなりました。祖母が世話をしてくれていましたが、私を学校に通わせるほどの余裕はありませんでした。」

危険に晒された子どもたち

© UNICEF Haiti/2011/Steinlechner
間もなく閉鎖される予定の養護センターの、床に座る女の子たち。

昨年の震災は、非常に多くのハイチの子どもたちが放置や虐待の危険に晒されていること、そして、基本的なニーズに対する支援も必要な状態であることを改めて露呈しました。ユニセフは、パートナー団体とともに、子どもたちの親や保護者に対してはその育児を支援する一方、既存の児童養護センターに対しても、適切なケアが実施されているかどうか監視し、必要な支援を提供する取り組みを続けています。

ユニセフは、子どもたちは、可能な限り、自らの家族と一緒に、あるいは家族を基盤にしたケアが行われている環境に置かれるべきだと考えています。しかし、その家族が自らの子を養育できない場合、その子どもたちには、一人ひとりのニーズに合った適切な代替ケアを受けられる環境が提供されるべきと考えています。

「ハイチの子どもたちは、数え切れないほど多くの危険に直面しています。」「今のハイチでは、児童養護センターは、子どもを保護するために必要不可欠な存在です。」ユニセフ・ハイチ事務所のジーン・リエビー子どもの保護担当官はこう指摘します。

アルディンさんは次のように語ります。「ここで約10年間過ごすことができて、とても幸せです。たくさんのことを学びました。家族のことを思い出す時だけは寂しくなりました。でも、ここは安全ですし、医療サービスも教育も受けられますから。」

児童養護センターの査察

ユニセフの支援を受け、地元の子どもの保護NGO「IBESR」は、600以上の児童養護センターの抜き打ち査察を定期的に行っています。この査察が、センターが適切に運営する一助となっているのです。また、子どもたちの所在を記録することによって、アメリエちゃんのような子どもたちを守る手段ともなっています。

「アメリエちゃんのいるセンターは、活動を停止させる必要があります。」IBESRで査察活動にあたるイベット・オウベルギステさんは話します。「3回こちらに伺っていますが、まだ何も変化がありません。それどころか、来るたびに状況は悪化しています。」

アメリエちゃんのセンターが閉鎖されたら、ユニセフは、IBESR、警察の未成年者保護官らとともに、アメリエちゃんをはじめ、この施設に入所している子どもたちのために仮設住宅を設置し、可能な限り、家族と再び暮らせるよう継続して活動していきます。

「ハイチの状況は、予断を許しません。」と、オウベルギステさんは語ります。「このような状況を目の当たりにして、とても辛いです。ほとんどの子どもたちの両親は健在です。子どもたちは家族と暮らすべきなのです。家族はただ、子どもたちを育てるための金銭的な余裕がないだけなのです。」