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財団法人日本ユニセフ協会



ユニセフ支援物資、南レバノンに到着

【2006年7月26日 ニューヨーク発】

©UNICEF/ HQ06-1065/Kate Brooks

ユニセフの人道支援物資を積んだ最初のトラックが、26日、南レバノンのティールに到着しました。複数の国連機関が合同で手配したトラックには、イスラエルとヒズボラの間で続く戦闘によって家を追われた子どもたちが待ち望んでいた支援物資40トンが積まれています。

ユニセフは、24日、国際社会に対し、レバノンをはじめ中東での緊急支援活動に必要な2,380万米ドルの支援を訴えました。これは、国連が発表した総額1億5,000万米ドルの緊急アピールの一部として訴えられているものです。

ユニセフ事務次長リマ・サラは、ニューヨークの国連本部におけるアピール発表の冒頭、「何万人もの子どもたちが、きれいな水もトイレも満足に無い学校や公園、モスクや教会での避難生活を強いられています。幸運にも戦闘の難を逃れた人の中にも、愛する人を失った人もいます。傷を負っている人もいます。これまで築いてきた生活の場をめちゃくちゃにされてしまった人も少なくありません。恐怖と不安に苛まれているのです」と訴えました。

これまでに、少なくとも71万人のレバノン市民が家を失いました。およそ50万人は親類縁者の元や、教会やモスクに身を寄せています。11万人以上が学校での生活を余儀なくされている一方、約10万人が、シリアやヨルダン、キプロス、湾岸諸国へ避難しました。

ユニセフは、避難民の45パーセントが子どもであると推定しています。さらに、これまでに死傷した人の少なくとも3人に1人は子どもだったと報告されています。

アフリカ・ガーナのユニセフ支援事業を視察中のユニセフ事務局長アン・ベネマンは、最も弱い立場にある子どもたちへの支援が最重要課題であるとする声明を発表しました。「支援物資の輸送経路の確保は、人道支援活動の生命線であり、国際法上、紛争当事者に課せられた義務です。こうした支援が今直ぐに届けられるか否か。子どもたちの生死を分ける問題です」

©UNICEF/HQ06-1067/Brooks
22日、デンマークのユニセフ物資供給センターからの最初の支援物資を積んだトラックが、首都ベイルートのレバノン赤十字本部に到着した。

国連機関の中で、水と衛生に関する支援を統括・調整する機関としての役割を与えらたユニセフは、26日、浄水剤1,800箱、家庭向け飲料水キット110個、おしめ1,000袋、生理用品2,000袋、石鹸175箱をレバノン南部に届けました。これは、既に実施した120万ドル相当の医薬品をはじめとする緊急支援に続くものです。

先週末には、デンマークのコペンハーゲンにあるユニセフの物資供給センターから、さらなる支援物資として、約1,700世帯向けの飲料水・衛生キットと医薬品がレバノンに向けて発送されています。また、中東の他の国・地域に向けて輸送中だったユニセフ支援物資も、急遽レバノンにその行き先を変更しています。

©UNICEF/HQ06-1064/Brooks
ベイルートを見渡せる高台から、イスラエルの空襲を受けるラフィク・ハリリ空港から上る煙を見ている子ども。

リマ・サラ事務次長は、紛争を逃れた家族もまた、新たな脅威に直面していると訴えています。「清潔な飲料水やトイレが満足に無い避難場所での生活。医療サービスも止まっています。避難民は、感染症等の脅威に直面しているのです。ユニセフは、他の国連機関やレバノン政府、NGOと力を合わせ、家を追われた子どもたちの支援に全力を上げます」

レバノン国連大使、ヌハド・マハムード氏は、子どもたちが武力衝突の矢面に立たされ、彼らの苦しみは、この後何カ月にもわたり続いてしまうと指摘。さらに、「学校が避難所になっていることは、中・長期的に、学校教育ができなくなることを意味します。現在、レバノンの全ての村で、学校が避難所として使われています。この紛争は、今現在、家を追われてしまっている人だけではなく、この国の全ての人々を巻きこんでいるのです」と警告しています。