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財団法人日本ユニセフ協会




学ぶことで身を守る:レバノン南部での地雷事故予防教育

 【2007年2月12日、レバノン、ホウミン アルタータ発】

© UNICEF video
不発弾の危険について教える授業。レバノン南部にて

9歳になるハッサンは、恥ずかしそうに話しながらも、クラスター爆弾の不発弾がどんな形をしているか良く知っています。

「クラスター爆弾はいろんな形と大きさがあるんだ」ハッサンは言います。「テニスボール位のものもあるし、黒かったり灰色だったりもする。白いリボンがついているものもあるよ。」数十人の子どもたちの前に立ってハッサンは説明します。これは、ユニセフが支援する不発弾についての教育キャンペーンの一環で行われているものです。

イスラエルとレバノンのヒズボラとの紛争が停戦してからほぼ半年がたちます。ユニセフは、子どもたちやその家族を脅かすクラスター爆弾などの不発弾について注意を促す活動をしています。

レバノン南部の国連地雷対策コーディネーションセンターは、この地域で約100万発の不発弾が残されていると推定しています。これらを取り除くにはまだ数ヶ月以上、おそらく1年はかかるでしょう。2006年8月の停戦以降2007年1月末まで、200人以上がクラスター爆弾の爆発で負傷したり、命を落としたりしました。その中には18歳未満の子どもが70人含まれ、内7人が亡くなりました。

子どもたちもメッセージを伝える
© UNICEF video
ポスターやチラシも子どもたちを地雷事故から守ります。

レバノンの地雷除去局やその他のパートナーと協力しながら、ユニセフは不発弾の危険から子どもたちを守ることを最優先課題の一つにしています。啓発キャンペーンを通じて、子どもたちは爆弾や地雷の見分け方、見つけたときはどうすればいいかを学んでいます。ポスターや横断幕、テレビやラジオCMでも、「近づかないで。触らないで。そして関係機関に連絡して」というメッセージを子どもたちへ発信しています。

「子ども達は家族の中心です。学校で学ぶことは家に帰って家族に報告されます。」ハッサンが通う公立校のナワル・シャライム校長は言います。「子どもたちがクラスター爆弾について学んだことは、地域社会にも還元されます。」

キャンペーンでは、子どもにやさしいアプローチを採用しており、重要な情報をゲームや劇、話し合い、交流を通じて伝えます。「ガチョウのゲーム」と呼ばれる活動では、子どもたちはボール紙で作った大きなさいころを投げ、いろんなお話が描かれた紙の上の道をさいころの目の数だけ進みます。

「たとえば、クラスター爆弾が描かれたコマにとまったら、最初のマスまで戻ります」12歳になるファトマは言います。「クラスター爆弾を発見したマスに止まった場合、正しい行動をとっておとなに伝えたら、先に進むことができます。」

InterSOSというNGOで地雷事故予防教育を行っているアリ・バールベキさんは言います。「話し、楽しみながら学んだことを子どもたちは忘れません。参加することなく、座って先生の言うことを聞かされるだけでは、集中力と興味を失ってしまいます。」

正しい行動を身につける
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不発弾についての重要なメッセージを子どもたちに伝えるためにゲームが作られました。

レバノン南部やベカ峡、ベイルート南部などの不発弾の影響をもっとも受けている地域では、ここ半年様々な教育プログラムが実施されました。ユニセフは、地雷事故予防教育のために200人以上のトレーナーの研修を支援しました。トレーナーは、150村で親や農民、子どもや教師を対象に授業を行います。

「クラスター爆弾について、その危険性について、子どもの方がおとなよりよく知っていることも多いです。」15歳になるリナは言います。「私の地域に住むある男の子は、クラスター爆弾を見つけたときこわがらずに、父親にクラスター爆弾から離れるよう注意したんですよ。」

ユニセフは、地雷やクラスター爆弾の爆発で負傷した子どもたちや若者、親も支援しています。その一つは、レバノン南部のリハビリセンターでの作業療法プログラムの支援です。

「物理的な脅威が取り除かれるまでは、子どもたちを守るための最良の方法は、子どもたちにわかりやすい手法で、安全な行動を身につけてもらうことです。」ユニセフレバノン代表のロベルト・ローレンティは言います。